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タイBLドラマに出会って感じたこと

井の中の蛙大海を知らず

私がタイBLドラマに出会ったのは、2022年の4月頃でした。その前から「おっさんずラブ」や「ちぇりまほ」、「消えた初恋」などの日本のBLドラマを観て、その優しくて愛おしい気持ちになれる世界観に魅了されてはいましたが、海外にもBLドラマがあることを知りませんでした。そもそも海外にまで視野を広げられず、全くノーマークで過ごしていました。

しかし、そんな私の鎖国スタイルも突如現れた黒船の襲来によって一変してしまいました。SNSやYoutubeで日本BLの関連動画を見ていくうちに、おすすめの動画にチラチラと海外BLドラマが顔を出すようになったからです。おすすめアルゴリズムという名のペリーが、眉目秀麗な俳優たちという黒船艦隊を引き連れて、開国せよと迫ってきたわけです。

ペリー(アルゴリズム)に薦められるがまま、一番最初に貿易したのはフランスの「SKAM FRANCE」でした。

このドラマはノルウェーの国営放送局NRKが制作したドラマ「SKAM」がオリジナルとなっています。

SKAM FRANCEを観てまず最初に感じたのは、BL云々よりも海外の異文化や価値観を感じたことによる新鮮さでした。それ以前からアメリカの海外ドラマはよく観ていましたが、自分がその国に持つイメージとそれほど差異がなかったため、新鮮さはあまり感じていませんでした。

しかしフランスへの予備知識やイメージが乏しかった私には、ドラマの背景から伝わってくる異国文化や常識の違いがとても新しく感じられ、未知なる世界に降り立ったような喜びとワクワクを感じました。

思春期真っ只中の高校生らが、友人や恋人そして自分自身について様々な悩みや葛藤を抱えつつも、それに向き合い成長していく姿にどこか共感を覚えてしまう自分がいました。友達グループという小さなコミュニティの中であっても、そこには性的指向、人種、宗教や心身の健康など様々な社会的問題が存在しています。この作品はそういったテーマを他人事ではなく、身近な事として認識しようと考えるきっかけになったと思います。

シーズン3のメインCPの男性2人がとんでもなく美しいのもポイントです。国営放送局なのにここまでしてくれるんですかってくらいにボーイズの情熱的なシーンもしっかりと表現されています。ドギマギ。


井の中の蛙タイ界を知らず

海外のクオリティの高さを知ってしまってからは、興味の範囲が日本から世界へと一気に広がりました。サブスクならもっと色々な作品に出会えるかもと、すぐさまAmazon Prime の無料トライアルに加入しました。アマプラでBLドラマと検索すると、タイのBLドラマがいくつか出てきたのです。

SKAM FRANCEの時と同様に、制作国に関してはほとんど知らず、タイという国で思い浮かぶイメージといえば、ムエタイかニューハーフくらいしかありませんでした。いくら海外の作品に対する敷居が下がったとはいえ、
「えっ、タイ…?大丈夫かな、面白いのかな…?」という不安はありました。

期待値低く観始めたのは、アマプラで見放題対象になっている「LOVE BY CHANCE」でした。

「LOVE BY CHANCE」は2018年に放送されたタイドラマで、別作品の「TharnType」と同じ世界線上にあります(ただしキャストはほぼ別人)。2020年にはシーズン2も放送されました。シーズン2は続編というよりパラレルワールドを体験しているような気持ちになりました(笑)。

初めて観るタイドラマはツッコミどころが多くて、やはり新鮮な印象を受けました。独特な効果音にはじまり、衣擦れ音までしっかり拾ってしっかり届ける好守備な音響スタイル。大学にも制服があり、高校生の制服に至っては短パンです。また、スポンサー商品の宣伝は画面を突き破りそうなくらいグイグイ押し出されてきます。SKAM FRANCEとはまた違った異国文化との対面に、強い衝撃を覚えました。

しかし、一番印象的だったのは「性」に対する考え方や表現でした。ドラマには外見や中身が個性強めなオネェ様方が当たり前のように多く登場します。彼らは明るくて強いアイデンティティを持ち、自分らしく生きる姿でストーリーを引き立ててくれるのです。

恋愛に関しても、「人間性から相手を好きになり、好きになった相手がたまたま同性だった」というような展開でストーリーが進んでいくことも多くあります。性に対する柔軟な捉え方に、タイドラマっていいなぁ素敵だなぁと感じました。

LOVE BY CHANCEのメインCPの感動的なシーンで、「男だからとか女だからとかではなく、お前だから好きになったんだ。」というようなセリフがあったと思うのですが(イメージ補正が強すぎて歪んでいるかもしれない笑)、性別を超えた愛を表現しているように感じて、とても胸が熱くなったのを覚えています。

観始めた当初はツッコミ系の違和感ばかりに意識が向きましたが、それらはタイドラマ作品を色々と観ていくうちに当たり前となっていきました。一方で、「性」に対する考え方や捉え方に関しては、タイドラマを観てそれを感じる度に、素敵で美しい価値観だなぁと改めて感じています。

未だ同性愛に対して難色を示す日本の社会的価値観の中で生きてきた私にとっては、タイドラマから感じられる

「同性を好きになることって普通のことじゃない?」

「え、そもそも愛に決まりなんてなくない?」


というスタンスにとても救われたと思います。自分の性的マイノリティな側面を人として肯定され、認めてくれる社会も存在するのかもしれないと感じました。

LOVE BY CHANCEをきっかけに、その後も数多くのタイBLドラマを見続けてきました。タイは1年間に放送されるBLドラマの作品数が尋常ではないので、観れど観れども観たいドラマが尽きない、いやむしろ増え積もっていくという底なし沼なのです。

なので嬉しい悲鳴をあげながら、私は今日もタイBLドラマ界という大海、 もといタイ界を航海しています。


初めて観るならコレ!おススメのタイBL作品

タイドラマをまだ観たことがない、又は作品数が多すぎてジャムの法則を絶賛発動中という方のために、私が布教用にオススメしている2作品を紹介したいと思います。

・2gether

1つ目はコロナ禍で大勢のオタクたちをタイ沼に沈みこませたドラマである「2gether」です。メインCPのお顔が美しすぎることももちろんですが、ストーリーの展開や歌に深く引き込まれてあっという間に完走してしまうドラマです。

シーズン2と劇場版まで制作されており、特にシーズン2は甘すぎて甘すぎて観ているとニヤニヤが止まらないため、職場や公共の場で観ることはオススメできません。

U-NEXTやTELASA等で視聴可能です(劇場版は見放題対象ではない場合があります)。VPNをお持ちの方であればYoutubeでも観れます。


・My School President

2つ目は「My School President」です。こちらも2getherと同じくドラマ内で音楽が多く使われていて、観ている側に登場人物の心情やストーリーがすんなり入ってくるのでとても観やすい作品です。

俳優陣がフレッシュでストーリーもコミカルなため、とても可愛らしい世界観になっています。初めてタイBLドラマを観る方でもあまり違和感なくサクサク観れると思います。

※2023年6月現在、ジオブロックがかかっていないためYoutubeで視聴可能なことも強みです。リンクはコチラ ↓



タイドラマはそれなりに観てきましたが、やはり音楽をテーマにしたドラマの引力は強いなと感じます。音楽を介することによってストーリーの方向性を掴みやすくなったり、登場人物の心情に共感してドラマの世界に没入しやすくなるからではないかと思っています。

私がそうであったように、タイBLドラマをきっかけに一人でも多くの人々が、自分の生活に癒しと幸せをより得られますように…。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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