オブジェクト指向(OOUI)とタスク指向U
OOUIについての本、「オブジェクト指向UIデザイン──使いやすいソフトウェアの原理」を読んでいで、オブジェクト指向と対なるものとしてタスク指向UIというものが出てきました。
OOUIを理解する上でタスク指向UIについても理解を深める必要があると思ったので、まとめてみたいと思います。
オブジェクト指向とタスク指向の違い
それぞれ、簡単に表すとこのようになります。
オブジェクト指向=名詞→動詞
対象(オブジェクト)を選び、それに対するアクションを選ぶ
タスク指向=動詞→名詞
タスク(やること)を選び、対象物や設定などを選ぶ
例として、自動販売機で考えてみます。
旧型の自動販売機と、最近の自動販売機では購入導線が変わっています。
旧型では、まず小銭を入れてから欲しい商品を選択します。
最近の自動販売機は、商品を選択してから電子マネーなどで支払いを完了させて購入できます。
旧型は購入(動詞)してから商品(名詞)を選択しているため、タスク指向型となり、
最近の自動販売機は、商品(名詞)を選択してから購入(動詞)しているためオブジェクト指向となります。
自動販売機の場合、購入する数は一つが多い、且つ方法として世間の常識として馴染んでいるためタスク指向UIでも違和感が少ないかと思いますが、これが別の場合だとどうでしょうか?
例えば回転寿司で考えてみます。
オブジェクト指向だと、まずお寿司(名詞)を選択して購入(動詞)します。
通常の回転寿司ではこの方式なので、イメージしやすいと思います。
これがタスク指向となると、購入(動詞)してからお寿司(名詞)を選択する流れとなります。
この場合の何が問題かというと、まず、複数注文することが大変なことです。お寿司は通常、ラーメンやカレーなどと違い、複数品注文することが前提で、その種類も多様です。毎回購入してから選択しているととても面倒です。
また、単純にお金を支払ってからお寿司を選択するという行為が不自然なためスムーズなオペレーションが行えません。
なぜタスク指向は違和感なのか
通常、私たちの日常生活ではまずオブジェクトを選択してから、それに対しての行動をしています。
例えば、机の上のコップの水を飲もうとする時、まずコップを持ってから口に運んで飲みます。
これを逆にすると、まず口に運んで飲んでからコップを持つという、不自然な形となります。
私たちが住んでいるリアルな世界と相反する事象が発生する時、それが画面の中のUIの世界でも違和感を感じるということです。
タスク指向は避けるべきなのか?
オブジェクト指向のメリットについて書きましたが、ではタスク指向はできるだけ避けるべきなのでしょうか?
本書でも上記のように書かれている通り、決まった動きの場合はタスク指向UIは有用です。
例えば、ATMや、最近だとコンビニのマルチコピー機での行政サービス利用画面などのオブジェクトが限定的な場合は、行動を制限することで効率的になります。
実務にどう活かしていくか
UIデザイナーが日々向き合っているプロダクトに、では実際にどのように活かしていくか、それは、まずそのプロダクトや機能がオブジェクト指向UIなのかタスク指向UIなのか見極めるところから始まると思いました。
その上で、どちらが最適なのか検討し、適切な判断をする必要があります。
ポイントなのは、業務アプリケーションなどは特に、どちらかというとタスク指向UIに引っ張られやすいということです。
それは設計者がユーザーがやりたいことを定義しようと検討しているためです。やりたいこと、やることをベースに機能要件が定義されていくので、UIもそれに引っ張られてタスク指向UIになりがちという背景があります。
私も本を読みましたが、まだまだなので、より理解を深めていきたいなと思いました。