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『子うさぎましろのお話』から学ぶ
あけましておめでとうございます。トマトです。
子育てがひとまず一段落したので、私のこれまでの体験と子育て・知育・日本語/英語絵本の読み聞かせ経験が誰かのためになるように、今年は絵本にかかわるいろんなことを少しずつ発信していきたいと思ってます。
不慣れですが、よろしくお願いします。
最初の記事は、絵本『子うさぎましろのお話』について。インターナショナルスクールで子どもたちに日本語を教えている日本語教師としての観点も交え、私の思うことを書いていきたいと思います。
半世紀以上も愛される名作
今年最初に読んだ絵本は、こちら『子うさぎましろのお話』
題名:『子うさぎましろのお話』
文:佐々木たづ さん
絵:三好硯也 さん
出版社:ポプラ社
漢字表記:あり(低学年程度)・ふりがな付き
ページ数:32ページ
出版はなんと1970年!半世紀以上にわたって親しまれているの名作です。佐々木たづさんは、高校生の頃に両目を失明し視力を失います。視力がないからこそ、白うさぎと黒うさぎというモチーフでの色彩豊かな情景を表現する完璧な創作へとつながったのかなと思ったりもします。
あらすじ
白うさぎの「ましろ」はサンタクロースから贈り物を貰います。「ましろ」はその贈り物をもう一つ貰うために黒うさぎに変身してサンタクロースのところにもう一度行きます。サンタクロースには、それが「ましろ」であることがすぐにわかるのですが、わからないふりをして自分のサンドイッチと何かの種をくれます。はじめこそ、得したと喜んでいた「ましろ」ですが、そのうち罪悪感を感じ不安にさいなまれます。そこで、罪滅ぼしのためにその種を地中深く埋めることを思いつき、白く冷たい雪を掘って掘って掘り進んでいくうちに、自分の体がもとの白うさぎに戻っていくのを感じます。そしてその種はやがて大きなもみの木になり、たくさんのおもちゃが実る木となっていきます。
その先は、どうぞご自分で読んでみてくださいね。
天使と悪魔が同居する
私が生徒さんたちと一緒にこの絵本を読む時には、「ましろ」が軽い気持ちで過ちをおかしてしまったことに注目します。
心の中が100%善である人間はいません。誰しも自分の中に天使と悪魔が住んでいる。なので、人は間違いを犯す生き物。もし間違ってしまった時、その後どうしたらよいのか。自分は「ましろ」と似たような経験はないか、「ましろ」の立場ならどうするか等について、ディスカッションしていきます。ポプラ社さんのHPを見ると、対象年齢は3歳から5歳となっていますが、私は小学校低学年くらいの生徒さんたちと一緒に読んでいます。中学年でも良いと思います。
この善と悪、そしてその中間を、白うさぎと黒うさぎで表現していく、佐々木たづさんの色彩感覚。見事としか言いようがありません。
子どもたちは、「罪悪感」とか「反省」とか「後悔」とか「更生」とか、そんな難しい単語はわかっていませんし、本の中にもそんな言葉はまったく出てきません。でも、みんなで一緒にこの本を読むことにより、その概念を肌感覚で身に着けていきます。
また、この本はシンプルな線描によるイラストで描き出されていますが、その無駄のない線が、物語の情景を豊かに描き出しています。絵の中に挿入された文字の配置等にも注目して頂きたいです。
まとめ
『子うさぎましろのお話』いかがだったでしょうか?
大人が読んでも心が洗われ、温かい気持ちになれる物語。クリスマス前後に、年末年始に、お子さんと一緒に読んでいただきたい絵本です。
一年の初めにこんな素敵な絵本を読めたことに感謝。
やっぱり絵本が大好き!
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