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時代は変われど





はじめに


変わるものと、変わらないもの。
望まれるものと、望まれざるもの。

本当に必要なものはなに?
大事なものはなに?
なくしたくないもの、考えたくないこと。
わすれたいこと、考えたいこと。

いま、自分に必要なことは、なんですか?



二枚のハガキ


今は昔。

ウン十年前の、私が小学生の頃のことである。

2人のクラスメイトから、まったく同じ内容のハガキがほぼ同時に届いた。

「このハガキに書かれている文章をそのまま書いて5人に送ってください。
途切れさせなければ、ギネスに載ります。」

ちょっと待って。
発信元も不明で、どこまで広がってるかもわからないものが、どうやってギネスに載るというのだろうか。私は違和感を覚えた。

万が一、証明できてギネスに載ることがあったとして、今回のように被って届いたはがきの判定はどうなるの?
どちらかひとりの子のハガキに対応すればいいの?
もうひとりの子には、他の子に送り直してくれと頼むのが妥当なのかな???


友達、5人もおらんし(笑)


私に送ってくれた子は、誰かからハガキをもらって、それを見て送ってきたに違いないのだが、あやしいとは思わなかったのだろうか?

そのこころの内やいかに???

・本気でギネスに載るのだと信じている
・なにも考えず書いてある通りにしただけ
・付き合い
・よくわからないけどおもしろそうだから
・友達多いぞ自慢

私は、明らかにギネスは嘘だろうと思っていた。
しかし、信じている子がいて、自分を信頼して送ってきてくれているのだとしたら、その期待を裏切るのも申し訳ない気がしたのだ。

そこで、母親に相談することにした。
こんなハガキが届いたのだけれど、どうするのがいいだろうかと。


そのとき、母親から、納得のいく答えをもらった記憶がない。
が、翌日か、翌々日だったか。
当時の担任から、クラスのみんなに向けて通達があった。

チェーンメール(拡散を促すハガキ)が流行ってるみたいだけれど、ギネスに載るということはないから、送るのはやめましょうと…。


え、それだけ?
っていうか、私がみんなのゆめ(期待)を壊しちゃったのかな???

先生の言うことはその通りだと思うし、送らないのが正解なんだということもわかる。
でも、実際に送っちゃった子が、いまの話を聞いてどんな気持ちになったか、といったことへの配慮はまったくなされなくていいものなんだろうか?

きちんと悩んでいた私の気持ちは、母親にも先生にも素通りされてしまったような気がして、透明になった自分の中の、もやもやだけが、宙ぶらりんに浮かんでいた。

時代は電子メールへ


一人暮らしを始めた頃、携帯電話が普及。
個人で持つのが当たり前になってきた。
すると、電子に形を変え、再びヤツがやってきた。チェーンハガキならぬ、チェーンメール。
奇しくも、時代の進歩で言葉と内容が一致した。

私は小学生ではない。もちろん、私に送ってきた人も…。

成人をしていた私は、親に相談することもなく、そのメールを無視した。
回数は忘れたが、1度ではなかったのを覚えている。

メールの内容は「ギネスに挑戦」ではなかったが、時代が変わっても、年齢を重ねても、人は形を変え、同じことを繰り返すのだろうか?

そして今日


小6の息子に届いたSNSの、2つのメッセージ。
コピー&ペーストで、簡単便利。
切手代もかからない。

SNSの運営会社がチェーンメールの危険性について実験してるということで、協力したら謝礼も弾むとかなんたらかんたら…。

本文の内容も形態も違えども、やってることは変わらない。そして、軽い気持ちで拡散しちゃう。

「信頼」とか「ゆめ」とか「期待」とかではなくて、ただ、なんにも考えてないだけなのかな。
大人に言われたことを、ただ、やっていたらいい。そういう教育だから、起こることなのかな。

だったら、みんなのゆめを壊しちゃったかも、なんて、あのとき、罪悪感を感じなくてもよかったのかもしれない。

大人になった今の自分が、透明だった幼いあの頃の自分の頭をなでてあげればいい。

「あなたの選択は、間違ってなんかいなかったんだよ。教えてくれてありがとう。不毛な鎖を断ち切ってくれて、本当にありがとう」ってね。


チェーンメールでお困りの方へ


チェーンメールについて調べるため、
「 ”チェーンメール” ”ギネス” 」
の2つのキーワードで検索したところ、自分の書いたこの記事がヒットして驚いた。

そんなわけで、まさにいま!チェーンメールが届いてお困りの方が閲覧していらっしゃる?という見解に達し、参考になりそうなリンクを以下に掲載した。
参考にしていただければ幸いである。

〈関連リンク集〉

撃退!チェーンメール
総務省HP
歴史・都市伝説

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一生、手元に置いておきたくなるような詩集を作りたい。 こころが折れそうなときに力をくれる絵本を作りたい。