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天井から見た年末の風景『こたつ』

こんにちは、トマトです。子育て・知育・日本語/英語絵本の読み聞かせ経験を活かして、絵本にかかわることを少しずつ発信しています。

今日の記事は、絵本『こたつ』について。昭和生まれの私には、「こたつ」は年末年始に欠かせないアイテムでしたが、洋風の家が増えた昨今では、なかなか貴重な風景となりました。昔懐かしい「こたつ」のある風景をあますことなく魅せてくれるこの絵本です。ご紹介していきます!



概要

絵本の概要です。

題名:日本傑作絵本シリーズ『こたつ』

作:麻生知子(あそうともこ)さん

出版社:福音館書店

漢字表記:なし

ページ数:32ページ

2020年11月に誕生したこの絵本。正直もっと古いのかと思いましたが、コロナ中に描かれたのですね。


あらすじ

「こたつ」を囲む家族を天井から見下ろした形で展開する絵本。語り手もナレーションもなく、居間(リビングでなく和室の居間!)に集まる家族の会話だけで展開していきます。昭和時代によく見られたごく普通の大みそかの風景をさりげなくユーモア交えて描き出しています。

終始上から見下ろしたイラストのため、登場人物の顔が最後まで絵本の絵の中には出てこないという珍しい絵本です。

お母さんとおばあちゃんが忙しくお節料理の準備等をしている中、宿題もやらずに遊んでいる孫や届いたお歳暮を受け取るお父さんの姿。夜には除夜の鐘をつきに出かけ、年が明けたらごちそうが並ぶ「こたつ」。
これぞ日本の年末年始の平和な風景。昭和世代の私としては、後世に伝えたい古き良き日本のお正月の姿です。



みんなで役になりきって遊べる絵本


上記のとおり、会話だけが文字情報で書かれていますが、誰のセリフなのかが分かるように、言葉の前に小さな顔のイラストが付されています。

せっかくなので、私は生徒さんたちと一緒に読む時には、役を決めて役になりきって読むようにします。こうすると、おばあちゃん役の子は、背中を丸めて片手を腰の後ろにあて、もう片方の手に杖を持っているような恰好をしたり、お父さん役の子は、がんばって低い声を出してみたりと、いろんな工夫をしてきます。子どもって、面白いですね。

真似るは学び

この「役になりきってやる」ということが、楽しい学びへとつながっていきます。
初めてのことは、まねっこすることから学んでいきます。いちいち理詰めで教える必要はなくて、遊びとして楽しんでやっていることが、実は一番の学びであることも多いのです。
日本語がまだ拙いお子様には、最高の日本語会話の教材となっています。劇風にしたり、ペープサートを用意して演じても楽しそう♪

絵本の後ろ表紙を見ると、

読んであげるなら 5才から
自分で読むなら 小学校初級から

本書裏表紙より

とあります。私も幼児さんや低学年の子どもたちと楽しむことが多いですね。


リアルすぎるイラストにも注目!

麻生知子さんの絵は、とーっても細かくて超リアル。こたつの上にあるポン酢の瓶とか、書きかけの年賀状とか、絵を見てるだけでなぜだか嬉しくなってしまうのは私だけではないはず。むかしプラモデルやトミカや鉄道模型にはまったというお父さんや、ジオラマ好きの方にも、きっと楽しんでもらえる絵本だと思います。


そして本文ではなく、小さな文字で書かれたセリフもお見逃しなく。おばあちゃんのメガネがなくなっちゃった時に孫が「あれ、どこかでみたような」みたいなつぶやきが所々にあります。(その後、めがねは見つかります。どこにあったと思います???)


まとめ

麻生知子さんは旅する作家さんとしても有名ですね。旅好きの私としても(勝手ながら)親近感を覚えてしまいます。全国各地と海外はカナダで旅と展覧会を行ってきたという麻生さんの、細かすぎる描写に是非魅せられてみてください。昭和世代には懐かしく、子どもたちには日本文化を垣間見る良い機会となるのではないでしょうか。

こんな素敵な絵本を造り世に産む出してくれた方々に深く感謝。

最後までお読み頂きありがとうございました。

やっぱり絵本が大好き!

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