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空を見上げて
カホコさんご一行が去ってから何日も経つというのに、カラスは相変わらず低空飛行でうろついている。外で騒々しく鳴くのは、きっと私の悪口でも言っているのだろう。もう雨が降らないか心配する必要はないが、別のものが降ってこないか気になって空を見上げる。このもぐらくんは他人事ではない。
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『うんちしたのはだれよ!』関口裕昭訳
(偕成社、1993年)※原作独語版1989年
以前、門扉を開けた途端に頭上に落とされた時は、鳴き声も羽音もなしにいきなりだった。すぐに空を見上げたが何の姿も見えず、思わず髪に触れた手の不快感といったらもう。帰宅時だったからすぐにシャワーで落とせたものの、出かける間際だったらと思うとゾッとする。
もっとも、思い当たる節はあった。庭木にキジバトが巣を作っていた形跡があり、大胆に剪定した。雨樋に棲んでいたスズメと激しい攻防戦の末、勝利を収めた。シャッター付きの車庫内に巣を作らせてほしいと入ってきたツバメには、話し合いの末、諦めてもらった。今後はこの面々に賢いカラスが加わることになる。しばらくは帽子を手放せない。
柿の葉は実を守る役目を終えたと悟ってか、収穫の翌日から一斉に散り始めた。僅かに先端に残っているのは、残りのエネルギーを若木に注いでいるからだろう。
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愛車を洗車しに走らせる途中、枯れ葉が1枚、まだワイパーに挟まったままだと気がついた。このままでは泡洗浄の強力ブラシで粉々になりそうだ。いくら落ち葉とはいえ、カホコさんご一行を守ってくれた葉の末路がこれでは悲惨すぎる。なんとかワイパーからすり抜けてくれないかと念じつつ、スピードを上げたら無事脱出。
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赤信号でシャッターを切ったのも束の間、青信号で発進した途端に飛び去った。
これはお別れの挨拶だったのか。
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みらいなな訳(童話屋、1998年)
フレディがおりたところは雪の上です。やわらかくて 意外とあたたかでした。引っこし先は ふわふわして居心地のよいところだったのです。フレディは目を閉じ ねむりに入りました。
フレディは知らなかったのですがー
冬が終わると春が来て 雪はとけ水になり 枯れ葉のフレディは その水にまじり 土に溶けこんで 木を育てる力になるのです。
フレディは生まれたところに かえったのでした。
また来年会えますように🍂
ヘッダー画像は かこさとし『からすのパンやさん』(偕成社、1973年)
上から時計回りにリンゴちゃん、レモンちゃん、オモチちゃん、チョコちゃん🐦⬛