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所変われば りんごも...

ジョニー・アップルシードとは、アメリカ合衆国の開拓期にりんごの種を植えてまわった実在の人物ジョン・チャップマンの通称。いまや伝説ともなった彼の話は、古くからアメリカの子どもたちに語り継がれてきた。

Written and Illustrated by Aliki, The Story of Johnny Appleseed
(Prentice-Hall Books for Young Readers, 1963)

1963年初版のこの絵本の最初のページを読んでみると…

Many years ago
when America was a new country,
there lived a brave and gentle man
named John Chapman.
John loved the out-of-doors.
He would walk for miles
in the woods
among the trees and the flowers,
happy and alone with his thoughts.

Cited from Aliki version

…すごくわかりやすい英語😄 それでいてジョン・チャップマンの人となりを端的に伝えている。新天地を求める開拓者たちが、西へ西へと武器を片手に幌付きワゴンで進む中、チャップマンは武器の代わりにりんごの種を携えて素足で旅立った。先住民を追いやる白人は嫌われていたが、チャップマンは例外だったという。

Johnny did not like people to fight.
He tried to make peace
between the settlers and the Indians,
for he believed that all
men should live together as brothers.

Extracted from Aliki version
*the Indians = the Native Americans

同じストーリーをさらに叙情的な詩と絵画で表現した絵本がこちら⬇️

A poem by Reeve Lindbergh & Paintings by Kathy Jakobsen, Johnny Appleseed
(Little, Brown and Co., 1990)

邦訳は『ジョニー・アップルシード りんごの木を植えた男』として稲本正訳でアーバンコミュニケーションズより1992年に出版されたが現在は絶版のよう。原著はAlikiによる版共々、今でも入手可能だ。

🍎Special thanks to Joyful Bookshelf for reading it aloud! 

私が初めて渡米した40年前⚠️自販機で日本よりも小ぶりなりんごが売られていて驚いた。たしか1個50セント程度だったと思う。袋に入っているわけでもない剥き出しのそのりんごを、誰もが洗いもせずにジーンズの後ろポケットで擦って丸かじりする。まさか擦るとキレイになる? それっておまじないみたいなもの? 洗いたい気持ちを抑えて私も倣って食べたが、お腹をこわすことはなかった。実はりんごは洗浄されて出荷されていたのだった。

その後、ワシントン州のりんご農場を見学して規模の違いに圧倒され、さらに出荷工場の説明でショックを受けた。店頭に並んでいるりんごは、すべて1年前に収穫した冷蔵品というのだ。にわかには信じ難かったが、こちらの動画を見る限り、今でもそれくらいは備蓄されていそうな気がする。

🍏Special thanks to Blippi for taking us to this Apple Fruit Factory Tour!  

ちなみにこの動画の再生回数は1億4千万回。勝手に想像するに、全米の子どもたちが学校でジョニー・アップルシードのお話を学ぶとともに、フィールドトリップの事前学習等でこの動画を見ているのかもしれない🤔 ちょっと私には落ち着かない演出だけど、りんご農場や工場は私が見学した時と変わっていなくて、懐かしさで見入ってしまった。(おまけに 私の寿命を縮めたあの大型トレーラーも登場😆 もしもご興味があれば、ぜひ動画をご覧ください!)

ところで、ジョン・チャップマンは、今のアメリカをどのような思いで見ているだろう。りんごがこれほど増産されることも、武器を携える人たちの末路も、まさかここまでとは思い及ばなかったにちがいない。