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読み出したら止まらない時代小説

暑いですね…それでも風が吹いているので木陰で取り出したのがこちら。

笹目いく子著『独り剣客 山辺久弥 おやこ見習い帖』
(アルファポリス文庫、2024年)

時代小説は自分にはハードルが高くて、これまで何度挫折したことか。でも今回まず立ち読みで心を鷲づかみにされ、気がつけばベンチで汗だくになって読んでました。

冒頭の一文は「灰が音もなく、雪のように降りしきっていた。
江戸の大火直後の灰色の光景が最後にどのような色彩に変わるのか期待しつつも、ワケあり浪人久弥ひさや と迷い子の少年がこの先どうなるのか心配でなりません。結局、次回の緑陰読書を待てずに家に持ち込み、一気に読了しました。

前半、名前のない少年に名が付いただけでもウルウルしていた私は、後半もう涙ボロボロ😭 血縁なくとも周囲の人達が少年を気にかけるのと同じように、よそのオバさんである私も子を守りたい一心で江戸の町にワープしたのでした。

新刊なのでネタバレなしの感想メモのみで失礼します📝

・まるで映像で見ているかのような圧巻の情景描写
・ボキャブラリーがすこぶる豊富
・著者は江戸の町並みと三味線を知り尽くしているかのよう
・身分によって異なる江戸言葉の広がりと奥行き
・抑えた愛情表現の効果絶大
・庶民のみならずお武家さんもいろいろ大変

江戸時代を扱った小説でありながら、人と人の絆や絶えない争いごとなど、現代にも十分通じる物語でした。noterでもある笹目いく子氏の益々のご活躍を心より楽しみにいたしております。


📙追記📙
畏れ多くも著者記事内でご紹介いただきました。

膨大な参考資料も教えてくださり、おかげさまでようやく納得です⬇️

本書を執筆されたきっかけについては、こちらで触れておられます⬇️