犬友達っていいもんだ♪ #いい部屋ペット
小学3年生のときから数えて、犬歴35年のシライシです。子どものときは深く考えたことはなかったけれど、大人になって、とくに地方から上京して東京に住んで犬と同居するようになって気がついたことがあります。
犬と散歩していれば、人(他人)と会話が生まれるってこと。
犬がいなければ接点がなかったであろう、年齢、性別、職業などを超えた、いろいろなお友達ができるってこと。
人間のパートナーとだけ暮らしているときは、東京で近所の人と喋ることなんてなかったです。都会って人間関係が希薄ですよね。まあ、その方が気楽で居心地がいいという人もいるでしょう。その気持ちもわかります。でも、たとえば地震などの災害時、いざというときには地域の人との接点があった方がいい。「共助」の礎になります。
また、ヒトという生き物は本来ひとりぼっちはきつい社会性のある動物で、イヌやオオカミやタヌキやゾウやゴリラなどと同じで、群れを必要とする生き物です。ヒトが(ライオン以外の)ネコ科の哺乳類なら、単独で生きることもストレスを感じないでしょうけど、ヒトは生物学的には元来、集団生活を好む生き物なのです。
もちろん人間関係が煩わしく感じるときもある。人間は裏切ったり、嘘ついたり、妬んだりするし、気を遣わないといけない場面も多いから「群れるのは苦手だ」と思う人もいるでしょう。わかります、わかります。私も集団生活が得意ならフリーランスのライターにはなってなかった気がします(笑)。
だけど、このコロナ禍で人と会ってはいけない、一緒にごはんを食べたり、飲みに行ったり、遊んだり、笑ったりできないという生活はさすがにストレスが溜まります。うちには幸か不幸かお喋りな娘がいるので、まだ家庭内は騒々しいですが、ひとり暮らしだったらやっぱり人恋しくなっていたと思います。
だからといって癒やしを求めて子犬や子猫の衝動買いは推奨できません(キッパリ)。犬の行動、本能などをしっかり事前に勉強して、自分のライフスタイル、時間、経済力、忍耐力、体力などを検討し、15年前後生きる動物の家族をお迎えしても大丈夫なのか、熟考のうえ覚悟を決めることが不可欠です。
でもね、本当にちゃんと勉強して、覚悟を決めて、家族を迎えたいという人だっているんだから、今回はやっぱり声を大にして言います「犬友達っていいもんだ」と。
「犬友達」という単語は広辞苑には載ってないと思いますが(笑)シライシ用語として、ようは「犬を通じて出会うことができた人間(または犬)の知り合い」のことです。
私には、保育園児から80代のおばあちゃままで犬友達がいます。職業もさまざま。専業主婦(主夫)、会社員、翻訳家、司法書士、弁護士、建築家、編集者、IT社長、大学教授、医師、獣医師、銀座のママ、芸能人の奥様、小学校の校長先生、農家、養蜂家、猟師、白バイ隊員、ロケット作っている人……実にバラエティーに富んだ面々が揃っています。面白いよね、犬がいなかったら絶対、私の人生と接点がなかった人もいるなぁと思います。犬の名前と顔しかわからなくて、職業を知らない人も多いけどね。私は取材で出会ってそのまま友達になった人もいるから、たまたまお名前や職業がわかっているということもあります。
近所の公園で毎朝のように会う人は人間の名前も知らない(笑)。「コロちゃんのママ」とか「コーギーのパパ」しか情報がない。それでも、いつも「おはようございまーす♪」とニコニコ挨拶してくれるトイプードルのお母さんとか、ランドセル背負ったまま「ウシちゃーーん!」(うちの白黒ポインターの名前)と遠くから手を振ってくれる小学生の女の子とか、嬉しいなぁ、気持ちがいいもんだなぁと思うんです。
「私も大昔、ボクサーを飼っていたの」と話しかけてくるおばあちゃまや、車イスのメル(うちのボクサー)を見て「かっこいいクルマ、買ってもらったね。頑張ってるね」と励ましてくれる人もいます。都会では知らない人に話しかけられることなんて普通はありません。犬がいるから、たわいない会話や笑顔が生まれる。少し大げさに言うと「都会の奇跡」のようにも感じます。犬がいなくて深夜に歩いていたら、声をかけてくるのは職務質問のおまわりさんだけです(笑)。
近年ではSNSを通じ、犬友達の輪が日本全国に広がってきました。たいていは自分の犬と同じ犬種と暮らしている人、似たようなタイプの犬種が好きな人が多いけれど、犬種に関係なく「犬」という共通項だけでつながれる人もいる。まー、似たようなタイプの犬(たとえば私の場合は、ポインター、ガンドッグ、猟犬種)が好きな人は、アウトドアが好きとか、キャンプが好きとか、アクティビティも似ているから、よけい気が合いやすいというのもあります。
ガンドッグのフィールド・トライアル競技の見学に誘ってもらったり、
ブリタニー・スパニエル(鳥猟犬腫という共通点♥)のオフ会に参加させてもらったり、
今日初めて会った人なのに旧知の友達みたいに河川敷をいっしょに探索したり、
おうちの畑の芋掘り&落花生掘りに招いてもらったり、
11年ぶりに同じメンバーでキャンプに行ったり、バーベキューしたり、
犬同伴OKカフェでランチしながら社会化トレーニングに付き合ってもらったり、
出張ついでに泊めてもらって、夜じゅう犬談義をしたり、
ウシちゃんのトレーニングに悩んでいたらアドバイスをくれたり、
「遠くの親戚より近くの他人」→「遠くの親戚より犬友達」という気すらします。こんな関係を紡ぐことができるのも「犬」という共通の「愛するもの」が存在するから。犬に対する価値観が似ていれば、わかり合えるのも早いです。
この世知辛い世の中で「犬」を通じて拡がる人間関係、信頼関係。これは、犬と暮らしてみないとわからない体験かもしれません。犬は「愛犬と飼い主」というつながりだけでなく「飼い主と社会(地域)」というつながりも与えてくれます。メルとウシちゃんが私と社会をつなぐ潤滑油のような存在になっています。「子は鎹(かすがい)」と言いますが、犬は家庭内に加えて、社会とのかすがいにもなってくれるんですね。
やっぱり犬は、最高の相棒。
私の人生にはなくてはならない伴侶。
そして……さっそく次なる犬友達とのイベントを画策している私であります。次はどこへ行こうかな〜。あのドッグランにも行きたいし、あのキャンプ場にも行きたいし。コロナが落ち着いたら、北海道や東北や西日本のみんなにも会いに行きたいし!飼い主の社会化トレーニングのためにも、犬友達は大切な欠かせない存在なのです。(みんな、いつもありがと〜♥ これからもよろしく!)
写真協力:SPECIAL THANKS メルとウシちゃんの犬友達のみなさま
プロフィール
白石かえ
広告のコピーライターとして経験を積んだ後、動物好きが高じてWWF Japan(財)世界自然保護基金の広報室に勤務、日本全国の環境問題の現場を取材する。
その後フリーライターに。犬専門誌や一般誌、新聞、webなどで犬の記事、コラムなどを執筆。現在、ボクサーのメルちゃん(メス)、ポインターミックスのウシちゃん(オス)、ニンゲン2と暮らしている。趣味は、犬と野山へ行くこと。
▶執筆サイト:dogplus.me 犬種図鑑
▶ブログ:バドバドサーカス
▶主な著書:
『東京犬散歩ガイド』
『東京犬散歩ガイド武蔵野編』
『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』(構成・文)
『うちの犬—あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』
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