全一教会について(*ネタバレあり)

『HOPELESS』に出てくる新興宗教団体「全一教会」。
教祖の「羽栄鳥 全一(うえとり ぜんいつ)」の名前の由来は、クトゥルフ神話の生みの親、ラヴクラフトの小説『ダンウィッチの怪』に登場する、「ウェイトリー家」に由来します。
この『ダンウィッチの怪』も、邪神「ヨグ=ソトース」が深く関わる作品です。クトゥルフ神話作品の中では比較的取っつきやすいので、初心者にはおすすめです。

教団自体には特にモデルはなく、完全に筆者の創作ですが、かなり昔に上演した舞台用に書きおろした短編『ハウンド〜hound of silence〜』という作品に出てくる「バージェス教団」が、その原点です。
この『ハウンド』、なかなか変わった作品で、過去のトラウマで口のきけない主人公のハウンド(コードネーム)は、舞台上におらず、担当キャストもいません。その他の登場キャラクターたちが、客席側に主人公がいると想定して演技をします。主人公の脳内モノローグも、他のキャスト全員が、群唱・輪唱などを駆使して、今で言うバイノーラル、立体音響的な効果を生み出し、観客に主人公になってもらおうという前衛的な演出です。
そして登場キャラクターたちは、攫われた要人救出を目的とした特殊部隊のメンバーなのですが、実は全員魚です。
陸上呼吸の特殊能力を持った魚類です。
(インスマウスとの関連は考えてませんでしたが…)
要人とは世界が崩壊する程の大地震を引き起こす能力を持つナマズの少女で、バージェス教団の実行部隊アノマロカリスは、その力を利用して世界に混沌をもたらそうとしています。
バージェス教団の由来は、バージェス動物群という、カンブリア爆発から少し後の時代に現れたとされる奇妙な造形の生物たちです。アノマロカリスはその代表的なものです。ぜひ検索してみてください。どことなくクトゥルフみがあると思いませんか?

しかしヤバいですね。

『崖の上のポニョ』よりも前に、こんなイカれた作品を作ってたとは…

後日『ハウンド』の台本PDF(有料)をアップしようと思います。ご興味あれば是非。
*アップしました。➡︎ハウンド〜hound of silence〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?