第4回 蛯名智子さん
絵本・応援プロジェクトのWebマガジンへようこそ。
今回は、青森県で活躍されている第4期絵本専門士の蛯名智子(えびなともこ)さんにご登場いただきます。
蛯名さんは、小学校や子育ての経験から絵本専門士を目指されたとのこと。
どんなエピソードを聞かせてくださるのでしょうか。
蛯名智子さん
4期絵本専門士
青森県上北郡東北町在住。
(しじみと長芋がとっても美味しい自然豊かな町です)
元幼稚園・小学校教諭。
その他、小学校非常勤講師、特別支援教育支援員、
学校業務補助員(スクールサポートスタッフ)を経て
現在は、地元の公共図書館に勤務し、子ども読書推進業務に従事しています。
絵本専門士の他には、基礎絵本セラピスト®︎、食育インストラクター、子ども食育健康管理コーディネーターを保有。
絵本と食育のコラボ活動や選書サービスがメインのオンライン絵本専門店としても活動しています。
プライベートでは、双子男児の母です。
日々、子どもへの読み聞かせや絵本などを通しての会話を楽しんでいます。
絵本専門士を目指そうと思ったのはなぜですか?
小学校に勤務していた時に、毎日、帰りの会で絵本を読む先生に出会い、私も実践してみることにしたんです。学校生活は、一日に沢山の出来事が起こります。でも、帰りの会で顔を突き合わせて一冊の絵本を囲むだけで、不思議と塩梅良く一日を終えることができるのですね。ある日、生徒からこの本を読んで欲しいというリクエストがあり、次の日からは生徒たちが私の机に読んで欲しい絵本を積んでいくようになりました。
この経験もあり、出産後は、生後2か月目から子どもと絵本を読むようになりました。7歳になる今も、毎日一緒に絵本を読んでいます。教員として読んできた絵本と、子育てとして読む絵本は、少し違うんですけど、それでも絵本っていいなと感じていることに気づき、次第に絵本のどんなところが良いのか、なぜ良いのかなどを知りたくなったんです。そんな思いから、絵本に詳しくなりたいとネットでいろいろと調べていた時に、絵本専門士を見つけました。
受講時は子どもが3歳で、スクーリングの日は家族や周囲のサポートが不可欠でしたし、仕事もしながらだったので、隙間時間を見つけては課題に取り組むなど、ハードな日々を送りましたね。
絵本専門士を取得して、絵本の活動に変化はありましたか?
私が絵本専門士を取得したのは、初めて青森県から二人の絵本専門士が誕生した年でした。そのため、周囲には絵本専門士をご存じの方もなく、最初の一年は、自分たちでなんとかしなきゃと思っていました。
それでも私の場合は、地元である東北町の広報さんが取得前から注目をしてくださっていて、取得のタイミングで広報誌にお薦めの絵本を紹介するお話しをいただいたり、「絵本専門士さんに聞きました」という記事で取り上げてくださったんです。その記事が県内の広報誌で評価されたこともあって、自治体の皆さんから様々なお声掛けをいただくようになりました。
今年度は地元の公共図書館で勤務し、子ども読書推進を担当させていただいているので、選書や児童書スペースの飾り付けなどは、これまでの経験を活かして精いっぱい取り組んでおります。
最初は、絵本専門士がお仕事に直接結びつくイメージはなく、自分の活動の中で、必要な方に絵本について学んだことが伝わるといいなと思っていました。でも、お仕事で町の教育向上や子育ての充実に関われることは、やはりやりがいもありますし、絵本専門士に挑戦して良かったですね。
絵本専門士の認定式で、肥田美代子先生が「これまでご苦労されてきましたね。これからはもっとご苦労されてください。」と激励してくださったんです。それが今、すごく自分の中に響きます。取得から3年が経って、個人の活動とお仕事を通してみると、受講時に聞いたことはこういうことだったのだろうかといった新たな発見もあり、調べ直すことも増えています。絵本専門士の取得は、まさにスタートでしたね。
(現在のお仕事での企画展示)
今後、絵本専門士の活動でやってみたいことはありますか?
絵本を学ぼうと思った根底には、教員や子育てを通して子どもたちの学習や人としての成長をもっと後押ししたいと思った経緯があるので、個人の活動や自治体さんからのお声掛けを活かしながら、まずは地元の子どもたちの学習や心の面などで、人としての成長を促せるような活動をしていきたいですね。
未来は今の子どもたちにかかっていると思うと、考えることや人と触れ合うことを楽しめる大人になって欲しいと思うんです。今の私もそうです。知りたいですし、ご縁があるといろいろなことを学び、糧にもなっているので、一人でも多くの子どもたちがそうなってくれると嬉しいですね。
絵本にかかわる皆さんへの応援メッセージをお願いします。
絵本って、誰かに読んだり、読んでもらったりすることで、価値を発揮するのかなって感じています。自分一人で楽しむのも良いのですが、人との繋がりを生んでくれる素敵なツールなのではないでしょうか。
子どもと読んだ時も、お話し会で出会ったお子さんと読んだ時も、絵本には幾つもの思い出がありますね。皆さんも、絵本には沢山のエピソードが詰まっているのではないでしょうか。
一番記憶に残っているのは、5年生のクラスさんに『どろぼうがっこう』を読んだ時のことです。先生が泥棒をしてくる宿題をだしても、生徒たちはポンコツで、誰もちゃんとした泥棒ができないという楽しいお話しなのですが、読み終えた時に男の子が大人には気づけないような感想を言ってくれたことがあって。子どもって賢いなっ、て思わされました。
昨今は、人との交流が難しいですが、オンラインの活動で繋がったり、または執筆することで、読んだ方が繋がることもあるので、自分の近くに来るご縁を大切にしながら、ぜひ沢山読んでいただけたらと思います。
『どろぼうがっこう』(偕成社 1973)
作・絵:かこさとし
いかがでしたか?
蛯名さんは、オンラインの画面からも優しさと温かさが伝わってくる素敵な方でした。
絵本は、聞いた方だけなく、読んだ方にも思い出を授け、その思い出は心に留まり、ふと浮かび上がっては、また私たちを楽しませてくれるのですね。
人との繋がりの大切さをあらためて感じました。
次回は、水野有子さんです。お楽しみに♪
絵本・応援プロジェクト~YELL2021~は、絵本と絵本に関わる全ての人を応援します。
この絵本専門士さん応援企画や公開中の児童書・絵本専門店さん、絵本カフェさん応援企画、そして今後は、出版社さん応援企画、絵本を使った活動応援の企画、作家さん・画家さん応援企画などなどを計画中です!
お楽しみに‼