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ひとり寝は自立への一歩 (?)

Bedtime for Frances (邦訳『おやすみなさいフランシス』松岡享子訳)は、ひとりで眠れない子どもの気持ちを表現し尽くしています。【以下ネタバレあり】

Text by Russell Hoban & Pictures by Garth Williams,
Bedtime for Frances (HarperCollins, 1960)

幼い頃から個室でひとりで眠ることを習慣づけていく文化圏では、子どもの恐怖心はどれほど大きいことでしょう。

She【Frances】closed her eyes, but she still could not sleep.
So she began to sing a little song about the alphabet.

大人なら羊でも数えるところ、フランシスはアルファベットの歌を歌い始めます。ところが、"T is for tiger" の連想から部屋に虎がいるような気がしてくるのです。

"There is a tiger in my room," said Frances.
"Did he bite you?" said Father.
"No," said Frances.
"Did he scratch you?" said Mother.
"No," said Frances.
"Then he is a friendly tiger," said Father.
"He will not hurt you. Go back to sleep."
"Do I have to?" said Frances.
"Yes," said Father.
"Yes," said Mother.

この後もフランシスには巨人が見えたり、天井の割れ目から何かが出てくるように思えたり、風でカーテンが動くのが気になったりします。こわくてお父さんとお母さんのベッドで一緒にねたがるフランシスに、お父さんが毅然として答えます。

"That is the wind's job," said Father.  "Every night the wind has to go around and blow all the curtains."
"How can the wind have a job?" said Frances.
"Everybody has a job," said Father.
"I have to go to my office every morning at nine o'clock.
That is my job.  You have to go to sleep so you can be wide awake for school tomorrow.  That is your job."

カーテンを動かすのは風の仕事。会社に行くのがお父さんの仕事。明日しっかり目覚めて学校(または園)に行くのがフランシスの仕事。このお父さんの言葉には、子どもに自立を促す意図が感じられます。フランシスは自分の部屋に戻っても、窓にぶつかる蛾を気にしますが、やがて疲れはてて眠りにつくのです。

そういえば、夜はなかなか眠れなかった私の幼少期も、ひとりで寝ることを強いられていました。昔からお昼寝派なのは、闇が迫る夜よりも明るい昼間のほうが安心して眠れたからなのかもしれません。


※自立を急がせようとひとり寝を強要するのがよいことなのか私的には疑問なので、タイトルに疑問符を括弧入りで追加しました。