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私が文系大学院に進学した理由

はじめまして某国立大学院に所属するEMです。これから少しずつこの場を借りて、大学院生活や大学院受験などについて書いていこうと考えています。

これが最初のnoteなので読者に読みやすいように書けるか心配ですが、まずは自己紹介も兼ねて、ここに私が文系大学院に進学した理由を綴りたいと思います。

今回このテーマについて書こうと考えた訳は大きく二つです。

①自分がなぜ院進を決めたのかをアウトプットする場を設けることによってそこに至ったプロセスを理解してもらうため
②院進する際に情報が少ないため、「これからの受験生への一助となれば」と考えたため

上記の点に則しながら自身の経験を交えて書いていきます。

*文章の文体が本文から変わりますが、気にせず読んでください。
 かなり稚拙かつ砕けた文章なので気軽に読んでいただけると幸いです。

Ⅰ 大学院進学を決める前段階

私は、都内の私立大学に通っていた。大学内のサークルには所属しておらず、外部のインカレ(のような団体)に所属し、基本的には中学や高校の友達と遊ぶ、映画と旅行が好きなごく普通の大学生であった。

実際、大学二年生の後期までは、自分が大学院に進学するなどほとんど考えていなかった。*1

しかしある日、私の兄(私とは違う大学に在籍)に「お前、映画好きだし一回俺のゼミに顔出してみなよ」、と誘われて兄が所属する批評理論のゼミに参加した。簡単に言えば、アメリカの映画に哲学などの理論を当てはめて考察するゼミである。そこが私の大きな人生の転換点だったと、今では思う。

そこでは学問を巧みに操り、発表者の考察に対して活発に議論を交わす、自分の目から見たらとても美しい世界があった。*2
知識の量など敵うわけもなく、ただ議論を眺めるだけであった私はそこで

自分も知識をもっとつけて学問を深めて色んな人と議論したい!!

と感じた。*3

かなり不純でありこの時点では危ういような気がするが、一旦この話は置いておく。

かといって、学問を深めるとは一体なにをすればいいのか、就職活動をして自分のやりたいことを探してみてからでも遅くないだろうと考えた私は、大学二年生にして就職活動を始めた。

ビックサイトなどで行われている就活イベントに足を運び、気になった企業へインターンや一次面接を受けに行った。*4

実際、魅力のある企業は多く、就職活動をすることでこれからのビジョンを描くこともできた。しかし、集団面接やグループワークの中には、大学院在学の方もおり、もっと勉強してから社会に出ても遅くないことも、就活を通して知った重要なことである。そこで「本当にやりたいこととは?」と自分に問い、私は大学院に進学することに決めた

さらに決め手となったのは、兄の一言である。

「一生に一回は死ぬほど勉強する時間があってもいいと思う」

この言葉がどの程度の人の心に響くかは分からないが、当時の私はカルチャーショックかというほど感銘を受けた。勉強に人生を捧げる時間があってもいいのかと。こんな単純明快なことにも気づかないほど、私は何も考えず人生を歩んできたのである。

*1…理系で院進する友人はいたが、それも少数で周りの友人はほとんど就職した。
*2…今でも覚えているが(発表の内容は記憶なし)、その時私が聴いた発表作品は『シンドラーのリスト』と『ウォッチメン』であった。どちらも面白いのでぜひ観賞を勧めたい。
*3…何故かはわからないが、元々テレビのコメンテーターなどの知識人に憧れを抱いていた。
*4…当時、私は大学二年生だったので3年生という体で潜り込んだ。大変無礼な行為であるため、その後、面接を受けに行った企業にしっかり謝罪し辞退した。おそらくこういった大学二年生向けのインターンや早期の面接などの体制は、徐々に整えられてきているので、しっかり情報収集をしてそういった制度を活用した方が無難である。

Ⅱ 大学院受験に向けて(ゼミ編)

どうでもいい私の過去の話が長くなってしまったが、ここから、大学院進学を考えている学生、または社会人の方が一番気になるであろう大学院受験の話題に入っていく。少し長くなってしまうが、大切なポイントが多いため、ゼミ編と学習編に分けようと思う。

ここで前置きをしておくが、私は自身の大学とは異なる大学院に受験しており、内部進学の学生とは全く性質が異なる。さらに、大学院はその大学ごとに受験の仕様が異なるため、これはあくまで私が進学した大学院への受験方法に限ることを記しておく。しかし、進学する研究科が同じであれば、勉強する内容にそこまで齟齬は生じないため、理系であれ文系であれ、研究内容に差異はあれど、研究する学問が同じであれば、ある程度の情報交換は有効である。


さっそく内容に入るが、先に私が何の学問を専攻し、院進しようと考えていたのかを概説する。私は経済学部に所属しており、ゼミでは「西洋経済史」を専攻していた。受験時に世界史が得意科目であり*1さらには経済学の授業も率先して受けていた。*2
そのためゼミ選択時、私のゼミはあまり人気がなかったようだが、友人と事前に合わせようともせず、初めから経済史のゼミに入ることを決めていた。

そしてこれが院進を考えている人にとって最も重要なターニングポイントになる可能性がある。ここである程度、自分がやるであろう研究内容が確定し、教授が今まで歩んできたキャリアによって、自分が院試についてどれだけのフォロー(大学教員のネットワークetc*3)を受けれるかが決まる。
実際、秋学期の院試は自分の実力でほぼ決まるため、正直ゼミの活動云々ではなく、どれだけ勉強してきたか、またはTOEICやTOEFLの点数の足切りを通れるかといったところが勝負である。
しかし、そうはいっても最近の大学院は「学業評価書」など、自身の学部時代の指導教員(主にゼミの教員)が作成した書類を提出させることも増えている。さらには勉強する内容や参考書についても、大学院の受験にはほぼ備え付けの解答というものが存在しないため、何を使って対策すればよいのかが自分では判断できない場合が少なくない。そのため、指導教員の果たす役割はとても大きいように感じる。どのように受験を乗り切ったか、何を参考に学習すればよいかなどは、自分で調べるより、先輩や指導教員に尋ねたほうが確実であろう。*4

しかし、大学の教員も自身の研究や業務があり、手厚い対応は受けれないかもしれない。
ここで研究機関に属しているものとしてあまり言いたくないが、大学の教員とは自分の話をするのがとても好きな人種である(諸説ある)。大学の教員を、外界との接触をなるべく避けて研究室に籠っている姿を想像する人もいるかもしれない。しかし、彼らは実は意外と人と話すのが好きで、研究や興味があることには活発に参加するのである。そのため、指導教員との対話をする際には、自分から教員の研究内容について踏み込んでみたり、研究者を志した理由などを尋ねてみると、案外優しく教えてくれたりする。

私はこの点についてはかなり恵まれていた。
受験のための参考書や研究室にある学術書も快く貸してくれたし、さらには週一回、ドイツ語の翻訳指導も行ってくれ、かなり私の受験に手を差し伸べてくれた。
上記の理由から、ゼミの選択は非常に重要なターニングポイントになり得る。そのため是非、慎重に学内の先輩などを頼りながら指導教員を選んでいってほしいと思う。

*1…私は最初から私大志望であり、他に好んで勉強をする科目がなかったためという側面もある。
*2…経済学というと広義すぎるが、ここでは全ての授業を示すことができないため「経済学」と記す
*3…大学院試験は筆記試験が厳しい就活と考えてもよく、自分が志望する大学院の指導教員と事前に顔を合わせ、自身の研究内容などについて話しておかないことには、向こうも受け入れてくれない場合もある。そのためゼミの指導教員に仲介してもらいその場を設けることも必要になってくる。
*4…ここに記したのは自身の経験則からの助言である。もちろん経済学の中でもミクロやマクロ経済学は回答が備わっている場合もあるが、社会学や経済史はほとんどが記述であり、過去問の開示も問題だけに留まっている。そのため論述の対策のために指導教員に繰り返し自分の文章を添削してもらい、その学問の用語や言葉遣いについて示唆を受けることが好ましい。

Ⅲ 大学院受験に向けて(学習編)

これから学習編に入るが、正直、私は経済史の学習の方法しかわからない。よってこの章では、経済史の勉強について話すのではなく、主に就活組と比べてどのように自分のマインドを保つかという話に重点を置きたいと思う。科学的な話は一切しないので参考程度に読んでほしい。

私は大学3年生の春から院試に向けた勉強を始めた。ここで早いと思う人と遅いと思う人の両方が存在すると思うが、私の体感だと(志す大学院によるが)遅かった。勉強を始めた頃は、決心を固めたばかりというのもあって机に向かえるのであるが、如何せん周囲の友人全員が受験生であった大学受験の時とは状況が異なる。
3年生の夏頃に一度気が緩み、冬になると就活も本格化し周りも余裕がなくなってくるため、また気を引き締める。しかし翌年の3~6月、就活も落ち着き徐々に周りの進路が決まっていく。そして6~9月(この期間を私は魔の3か月と呼んでいる)、一気にやる気が削がれ、定着を図る時期に全く集中できない。

周囲の誘惑や就活生からの疎外感に苛まれる時期

これを乗り越えるために科学的な根拠抜きに二つの必要なものを説明する(持論)。これはとっっっても初歩的なことでありもっっっとも大事なことである(持論)。

①なぜ大学院に行くのか(行きたいのか)を明確にすること
②その先の自分を思い描くこと

上記の二つができていれば途中迷子になることはない、と私は考えている。

まず①は、自分が就活やその他の選択肢ではなく大学院に行くことを決意した理由をどれだけブレイクダウンできているかということである。これは就活の際に誰しもがやっていることだと思うが、大学院についてもそれは必須事項であり、「どうしても」という理由を見つけることが必要である。

なぜ大学院に行くのか
なぜその研究内容なのか
なぜその大学院なのか
なぜその指導教員を希望するのか など

この中のどれもブレてはならないし、逆にこれは根幹にあたるため、これがしっかりしていれば最後まで心が折れずにやり通せるはずである。
自分は4年生に入るまでこの問題に頭を悩ませたが、これは先にも述べたように、初歩的な問題なので決まっている人は大学院に向けた勉強を始める初期段階から決まっていて、最後までブレなかったりする。

②については、自分が修士課程を修了した後、就職するのか、起業するのか、博士課程に進むのか、そういった明確なビジョンが描けるかである。
これは、大まかで構わない、と私は思う。周りが就活を終え、どういった企業に就職するのか、または事業を立ち上げたのか、はたまた世界一周に行くのか留年するのかわからないが、将来の自分の展望を持たずして、外界との接触を断ち切って勉強をするなど不可能である

だからこそ、修士課程を卒業してメガバンクや総合商社に就職するでもいい。博士課程に進学して教授になるでもいい。他方、地方の研究職やシンクタンクで研究を続けるのもいいかもしれない。そういった希望を少しでももっていれば、周りの進路などよりも自分が選んだ道の方がいいと思えることもあるはずである。

上記の二つは正直、院試ではなく全てに通ずる考えである。ぜひ、何かに挑戦する時は、これらをしっかり練って挑んでみてほしい。

結び

私が大学3年生の時、尊敬する院進した先輩がこんなことを言っていた。

「大学院は覚悟がいる。図書館で一人で勉強している時、家で一人で本を読んでる時、なんで俺こんなことしてるんだろうって考える日がある。」

正直、当時はその言葉の意味を理解できていなかった。
しかし院進した今、そう感じることが多々あり、その言葉の重みが分かる。これから受験を考えている方は大変かもしれないが、入ったらこの生活が楽しくて抜け出せなくなるかもしれないという忠告を結びにかえる。

長くなってしまって申し訳ありません。
おそらく読みづらく伝わらない部分も多々あるとは思いますが、最後まで読んでくださった方がもしいれば、嬉しいです。またその人が、少しでもこのnoteを読んで役に立ったなと思ってくれたら幸いです。



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