ダイブする読み
町田尚子さんの絵本
今日、5歳クラスの保育に入ったんです。
「よしよし、絵本をガッツリ読めるぞ」
とニヤニヤしながら、読む絵本を選び
保育室に持っていく。
最近子どもたちに人気なのは、
「さくらいろのりゅう」という絵本。
町田尚子さんの絵本って現代的な絵なのですが、
昔話との相性がすごくいい。
昔話って、独特の味わいがあるじゃないですか。
言葉づかい、ストーリー展開、
何より匂い!!
いや、本当に匂ってくるわけじゃありませんよ。
けど読んでいると「あぁ〜昔話だわ」って思ってしまう独特な雰囲気がある。
や
ね。
「さくらいろのりゅう」と上の2冊、
まったくテイストが違う。
表紙を見るからに、昔の絵本と今の絵本って見てとれる。
けどね、読んでる時の感覚が同じなんです。
過去に、町田尚子さんの昔話絵本でこんなのも子どもに人気がありました。
「さくらいろのりゅう」と「マッチうりのしょうじょ」は、
ホントに不思議。
何回読んでも、読み始めはミスマッチな違和感を覚える。
けど、読み進めるうちに
ズズーーーーーーンッ!!
と絵本の世界に没頭してしまうんです。
子どもたちもその世界観に釘付けです。
息をのむように、静かに、けれど確かに味わっている
のを空気感が伝えてくる。
ば〜らばらに座って見る子どもたち
読み聞かせをしている風景といえば、
読み手の前に子どもが座っているのを思い浮かべませんか?
↑こんな感じ。(絵本イベント「THE 絵本Vol1」の一コマ)
けどね、今日5歳で読んだ時に全然違う風景があったんです。
活動が終わり子どもたちに「絵本よもっかーー」と声をかけると、
「さくらいろのりゅうがいい!!」と開口一番リクエストが。
そうくるだろうと思っていたので、もちろん手元に用意してますよ、私は。
正直、最近読みまくっているので「またかぁー」と思いつつ手にとる。
「絵本が見えるところに行くんだぞー」と声をかけると、
各々は座る位置を変える。
子どもの中で1人、どういうわけだかものすっごい後ろに陣取るのが
好きな男の子がいるんです。
その子が今日もズイズイ後ろに下がる。
それを見た他の子たちもワラワラズイズイ後ろに下がる。
後の壁ドンつきまで下がる子、
かなり後方にいる子、
部屋の中央あたりに座る子、
それを見た私は思いましたよ。
いつもとチョット違うことに楽しみを感じてそうしてるだけ
と。
「おーい、ホントにそこで見えるんだなー。いいのなー。」
と声をかけると
大丈夫〜〜
なんてヒョロっと返事をする子どもたち。
まあいっか、と思い読み始める。
ここから驚きの出来事が始まりました。
マジで見てるじゃん!?
正直な事を言うと、
こんな状況を前にして
ホントに見るのかね
と思ってました。
だって、映画館で映画を見てるわけじゃないんだから、
小さな絵本をそんな後ろで見えるのか?
と思うわけですよ。
そんな中で読み始める。
町田尚子さんのダイソン並みの吸引力に
引き込まれながら、後ろ髪を引っ張られるように
どうなのよ!?
と言う気持ちにせめぎ合う僕。
怪しむ僕だったんだけど、
段々と
あれ?見てるんじゃね・・・コレ?
と言う空気が流れ始める。
なんか、ジッと見てる子どもや、真っ直ぐに伸びる心地よい緊張感を
感じ始めると疑っている自分ちがどうでもよくなってきたんです。
まあいいや、見てるっぽいし、このままいけぇーーい!
となり、町田尚子ダイソンにのまれて読みました。
いやーー、すごい楽しい・・・。
あんなにもバラバラに座ってるのに、
目と気持ちのフォーカスが絵本に向かってる。
可哀想だよ・・・
そんなのズルい。
大丈夫だよ!悪いことしてるんだから上手くいかないもん!
と、呟いたり、友達と話したり。
一緒に絵本を読んでるなって感じました。
きっと、子どもたちは居心地のいい場所で
絵本を味わっていたんだと思います。
ダイブする事の大切さ
子どもは、居心地のいい場所や、
今の自分に相応しい場所を感じとる力が
あるんだなって思いました。
感じようとして、探して、試して、また感じて、
見つけた場所と自分の感覚に素直になり、
自分を信じる。
チョット仰々しいかもしれないけど、
子どもの姿からそう感じました。
結果としてね、
僕は町田尚子ダイソン&さくらいろのりゅうダイソンの
力をかりてあの場を受け入れることができた。
結果として、信じることができた。
だから、子どもは「自分の居場所」で
絵本を楽しむことができた。
ホント、結果論ですけどね。
あの読みの場を振り返ると、ダイブする事の大切さを
痛感します。
不安や、
思い通りにいかなかもしれない未来に怖がったりするけれど、
何かを信じて飛び込む事って大切なのかもしれないと、
あの場が、子どもが教えてくれたような気がします。
大変だけどね・・・信じて飛び込むって。
ガムシャラにダイブするって、勇気のいる事だけどね。
けど、僕はあの風景をもう一度見たいから、
もうチョットダイブする勇気を奮い立たせようと思います。
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