作詞の考え方 / 作詞はパズル

作家業は停止したけど知見を腐らせるのもアレなので仕事の合間に書き留めて誰かの参考になればいいなシリーズ。



先日友人の作曲家が「作詞の時間が一番タルい」と言っていて驚愕しました。僕にとっては最も楽しい作業なのに。もう彼のことが異星人にしか見えんと思ってたんですがどうも聞くところによると作詞が苦手って方が結構いるようです。

それハンバーグと唐揚げと寿司と焼肉が苦手って言ってるようなものでは?というのは心に留めつつ、認識を改める一つの機会であったのは間違いありません。なお自分はトラック作るのが苦手です。DAWの画面見つめてると次第にムカッ腹が立ってきて気がついたら灰皿に溜まった吸い殻が天井に達してます。お互い様でした。

というわけで作詞の話です。

ポエムをクリエイティブとして出力する

前述した通り自分の中で作詞は最も楽しい工程です。
理由をトルケルばりの乱暴さで表現すると、ポエムが書けるからということに尽きる気がします。

無理に記憶を掘り起こさなくてもいいのですがお前も書いたことあるだろ?ポエム。ノートに書いたりSNSに投稿したりしちゃっただろ?書いてる時は真剣そのものだっただろ?集中しただろ?思い出せ。向き合え。誰か俺を殺してくれ

伴奏の無い「詩」を書いている方々に対して失礼千万であることは承知の上ですが、こと「音楽にのせる」となるとなんだかこう、自分の中の小っ恥ずかしさが軽減される気がしませんか?
音楽にのせて自由にポエムを書くというのはあの頃の自分を救う行為に繋がる可能性があります。自分は大人になってからこそポエムを書いているぞと。これは時を越えていると言ってもいいでしょう。

ともかく、使うのは基本的に「日本語」のみですので、自己表現として「詩」というのは非常に手軽というか、挑戦しやすい作業なわけです。それが「歌詞」になると音楽的な考え方も必要になってきますが、詩を書くよりは精神的な抵抗が薄い気がしています。自分だけだったらごめん。

自分が曲を作る時の工程

作詞をする時の作業順序は大まかに二つに分けられます。

  • メロディを作ってから作詞をする

  • 作詞をしてからメロディを作る

順序の話でしかないですが、違いは非常に大きいものです。自分は前者のタイプでして、前者の方が一般的には多いのではないかと思います。
後者に関してはまたいつか触れようかと思いますが、一旦例として自分の作業工程とその時の精神状況を紹介します。ボーカルはソフト音源を使用するものとします。

  1. なんとなく曲の構成を決める ←妄想するだけの作業なので楽しい

  2. おおまかなコードを決める、打ち込む ←ちょっと楽しい

  3. ドラムを打ち込む ←なんだか一気に伴奏が盛り上がってきて楽しい

  4. 構成に則りつつ音を足していく ←クソバカダルい

  5. 伴奏が大体できあがってくる ←ほんの僅かに嬉しい

  6. 歌用のメロディを作る ←かなり楽しい

  7. 歌詞を書く ←全身が宇宙の神秘に包まれている

  8. 初音ミク等で打ち込む ←歌詞入力してる間は全く面白くない

  9. ハモを作る ←漢字ドリルの方がマシ

  10. 歌に合わせて伴奏の仕上げをする ←煙草とカフェインが無いとやってられない

  11. ミックスをする ←拷問

  12. マスタリング(マキシマイズ)をする ←耳も心もおかしくなっているので何も感じない

  13. 出来上がった曲を聴く ←場合による

  14. 曲名を決める ←全身が宇宙の神秘に包まれている

  15. どこかに投稿する ←この作業のスピードは凄まじく早い

  16. 感想を読む ←自律神経が整う

  17. 煙草 ←うまい

といった具合です。
自分の場合は前述した通り、伴奏とメロが決まった状態で作詞をスタートします。作詞以外の作業はほぼ全て作画作業やってる時の宮崎駿状態です。

作詞はパズル

一応本題。
「メロディというフレーム」に「言葉というピース」をはめ込んでいくのが自分にとっての普段の作詞作業だと思っています。そして、「フレームに綺麗に収まるのであればどんなピースをはめ込んでも良い」というのが作詞の魅力の一つです。

鯨に空を飛ばせても良いし、存在しない概念を持ち込んでも良い。絵や小説と同じように、どんな表現をしても問題ありません。堂々と胸を張って嘘を書きまくって良いわけです。
かといって完全に自由なわけではなく、メロディというちょうど良い制約があるために、パズルと似た作業および楽しみが生まれているのです。表現は自由でも、敷き詰められるピースの数には限りがあり、そのピースの形が上手くハマるかどうかも、一度試してみなければわかりません。

はめ込もうとしたピース同士が綺麗に噛み合っていることはもちろん良いことですし、むしろズレていることに美を見出す人もいるかもしれません。僕はこれに関しても基本前者なわけですが、メロディに対して「もうこれしかないじゃん正解見つけちゃったよ」というフレーズを思いついた時は脳内でサンバが巻き起こっています。

時と場合によりますが自分は「歌詞で伝えたいこと」より「聴いた時の印象」を優先することが多いので、メロディと合わないから歌詞の方を意味ごと変えてしまうなんていうのはしょっちゅうです。歌詞の意味なんて後付けでいいのです。むしろ意味不明なフレーズをガンガン配置してなんか意味ありげにするのが一番楽しいのです。

コツは存在するのか

イラストなどと同じように、作詞にも確かにコツや技術といったものが存在するはずです。

僕は一度も作詞の勉強をしたことがありませんし今までなんとなくで歌詞を書いてきましたが、それでも「自分の最も強い能力は何か」と問われれば作詞かなと思ってます。

一応いくつかノウハウや決め事のようなものもあるので、今後暇な時にでも書き留めておきます。

また次回。

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