第40回絵本まるごと研究会
11月25日に開催をした例会では、絵本の群読について、当研究会での実践と参加者の経験をもとに意見交換を行いました。(ここでの群読とは、教育現場での読みとは異なり、絵本の群読となります。)
複数名で読むことでの効果や、読み方のパターンなど、多くの発見がありましたので、紹介します。
矢阪亜希子
印刷業界初の絵本専門士(第5期)/JPIC読書アドバイザー(第25期)。絵本まるごと研究会や地域の読書支援ボランティアなどを通じて、造本の視点から見た絵本の魅力を伝えていきます。
相沢和恵
第5期絵本専門士です。東京都在住。元保育者養成校、勤務。現在は東京都保育士等キャリアアップ研修の「乳児保育」「障害児保育」の講師を担当しています。対面の講義では、絵本の読みあいをたくさん取り入れ、保育に活かす絵本の魅力を発信しています。
⒈「群読」の定義と「群読」による効果、等
・作品を理解し、一人で読む時とは異なった効果が期待できる絵本を、二人
以上の複数名で読む。
・1冊の絵本を読む読み手が複数名いる。
・音楽における独奏に対して、連弾やアンサンブル、オーケストラ等のよう
に絵本作品の持つ芸術性を高める。
・一人ずつの読み手の絵本に対するおもいは違っても、聞き手に伝えること
を目的として、複数名で読む。
・1冊を複数で読むだけでなく、2冊を読み手のそれぞれが1冊ずつ分担して
読む。
・一人で読む場合よりも、絵本の内容が聞き手に立体的に伝わったり、温か
みや深みも聞き手にも増して伝わる効果が期待できる。
・絵本に対するイメージや解釈が、一人で読む場合よりもより広がる。
⒉ これまでのまる研での群読活動
•2021年10月23日
「絵本の文化祭!STORY!」参加
(TEGAMISHA GALLERY soel)
•2022年5月4日
「上野の森親子ブックフェスタ」出展
(上野恩賜公園噴水池広場)
•2022年5月22日
「ドンチャンワイワイお話し会」 開催
(TREX KAWASAKI RIVER CAFE)
•2022年7月2日
「親子おはなし会」 参加
(ブレア保育園南行徳)
•2023年10月15日
「絵本ワールドin京葉」 出展
(城西国際大学紀尾井町キャンパス)
•2023年11月11日
「絵本ワールドin京葉」 出展
(城西国際大学東金キャンパス)
⒊ 群読 おはなし会の様子
⒋ 群読のパターン➀~④と、作品実践例
➀参加型
・聞き手が、読み手の誘導に合わせ、問いに答えたり、歌ったり、一緒に体を動かしたりすることで、作品を楽しむ群読手法。
群読の場合、聞き手は、五感を使って絵本の読みに参加することが,より可能となる。(例えば、声に出す、身体を一緒に動かす、読み手と聞き手の一体感が生まれる等)
②キャッチボール型(=掛け合い型)
・読み手が、適宜作品と聞き手を行ったり来たりしながら読み進める手法。読み手の出した問い(クイズ等)や、ことば遊び(しりとり等)に参加しながら、絵本を楽しむ手法。
③重複型
・多声による歌唱のように、複数名が担当のパートを読んだり、声を重ねて読む手法。絵巻もののような作風の絵本や、詩の絵本もこの型に入り、読み手が二人以上の方が深みが増す。
・音楽的要素が強い絵本には、この種の型の絵本が多い。リズミカルに読み手が読むことで、聞き手も自然にリズムに合わせて体も心も動く。
④配役型
・作品に登場するキャラクターを割り振って読む手法。
⒌群読からえられたもの(読み手として)
・1冊の絵本に対して、読み手それぞれの解釈が違うのは当然のこととして、群読を体験して自分の読みに幅や深みが加わる
・声をあわせる心地よさや楽しさを聞き手に届けることが出来る
・聞き手にとって、群読の手法がどうなのか、圧迫感になっていないか等、聞き手の立場になって絵本の読み方や選び方を考える機会になる
以上、活発な意見交換が出来ました。初めての試みのホワイトボードを使った事前のリサーチにご協力いただき、ありがとうございました。
参加された皆様から紹介いただいた群読に適した絵本のリストを作成しましたので、以下を参考になさってください。