Bedtime for Frances (邦訳『おやすみなさいフランシス』松岡享子訳)は、ひとりで眠れない子どもの気持ちを表現し尽くしています。【以下ネタバレあり】
幼い頃から個室でひとりで眠ることを習慣づけていく文化圏では、子どもの恐怖心はどれほど大きいことでしょう。
大人なら羊でも数えるところ、フランシスはアルファベットの歌を歌い始めます。ところが、"T is for tiger" の連想から部屋に虎がいるような気がしてくるのです。
この後もフランシスには巨人が見えたり、天井の割れ目から何かが出てくるように思えたり、風でカーテンが動くのが気になったりします。こわくてお父さんとお母さんのベッドで一緒にねたがるフランシスに、お父さんが毅然として答えます。
カーテンを動かすのは風の仕事。会社に行くのがお父さんの仕事。明日しっかり目覚めて学校(または園)に行くのがフランシスの仕事。このお父さんの言葉には、子どもに自立を促す意図が感じられます。フランシスは自分の部屋に戻っても、窓にぶつかる蛾を気にしますが、やがて疲れはてて眠りにつくのです。
そういえば、夜はなかなか眠れなかった私の幼少期も、ひとりで寝ることを強いられていました。昔からお昼寝派なのは、闇が迫る夜よりも明るい昼間のほうが安心して眠れたからなのかもしれません。
※自立を急がせようとひとり寝を強要するのがよいことなのか私的には疑問なので、タイトルに疑問符を括弧入りで追加しました。