えっ、私が英語の先生になるんですか?
吾輩は無職である。職歴はまだない。
先日友達に誘われてバーで2回だけバイトをした。それ以降はもとのバイトすらしないダメ人間となった。そんな私がこの度一念発起してバイトの試験を受けてみた。
実はバーの手伝いをしてしばらくした後に、「別にバイトは怖いものではないな」と言う思いが芽生えた。バイトをしなくて良い代わりにしっかり勉強しなさいと親から言っていただけているのだが、正直毎日10時間も20時間も勉強できるわけではない。必ず1日のどこかでゴロゴロしている時間はある。それなら、バイトを入れてみてメリハリのある暮らしをした方が総合的に良いのではないかと思い立った。
ただ、私は居住地がすぐに変わる癖があるので、どこかの居酒屋で働くなんてことはできそうにない。そこでオンラインのアルバイトを探すことにした。これが今年の4月のこと。私はIELTSで7.0を取ったことがあるほど英語ができるので、英語を教えたら良いのではないかと思った。早速友人の多くが大学生時代に講師として在籍していたDMM英会話の試験を受けてみようと思った。
試験自体はシンプルである。まずサイトに個人情報を入力し、その後試験を受ける。最初のセクションで
紙の辞書と電子辞書どちらが優れている?
海外旅行では電車とバスが優れている?
のようなシンプルな質問文が与えられ、1分程度の間ひたすら口頭で回答し続ける。その様子は録画されており、発話の内容や表情、ジェスチャーなどから合否が判断される。次のセクションでは、
Bite the bullet
The ball is in your court
といった慣用句が一つ表示され、それについて英語で意味を説明する。制限時間はこれも1分程度だったように記憶している。私は特に対策せず(というか範囲が広すぎて特に対策といった対策をする手段がなかった)試験に臨んだ。ただ、いつものように試験の前日には英語の映画やラジオを聴いて少しでも英語の感覚を取り戻すように努めた。
試験は、無我夢中で取り組んだ。とにかく途切れずスラスラと喋ることができるように心がけた。時々止まってしまうこともあったが、だいたい問題はなかろう。
講師に応募したことのある方のブログを事前にいくつか読んだのだが、その中に笑顔で元気よく喋ることが何より大切であるということが書かれていた。できるだけ笑顔で元気よく喋ることを心がけた。普段からニコニコし慣れているわけではないので、これには大変苦労した。ちなみにブログを書いたそいつは試験に落ちたらしい。
試験が終了すると、すぐに結果が届く。
結果は、惨敗。定型分の御祈りメールが届いた。
チューターになることができる人数に限りがあるので、今回はすみません、もし将来空きが出ましたら連絡します、というような内容だった。まあ、クレームを防ぐための定型分だろうな、と思った。
このメールを受け取るとしっかりと落ち込んでしまった。というかあの必死の作り笑顔はなんだったんだと思った。やっぱり慣れていないことはするものではない。せっかく労働意欲が生まれたのにも関わらず、試験で落ちてしまった。オンラインの仕事は他にもあるが、無職の心はガラスでできているため、すっかり粉々に砕け散り、ほんの少し沸いていたはずの労働意欲はどこか遠いところに行ってしまった。
バイトへの道はこんなにも険しいのだろうか、と絶望した。とはいえ、落ち込んでいても何か起こるわけではないので、卒業論文に集中することにした。
そこから四ヶ月が過ぎる。DMMの講師に応募したことなど完全に忘れていた8月の末、一通のメールが届く。
思わず声が出た。嬉しいと言うより、お祈りメールの内容は本当だっんだ、と言う驚きの方が大きかった。すぐに添付されていた資料を確認し、デモレッスンの予約を入れた。
この、デモレッスンというのは採用担当の人が生徒になりきり、実際にレッスンをやってみるというものだ。DMMは独自の教材があり、それを使ってレッスンを行う方法と、自由に英語で会話する方法の二つがある。デモレッスンでは15分間で、生徒の希望に沿ってそのどちらか、または両方を行う必要がある。そのため当日まで、どのような授業をしなければいけないかわからない。
この時もどうせ対策したところで焼け石に水だと思い、メールを受け取った翌日にデモレッスンを行うことにした。
つづく、、、かも?