【Event Report】暮らしに ひと振り スパイスを
「LIFE IS SPICY」をコンセプトに、西へ東へと旅をしている溝端裕子さん。行く先々で、スパイス料理を学んだり、料理教室を開催して、スパイスの魅力を広めたりもしています。1/15に松山で開催した、「暮らしに ひと振り スパイスを」に、食材調達から、イベント終了まで密着しました。
愛媛の食材に大興奮
朝の10時に、東温市のethnic green farm廣川農園さんに集合。スパイスの香り漂う、2升炊きの炊飯器が乗った車で、大阪から駆けつけてくれた溝端さん。廣川さんの農園で、唐辛子やパクチー、ケールなど、たくさん味見をさせていただいた後、ダンボールいっぱいに食材を買い込みました。
その訪問記はこちら▽
お昼は、廣川さん東温市のオススメを聞き、イタリア料理店「OTTO」でランチ。春を先取りしたようなお皿でしたが、もうどれも美味しい! と、お腹いっぱいになったところで、買い出しに。
まずは、太陽市。松山人にはお馴染みのJAえひめ中央の農産物直販所で、新鮮な野菜、果樹、肉や魚などが並びます。廣川さんも出品しているように、珍しい野菜も並ぶので、料理人にも利用されています。溝端さんが、昨年松山で料理をした時も、食材は主にここで調達。いろいろな旬の野菜や魚に出会えて楽しかったそうです。今回はフィッシュカレー用のアジなどをゲットしました。
そして、自然食品店furattoに。
店内には、自然農法で育てた野菜やオーガニックの食品、環境に配慮した製品が並びます。店主の上田さんが、商品の背景を語ってくれるのが、どれも興味深く、ついつい聞き入ってしまって長居してしまいます。
溝端さんのこの笑顔が、このお店の魅力の全てを物語っていますよね。豆を購入しましたが、量り売りというのが嬉しいサービスです。
店頭に並んでいた食べられるというレモンも購入。
人生はスパイシー
そして、19時になり、イベントがスタート。廣川さんも駆けつけてくださいました。
まずは、自己紹介。参加者の皆さんは、スパイスをこれから使ってみたい方やもっと使いこなしたい方ばかり。廣川さんのパクチーのファンという方もいました。
みんなの自己紹介の最後に溝端さんが語りました。「LIFE IS SPICY」というコンセプトを掲げて活動している溝端さんですが、スパイスの魅力にはまったのは、中学2年の時。アナン株式会社のスパイスブックに出会ったことが衝撃だったのだそうです。それからも、お小遣いはスパイスに使っていたというから、スパイスへの愛は筋金入りです。
アナンへの想いは募り、就職にチャレンジしますが、当時は募集していなかったことから、泣く泣く諦めることに。その後、飲食店で働いたところ、九州の食材の美味しさに魅かれ、九州に移住したいと思う中、長崎県の小値賀島を知り、小値賀島の地域おこし協力隊になる道を選びます。
協力隊としてのミッションは、島の特産品を使った商品開発。持ち前の行動力で、なんとアナンと共同開発できることになり、小値賀島のピーナッツカレーが誕生しました。念願のアナンと仕事をする夢が叶った訳です。人生、どうなるか分からないもので、回り道をしても、好きなことをブレずに貫いていたら、いつか報われる時が来る−−、真っ直ぐ頑張る人のエールになるエピソードだなあ、聞いていてそんなことを思いました。
そのカレーを提げて、小値賀島のPRと地域の食材をスパイスで輝かせることをミッションに、全国を飛び回るのみならず、旅は海外にも広がり、スパイス料理を学びます。その時に大切にしていることが、その地域や食材の背景や歴史、文化を大切にすること。
「なぜ、インドでは様々なスパイスが使われているのだろう」
「なぜ、こんなにも塩の種類があるのか、どう違うのか」
「この野菜は誰がどんなふうにつくっているのだろう」
そうした疑問を持ち、調べたり聞いたりして知ることで、食べるということがいっそう味わい深いものになる−−、だから、これからも「LIFE IS SPICY」な生き方を止めることなく、愉快に貫いていくのだと思います。
訪問した先々では、家庭料理を学ぶことも。効かせ過ぎないスパイスの使い方の極意や、唐辛子を使った保存食など、家庭で受け継がれてきた食の知恵には驚きと発見が満ちています。しかし、こうした家庭料理こそ、手軽で便利な選択肢が増えたことから、無関心でいるうちにひっそりと消えてしまう、そんなことがいつ起こってもおかしくない状況なのかもしれません。溝端さんが学んできた世界の家庭料理の知恵、もっと学びたいし、皆さんの家庭にも広がるといいなと思いました。
一期一会のガラムマサラ
そんな、溝端さんとのカレーづくりがスタート。
まずは、スパイス講座。スパイスの種類や役割、ホール(粒)とパウダー(粉)、フレッシュ(ハーブなど)の違いを解説。形状によって、油で熱して香りを引き出したり、仕上げに入れるなど、使い方が違うというのは、参加者の皆さんもなるほどと、頷いていました。
そして、ガラムマサラの説明に。
ガラムマサラとは、いくつかのスパイスを焙煎してミキサーで混ぜたミックススパイス。香りが豊かになる魔法のスパイスとも言われています。配合に決まりはなく、家庭ごとに独自の配合でつくられているそうで、いわばインド版おふくろの味なのかもしれません。
ということで、ガラムマサラづくりがスタート。今回は形状の違いも含めて19種類のスパイスが並びました。まずは、それぞれのスパイスの香りを嗅いだり、齧ってみたり。スパイスの世界を体感します。
「好きなスパイスや気になるスパイスを入れていいよ」ということで、参加者の皆さんが選んだスパイスをフライパンに入れていきました。最初は恐る恐るでしたが、だんだん、わし掴みで入れていきます。イベントタイトルを「ひと振り」としていましたが、ひと振りどころではない(笑)
このスパイスを入れていく様子が、地域やイベント会場によって違うそうで、松山はノリが良く、豪快で面白かったそうです。
そのフライパンを火にかけ、焙煎していきます。徐々にカレーの香りが漂ってきました。冷ましてミルサーで粉末にして、ガラムマサラ「ケミビル705号室ブレンド」の誕生です。分量を量っていないので、もう二度と出会えない味!
そして、2班に分かれて、みんなでチキンカレーをつくりました。難しかったのは、玉ねぎの炒め具合でしょうか。強火であまり混ぜないで、焦げ付かせるように炒めるのですが、この感覚が初めての人が多かったようです。トマト缶を入れて煮詰めたところでいよいよガラムマサラの登場でした。チキンを投入して完成まであと少し。
ごはんは、プリンセスサリーにレモングラスを入れて炊き上げました。もう、この香りがたまりません。
パクチーと紫タマネギをトッピングして、二度と会えない絶品カレーが完成。2班それぞれのカレーの合いがけです。どちらも美味しい!
みんなが食べている間に、溝端さんが、スパイスを塗り込んでおいたアジで、ささっとフィッシュカレーを完成。こちらも美味しかったです。
廣川さんのケールとスパイスの炒め物も。
最後は、廣川農園さんのインドジンウソツカナイをお土産に。
予定時間をオーバーして申し訳なかったのですが、ご参加の皆様には、最後まで一緒に場をつくってくださり、感謝でいっぱいです。ありがとうございました。
皆さんが帰って会場が静かになったところで、最後の片付けをしていた時に、お二人に「自分をスパイスに例えると?」という質問を投げかけてみました。
廣川さん:「コショウかな」
溝端さん:「シナモン!」
なんか、なるほどと思いませんか? みんなに愛されてピリリと良い仕事をする「コショウ」、スイーツなど甘いものを大人の味にしてくれる「シナモン」。確かに! と妙に納得してしまいました。その理由はお二人に会った時に聞いてみてくださいね。
さて、片付けも終わり、お世話になった会場「ケミビル705号室」ともお別れです。
ケミビル705号室は、街中にあり、人と人をつなぐハブとなることを目指した場。音楽と食のイベントや、建築や編集などのテーマでディープに語る会が催されています。2月は自然派ワインの会があるそうです。お見逃しなく!
そんなケミビルに、ありがとう。
会場オーナーに、ケミビル705号室ブレンドの香りと、伊予柑をこっそり残していく、最後までお茶目な溝端さんでした。
4月に松山に来てくれる予定とのことですので、また、スパイスと愛媛の食材を楽しむ会を企画したいと思います。イベント情報はInstagramで発信しますので、どうぞ、お楽しみに!
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えひめの暮らし編集室
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