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2022年の買い時はどうなるか?予測編


※この記事はNewsPicksトピックス「ロジカル不動産」で連載された記事を引用しております。最新記事はこちらをご覧ください。

みなさま、あけましておめでとうございます。

始めて間もない当Topicsですが、本年もどうぞよろしくお願い致します。

さて今回は、前回の振り返り編での予測最後でお伝えした通り、2022年の買い時はどうなるか?の予測編になります。

前回記事の最後に、2022年を予想するにあたってのキーワードを4つ上げました。

・住宅ローン控除幅減少

・生産緑地問題

・テーパリングによるアメリカ利上げ

・ウッドショック長期化

これらを理解しておくことで、市場の理解もより一層たやすくなりますので、一緒に抑えていきましょう。

とはいえ、結論から先にお伝えすると、「2021年ほどの値上がりはもうない。どちらかというと価格調整に入る。郊外戸建て検討の方は10月以降が買い時。ただ、引き続き購入検討者は多いので、人気スペックマンションへの需要は固い」という読みになります。

さて行きましょう。

住宅ローン控除幅減少

こちらは年末かなり報道でも取り上げられていたので、我々マジ家メンバーの方は理解されている方が多いかと思います。

詳しくはこちらの記事を。
住宅ローン控除額減少。税制大綱からみる財政のきもち

簡単に触れますと、

従来、対象となる課税住宅を購入すると10年で最大400万円、非課税(個人から購入する中古)住宅の場合は10年で最大200万円の税控除が受けられるという圧倒的お得制度があったのですが、住宅ローン金利の常態的な低金利によって、見直しがされました。

細かくはいろいろとありますが、課税住宅で273万円、非課税住宅で140万円という額に縮小されています。

この住宅ローン控除はもちろん住宅購入の際の大きなメリットだったため、それが縮小されたことによる需要のトーンダウンは避けられません。

一方、引き続き控除は受けられるという点、そしてそもそも「控除があるから家を買おう」という順番よりは「家買いたい、控除もあるしお得」、という思考の順番の方がほとんどなので、これによって差額分の値下がりが起こるというわけではありません。が、経済は感情で動くため、一定の落ち着きは見せるでしょう。

生産緑地問題

続いては生産緑地問題。2022年問題ともいわれたりしますね。

そもそも、「問題」なんてつけるから、仰々しくなっちゃうのにメディアの人はほんとにもう、、という気持ちもありのですがおいておいて、これは、生産緑地と呼ばれる、都市部に残る農地を、固定資産税安くしてあげるから30年間は農地として使ってね。という制度です。それが今年2022年にその最初に設定された30年が満期を迎えるため、すでに農地利用されてない生産緑地が、宅地に切り替わって、新しい家が建てやすくなるため、供給が加速し価格が下落するのではないかという出来事です。

生産緑地は現在東京ドーム2000個分。一般的な30坪の住宅に例えると約130万戸分に相当し、大きなインパクトとなりそうです。

ただし、これについては、確かにこれによって新しい宅地が生まれることは確かですが、不動産価格が大きく下げるほどの宅地が出てくるかというとそんなことはありません。

そもそも、①そこまで立地がよくない ②すぐ売ろうとしている人も全員ではない という点。

これについては

ニッセイ基礎研所報Vol.62
2022年問題の不動産市場への影響生産緑地の宅地化で、地価は暴落しない

が詳しく、

アンケート調査結果を単純に図表3の想定されるケースに当てはめると、「生産緑地継続」が全体の約81%(図表3のA+B+C)、「生産緑地継続、買取り申出どちらの可能性もあり」が約13~15%(D+E+F)、「買取り申出」が約4~6%(G)となる。

といったアンケート結果を集計しており、4~6%と限定的であることがわかります。

ただし、それでも東京ドーム80個分ほどの、やはり新しい土地が出てくる可能性が高まることは確かです。

生産緑地満了は2022年4月1日からですが、すぐには家は立ちませんので、約3か月から半年ほどたった、2022年10月ごろから宅地化された住宅が生まれてくる可能性もあります。

ただし、山手線の内側には生産緑地は1つもありませんので、基本的に対象となるのはちょっとした郊外での話ということは覚えておきましょう。

テーパリングによるアメリカ利上げ

続いては金利の話。

テーパリングなんてちょっとした言葉を使ってしまいましたが、要はコロナ対策で金利緩和をしていたアメリカが、2022年はテーパリング(段階的利上げ)をする予定なので、それに対して日本の景気も影響を受けるよ、ということです。

オミクロン株がどうなるかはわかりませんが、アメリカは予想以上のスピードでコロナからの回復を見せながら、インフレ傾向も強まり、政府としては利上げをして景気に適切なブレーキを掛けたいところ。2022年に3回の利上げをするのがコンセンサス

利上げによってドル高円安に振れることによって、日本の景気には悪影響をあたえるため、株価に悪影響。株価との連動性が特に高い首都圏のマンションにはよくない影響を与えるでしょう。

また、日本の金利(特に住宅ローン金利)がどうなるか、という点も重要ですが、ここはあまり変化はないのではと思っています。日本はもう金利上げられないでしょう、、。

ウッドショック長期化

この問題はもう工事現場の人からしたら日々大問題な状況です。そしてウッドショックのみならず、給湯器が入ってこない、や、トイレが遅れているなど、家というものは本当に多くの人・部品によって奇跡的に成り立っている経済の叡智であることを感じられるものです。

ウッドショックとは、もともと木材自給率が少ない日本において、米国・中国の木材需要の爆発、コンテナ輸送の高騰、といった要因によって、資材が遅れる、もしくは高騰するといった事態が起こっていることです。

当社はリフォーム関連事業は行っておりませんが、カスタマーが購入した家でリフォームをする方も多いため、そのリフォームが遅延する、もしくは完成の見通しが立たずに引っ越し日が決められない、、といったトラブルが日常茶飯事として起きています。

その結果、木材価格が現在従来の3倍ほどの値段となっており、戸建てのほとんどは木材によって建てられているため、原価高騰により戸建て価格の値上がりの要因になっております。

特に、土地よりも建物価格比率が高くなる郊外のほうが影響を受けていきます。

このウッドショックが、なかなか収まらない。2021年の5月ほどが木材価格も最高値で、その後夏にちょっと落ち着いた部分もあったのですが、年末にかけて再度上昇し収束が見えなくなっているのが現状です。

どうなる2022

以上4つの観点を述べてきましたが、それらを踏まえた結論としては、

「2021年ほどの値上がりはもうない。どちらかというと価格調整に入る。郊外戸建て検討の方は10月以降が買い時。ただ、引き続き購入検討者は多いので、人気スペックマンションへの需要は固い」

という見立てになるでしょう。一言で言いたいところですが、いろんな要素ありますね。

まず2021年ほどの値上がりを期待するのは厳しいでしょう。これは住宅購入者が多く、売りたい人が少ないという需給の乱れによって生まれた部分が大きいです。だからいってではこれから下がりますかというとそうではないのが難しいところ。

テレワークやおうち時間が常態化したことによる住宅ニーズは引き続き高く、一部需要の先取りといわれていましたが、安定した需要は今後も見込まれます。住宅ローン控除幅の減少はマイナスでありますが、暴落を生み出すようなものではないです。そういった点で、人気のあるエリアや立地のマンションは2022年もしっかりとした需要がつき、安定した価格で推移していくでしょう。

一方、戸建て、特に郊外戸建てについては、生産緑地の解放によっても一部宅地が出てくる可能性も高いので、特段焦っていない方は、10月以降に探すがいいでしょう。ただし、そんな都合よく理想の土地が出てくるとは思わずに。自分が探そうとしているエリアの生産緑地の場所や面積を見てみるのもいいかもですね。

ベースは、私が常々伝えている「住宅ローンを好条件で借りられる人は、早くに資産性の高い家を買うのが正解」ということ。決して焦らず、ただし相場感のない高望みはしない。住宅購入は正しく行えば利便性・居住性・資産性を得られるよい資産形成になります。

ぜひ2022年も、皆様のよき住宅・不動産ライフの一助となれれば幸いです。

それではまた。


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