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第5回 水野有子さん

絵本・応援プロジェクトのWebマガジンへようこそ。
今回は、北海道で活躍されている第4期絵本専門士の水野有子(みずのゆうこ)さんにご登場いただきます。
今年、私設移動図書館を開設されたという行動派の水野さん。早速、お話を伺いましょう。

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水野有子さん
第4期絵本専門士
 北海道十勝在住

 ●公共図書館3館の勤務を経て現在は大学図書館勤務
 ●夫と娘2人(大学1年・高校1年)の4人家族
 ●絵本専門士(4期)、図書館司書、2級知的財産管理技能士、
  ビブリオバトル普及委員会会員、えほんマイクロライブラリー主宰
 ●保育者実務研修、高文連、生涯学習等各種講演実施
 ●地域交流に主眼を置く絵本イベント開催

絵本専門士を目指そうと思ったのはなぜですか?

私は、長く図書館に勤務しており、公共図書館で児童書も担当したこともあったので、絵本については、ある程度の知識は備えていると思っていました。ところが、現在勤める大学図書館で、学生の質問に答えたり絵本を薦めるているうちに、経験則だけでなく、理論的に説明が出来ているか不安を覚えるようになったんです。これが、絵本についてしっかりと学ぼうと思ったきっかけです。
勤め先の交流先に絵本専門士を取得されている方がおり、ちょうど上の娘が受験の年に、一緒に受験生をしてみようと絵本専門士にチャレンジすることを思い立ちました。それは、その年の募集締切日の直前のタイミングだったので、決心してすぐに応募書類に取り掛かったことを覚えています。

受講中は、家族や職場の協力を受けながら週末のスクーリングに通いましたが、何より大変だったのは「帰宅」でした。帯広への最終便は17時台。翌日の出勤に対応するためには、最後の授業が終了すると同時に空港に向かわないと間に合いません。空港の正面ゲートに着いてからも、帯広行きの搭乗カウンターまで脇目も振らずに全力疾走していましたね。スクーリングには、スニーカーが必須でした(笑)。

学生と大型絵本を作成しおはなし会実施

(学生と大型絵本を制作し、お話し会で披露)

絵本専門士を取得して、絵本の活動に変化はありましたか?

大きく変わったのは、講演の機会を沢山いただくようになったことです。
絵本専門士を取得する前は、業務で絵本に関わる他は、特別に絵本の活動はしていなかったんです。それが、十勝では初めての絵本専門士ということもあって、地元紙に紹介の記事が掲載された翌日に、高校文化連盟から講師の依頼が飛び込んできました。この時は、不安もありましたが、経験してみたいという気持ちが勝ってお引き受けしていましたね。当時は、絵本専門士として十勝に絵本の魅力を広めたいという責任感と、高校生に絵本の魅力を楽しく伝えて自信をつけたい一心だったと思います。今では、勤務先での授業、保育士さん向けのスキルアップ講習、公共サービスからのご依頼、個人で活動されている大人のサークルなど、幅広く講演の機会をいただくようになりました。

講演の準備には、職務を活かして専門書や研究論文を片っ端から読むようにしています。例えば、生涯学習の講座で『おおきな木』を取り上げた際には、事前に先行研究を当たり、本書のいろいろな解釈を紹介して、受講者と対話をしたり。全く新しい受け止め方が受講者から提示されることもあって、発見も多いですね。

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『おおきな木』(あすなろ書房 2010)
シェル・シルヴァスタイン:作・絵
村上春樹:訳

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今後、絵本専門士の活動でやってみたいことはありますか?

私の目標は、「地域全体の絵本フリーク化」です。
目標に向けた活動の一つでもあるのですが、先日「えほんマイクロライブラリー」という私設の移動図書館を立ち上げました。十勝は、公共図書館の移動図書館サービスが次第になくなる状況にあり、移動手段のない利用者へのアウトリーチサービスをどうしていくかが課題となっています。そんなサービスが届きにくい場所へ出向き、少しでも絵本に触れる機会を作ることができないかと考え、自ら絵本を届けることにしたんです。
今は休暇を利用しながら、通勤用とは別に購入した車に絵本を並べた棚を積んで、幼稚園を訪問したり、地域のイベントに参加しています。地元の書店とも交渉し、気に入っていただいた絵本が購入できるルートも確立しました。微力ながら地域の活性化に繋がれば嬉しいですね。

また、この冬から、自治体の情報媒体で絵本のコラムを執筆させていただくことになりました。そういった情報発信や、社会で活躍する卒業生たちとのネットワークを通して、目標に一歩ずつ近づけたらいいなと思っています。

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絵本にかかわる皆さんへの応援メッセージをお願いします。

絵本は、毎年数多くの作品が刊行されており、またロングセラーの中にもまだ出会っていない作品が沢山あるかと思います。そして、定番の絵本であっても、調べてみたら逸話があったり、作者の想いが語られていたり、読み返す度に気づきがあることも少なくありません。

そこで、ぜひ大好きな一冊を一歩踏み込んで調べてみることをお薦めしたいと思います。もちろん作品を読んで楽しむことだけでも素晴らしいのですが、もう少し踏み込むことでこれまでとは違う見え方や捉え方も味わえるかもしれません。実は、私自身も日々発見ばかりです。何度でも新しい発見があるのが絵本の魅力。その一つ一つを吸収して、これまで以上に絵本を楽しんでいただければ嬉しいです。

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圧倒的な行動力と探求心!驚かされるばかりのインタビューでした。
こんなことができないかなと思ったことをカタチにする「力」ってすごいですよね。
絵本専門士が自分を変えてくれたと語ってくださった水野さんでしたが、事務局の目には、水野さんの秘めたパワーが絵本専門士をきっかけに表出しているように映りました。これからも水野さんのご活躍に目が離せません。
次回は、平佐喜子さんです。お楽しみに。

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絵本・応援プロジェクト~YELL2021~は、絵本と絵本に関わる全ての人を応援します。
この絵本専門士さん応援企画や公開中の児童書・絵本専門店さん、絵本カフェさん応援企画、そして今後は、出版社さん応援企画、絵本を使った活動応援の企画、作家さん・画家さん応援企画などなどを計画中です!
お楽しみに‼

https://www.ehon-ouenproject.com/

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