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多頭飼いに必要な間取りは?~3匹の猫との「共生住宅」我が家の場合~ #いい部屋ペット
様々な猫の個性に触れられる多頭飼いライフでは、単頭飼いとはまた違う喜びを感じられることもある。だが、複数の猫と暮らすからこそ、各々がリラックスし、くつろげる環境を整えてあげることは私たち猫の下僕(飼い主)の重要な務め。
例えば、間取りの配慮はとても重要。猫たちの年齢や運動量、関係性などを総合的に判断して考えていく必要がある。
3匹の愛猫が快適に暮らせる「間取り作り」に奮闘!
我が家で暮らしているのは、1番の古株にゃんこのジジ(マンチカンのサビ/8歳/女の子)と繊細ボーイのコタロウ(ミックスのキジトラ/7歳/男の子)、末っ子気質のレオン(ミックスの茶トラ/6歳/男の子)。
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左からジジ、レオン、コタロウ
人も猫もウェルカムなパリピ男子のレオンが来てくれてから少し改善したものの、ジジとコタロウの仲はもともとあまりよくない。
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コタロウとレオはリア獣
そんな3匹が各々、心地よく暮らせる家を目指して、6年前、筆者は人も猫も快適に暮らせる猫共生住宅を意識した部屋作りを始めた。
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猫1匹に対して最低限、必要な部屋の広さは3畳~4畳ほど。昔、誰かの書籍でそんな情報を目にしたことがあったため、みんなでくつろげるリビングの広さである、3匹×4畳の12畳は絶対に確保したいと考えた。
その上で、リビングには上下運動ができるような工夫も盛り込むことに。猫は横方向よりも縦方向の広さを重視する動物であるため、キャットステップやキャットウォークを設けることに。
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マンチカンとしては長足タイプだが、一般的な猫よりは短足で、ちょっぴりニブいジジの運動神経を考慮し、キャットステップは小刻みに設置した。
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また、猫だってひとりで同居猫や人間に構われずにゆっくりしたい時があると思っているため、リビングの真上には猫部屋を完備。
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猫部屋の様子
この猫部屋はリビングにある猫専用の小さな吹き抜けを通り、行けるようになっている。
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これは廊下に愛猫を出したくないから。リビングから猫部屋へ直通で行けるので、宅配便など、突然、人が訪ねてきた時でも脱走させる心配なく、安心して玄関を開けられるので、飼い主としても助かっている。
複数の猫と暮らしていると、脱走などといった予想外のトラブルが発生した時、どうしても手が足りなくなってしまうことがあるもの。だからこそ、万が一の事態が起きないよう、安全対策にも目を向けた間取りにしていけば、人と猫はもっと安心して共に暮らせるようになる。
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なお、我が家の猫部屋は相性がそれほどよくない、ジジとコタロウがストレスを感じた時に向かう「一時避難場所」としても役立っている。
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こんな風に猫同士の相性を鑑みながら間取りを考えていくことも多頭飼いの場合は重要だと、個人的には思っている。
例えば、シニア猫と子猫など年の離れた猫が共に暮らす場合、シニア猫が子猫にちょっかいをかけられてストレスを溜め込んでしまうケースもあるため、猫同士の関係性も考慮しながら互いを嫌わなくてもいいよう、一時避難できる猫部屋を作るのはおすすめだ。
ちなみに、我が家では猫部屋の隣の部屋を自身の仕事部屋にし、ガラス越しに、筆者の姿が見えるようにしている。
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こうした作りにしたのは、コタロウが飼い主の姿が見えないと不安になり、鳴き叫んでしまう分離不安気味な子であるからだ。
結果的にこの工夫は、大成功。コタロウが鳴き続ける頻度は減り、筆者は代わる代わる仕事の妨害を試みてくる愛猫たちに振り回されず、原稿執筆ができるようになった。
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近年はリモートワークをする人も増えているからこそ、多頭飼いの場合は特に、こうした猫も人も互いにストレスを感じにくい工夫を取り入れてみると、より快適な共生生活が実現すると思う。
あったらよかった「多頭飼い生活の工夫」
自分なりに愛猫の気持ちを想像し、3匹が快適に暮らせて自身もストレスを感じにくい作りを考えてみたが、実際に住んでみると、多頭飼いだからこそ、設けたほうがよかったと感じた工夫がたくさんあった。
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例えば、1階にも猫部屋を設けることだ。
レオンが「形質細胞性皮膚炎」という病気を発症したり、ジジが便秘になったりして1匹だけ違うキャットフードを食べなければならない時期があった。
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闘病中の様子
そうした時、療法食の場合は特に、他の子が口にしてしまうことがないよう、ケージを使いながら慎重に食べさせていたのだが、1階にも猫部屋を設けていれば、隔離が楽で猫たちに伸び伸びとご飯を食べさせてあげられただろうな…と悔やんだ。
また、キャットウォークに迂回路を設けなかったことも後悔。我が家のキャットウォークは猫たちの“登りたい欲求”が重なっても同時に楽しめるよう、2カ所から登れるようにしているのだが、1番長いキャットウォークで誰かがくつろいでいると、キャットウォーク上で渋滞が発生。
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まどろんでいる子の上をジャンプして乗り越えていく姿にヒヤっとさせられることが何度かあった。
なので、猫の多頭飼いを考えている方は、キャットウォークを複数本設置したり、途中に迂回路を作ったりしていくとよいと思う。
複数の猫と暮らすことは、たくさんの猫の心身を守ることだとも言える。
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性格が異なり、違った個性を持つ愛猫たちはどんな工夫をすれば、ストレスを溜め込まず、各々が快適に暮らせるか…。多頭飼いさんは、そう考えつつ、1匹1匹の愛猫と向き合いながら「うちの子が喜ぶ間取り」を考えてみてほしい。
■プロフィール
古川諭香/ライター
自己紹介:3匹の猫と暮らすフリーライター。猫も人も快適に生活できる共生住宅を建設。愛玩動物飼養管理士。
・Twitter:https://twitter.com/yunc24291
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