フリーライダーとパワハラ・モラハラ:「ヒトは「いじめ」をやめられない」から学ぶ社会生存戦略
こんにちは、えぐらんです。
とっても天気が良い午後の麗らかなひと時をスタバでコーヒーとケーキをつまみながら、このブログを執筆しています。
今回は中野信子さんが書かれた“ヒトは「いじめ」をやめられない“を読んで考えたことを綴ります。今までのことが点と点が線で繋がり、これからどう振る舞えば良いのか、人の本質とは何なのか、会社でパワハラを家でモラハラをなくせないのか、ということを考えるとても良い1冊でした。
この本すごいです。本当にすごいです。
そもそもヒトは「いじめ」をやめられないのです。パワハラもモラハラもいじめも考える時、撲滅しようとするから上手くできないということが書かれており衝撃的でした。
渦中にいる方にはたまったものではないかと思いますが、私も生きてきた今までを思い返すと納得です。自分の人生の中だけでなく歴史を見ても、戦争を見てもその通りだと思いました。
そんな本を読んで私が考えたことを綴ります。
フリーライダーとは
集団を形成した時に、集団を壊す存在と集団に不利益を与える存在。それらの存在が集団内にある場合集団を形成しているヒトはその存在を排除もしくは矯正しようとします。
それが「フリーライダー」と「内部から破壊する人」です。つまりいじめられる対象はこの2つになるということです。
フリーライダーとはタダノリする人という意味です。例えば狩猟時代に自分で狩猟もせず木のみを取りにも行かず家事育児もしない。それなのにその怠けた人を食べさせるために命懸けて得た獲物を分け与えるということはしたくないですよね。集団全体から見ると不利益にしかなりません。
私たちの脳の仕組みは有名な著書「運動脳」にも書かれていた通り狩猟時代の頃から脳はほとんど変わっていません。となれば現代でSDGsが叫ばれる昨今でも、やはりフリーライダーは排除すべき存在と思ってしまうのです。
そしてそのフリーライダーとなる人として認識されやすい特徴として「体が小さい人、体が弱い人、太っている人、行動や反応が遅い人、1人だけ得をしているように見える人」というのがありました。初めの4つは納得ですが、5つ目の「1人だけ徳をしているように見える人」というのも集団を壊す存在として認識されやすいのですね。
美人でかつ男性に媚を売るような女性を女性の中からは好ましいと思いません。それはこの「1人だけ得をしているように見える人」になるので、好ましく思われないんだなと思いました。
私の友人でとても可愛い子がいて、でも性格もとてもよく、大学時代仲が良かった子がいます。しかし新卒で入社した支店で先輩女性社員から嫌がらせを受けていました。決して男性に媚を売ったり怠けたりするタイプではなく、優秀で仕事もできるのに何でだろうと思っていました。それもこのフリーライダーという観点で見ると「1人だけ得をしている“ように“見える人」に当てはまっていたからだなと思いました。
パワハラにあいやすい人(フリーライダー)
そして先ほどのフリーライダーの条件はパワハラに合いやすい人にも合致しているなと思いました。仕事が遅い人、意見の弱い人、弱そうに見える人、そしてそれらが当てはまるのが新入社員なのかなと。
このフリーライダーという考え方とこの本を読んで得た視点として、パワハラするひとは間違ったことをしていると思っていないということです。むしろ正義のためにその対象を排除もしくは矯正しようとしているとのことです。
昔はそれで社会はまかり通っていたのだと思います。弱いひとは淘汰されていくような。でも情報社会となり被害者の声が分かるようになり、その行動が間違っている、パワハラはしてはいけないことだとなりました。
よくありますよね上の人が「俺の時代だったら新卒なんてしごかれまくっていた」と。確かにそういう時代もあったんだと思います。そしてその方は新卒の時本当に大変な目に遭って、それでも何とか生き残れたのだと思います。
でも今はみんなが社会で活躍できるように、制度が変わってきました。それでも上の人にはその弱いヒトは淘汰されるべきという思考が抜けきってないということがこの本を読んで感じました。世間はそう言っていても弱い人が淘汰されるべきであるという正義を持っているのだと思います。そして恐ろしいことにその淘汰する行為が快感を得れるのです。
なのでパワハラ部長は何人もの部下を辞めさせ続けても悪気はしないし、むしろ会社のために正しいことをしていると思っている。役員などもパワハラが悪いことと認識していても価値観が変わりにくいのは「フリーライダーを排除すべき」という狩猟時代から集団を守るために脳にインプットされた仕組みなのだとわかりました。
パワハラにあいやすい人(中から組織を壊す人)
そしてこちらも納得かつ衝撃だったのですが、集団にとって怖いのは外の敵よりも中から組織を壊す人ということです。外の敵はわかりやすいですよね。でも中から反旗を翻すのは対策も立てずらく一気に集団を壊すきっかけになります。明智光秀が織田信長を打った本能寺の変しかり、ローマ帝国のカエサルしかり。中国のアヘンも組織を中から壊す行為でしたね。
つまり集団にとって中から組織を壊そうとする人に対して警戒するのは当たり前の機能だったのです。ですから「出る杭は打たれる」んですね。
例えそれが正しい行為(パワハラやいじめをなくす運動など)で世間的に見ると善行であり、それをしないとこの会社が潰れるかもしれない(DX、消費者意識、品質問題を是正する行為など)ことでも、組織を変えようとする行為は組織を壊す行為とみなされてしまうのです。
「組織」を理解しないままに自分の意見を言う危うさはここにあるのですね。
だからこそ「仕込み」が大切で、急に組織を変えることを声高らかに主張するのではなく、小さな一歩を積み重ね、徐々に会社の中の意見が変わるように誘導しなければなりません。
これを間違える人も「組織を中から壊す人」と認定されパワハラを受けやすいのだと思います。その人が優秀であり組織の改善点が分かり、それを改善する知識や能力があっても、周りを巻き込んで徐々にやっていかなければいけないのです。
学校でのいじめ
そして大人になっても正義の名の下に「フリーライダー」を探し、制裁する行為がある中で、理性がまだ出来上がってない子供はこのいじめを止められないとのことです。
弱いものを排除することが正しいと人間の脳にインプットされており、その行為が快感になるのである場合、いじめ側は正しいことをしているとしていじめをやめられないそうです。
規範意識が強い子ほどなりやすいと書いてあったので、素行が先生から優秀と認められる子でも隠れていじめをするというのはこの仕組みがあるからなのかと思いました。
いじめをなくすと言うのを目指すと人間の本質的に難しいとありました。もしいじめがある場合距離を取ると良いとのことです。例えば週に2回だけ学校に行くなど。そうすると中から組織を壊す人の「中」の認定ではなく、「外」の人になるため、集団に不利益をもたらす「フリーライダー」ではなく、外の人と認識されいじめの対象になる確率が下がるとのことでした。
適度に子供を学校を休ませたり、フリースクールと併用するのはメリットがあるなと思いました。また、学校に通うことが絶対ではなくなってきた今、親も覚悟を持って学校と子供を引き離すことが、子供にとって良い傾向をもたらすのかもしれません。
私の娘は4歳ですが、意見が強いです。ダメなものにはダメと強くいいます。私が心配するのは出る杭が打たれるタイプになることです。それでも娘の良さはそのままに育てたいと思います。この流れを読むに私は娘が困って意見を求めた場合「仕込み」の仕方を教えることが学校でも社会でも役に立つことだなと思いました。
家庭内でもフリーライダーを探す。
そして集団を考えた時最も身近な存在が「家族」と言う集団です。集団であるからこを「フリーライダー」は探され、淘汰もしくは矯正させようとします。そのことについてこの本では述べられませんでしたが、私の考えを綴ります。
私が夫にイライラしていたのもこの「フリーライダー(タダノリする人)」と言う考えを聞くとスッキリと当てはまります。
夫が家事育児をせず、私の話を聞いてくれないことに本当に本当にイライラしていました。夫婦2人で協力して家事育児をしたいのに1人だけほとんどしてないように見えるんですよね。フリーライダーを排除すると言う脳の機能のもと、私は夫にイライラしていたんだなと思いました。
例え外で働いていて、すっごく稼いでいたとしても、「家族」と言う集団の中で1人だけ家事育児もせず、自分のやりたいことだけやっている人の存在は「フリーライダー」です。もしあなたの奥様が家事育児をしていないとあなたにイライラするのだとしたら、妻がイライラしているのは人間の仕組みだと認識し、貢献度が高くシンプルなもの「掃除や洗濯」からぜひ奥様の手伝いをしてみてください。
子供という存在
「タダノリ」と考えた場合、家庭内で1番タダノリをしているのは子供です。まだ給与などを得ることができず、家事の手伝いもままならないからです。だからこそ親は子供がお手伝いをしないこと、勉強をしないことに対してイライラするのではないでしょうか。何もせずに家に住み、ご飯を食べているから。そして体も小さく弱い存在ですよね。フリーライダーと認識してしまいます。
そして矯正しようと考えるからこそ、親の言うとおりにしろ!と思ったり親の都合通りに動いて欲しいと思うのではないでしょうか。また稼いで養っている親が偉いと思い、フリーライダーである子供は親の言うことを聞くべきだと。
私の夫も結構そんなことを以前言ってました。びっくりしていました。私は赤羽さんの教えを受けていたから子供も尊重されるべきだし、子供の方が親より賢いと思っています。でも、何も知らなければ私も子供は親の言うことを聞くべきと思っていたと思います。
そして子供は何気なく家庭の問題の核心をついてきたりしますよね。子供のフラットでまだ空気を読めないからこその発言。それも中から組織を壊す人という認識を受け、子供に対する当たりが強くなる行為に繋がるのだと思いました。
妻にがターゲットになる時
集団の中で「フリーライダー」を探す行為を行うとき、以前のような夫の両親のもとに嫁ぐような場合、妻は外から中にやってきた人であり、その集団の常識を壊す存在でもあったと思います。
やり方が違ったり、常識が違ったり。
だからこそ昔から嫁姑は仲が悪くなってしまうのだろうなと思います。私の友人でも姑さんと離れてる友人は関係が良好なのですが、近いと結構な友人が悪化しています。むしろ近くて嫁姑関係が良好な人を知りません。うまくやっている方もいるかとは思いますが、集団を中から壊す存在が「嫁」となるから嫁いびりがおきているのではないかと思います。
そして、だんだんと弱々しくなると今度は「フリーライダー」としてターゲットとされ、ずっと嫁いびりが続くのかなと思いました。
学校でのいじめでもあったように嫁姑問題も距離を離すしか改善はしないのだと思います。
そして夫も妻をモラハラする時がありますよね。やはり強い自分が弱い奥さんを矯正させようと思うのが根底にあると思います。育った環境が上記のような環境だった場合、そこに姑の存在はなくとも、今までも育った環境の常識を壊そうとする奥さんの存在を中から組織を壊す人のように思えるのでしょう。そして力も強いし加えて経済力まである場合、相手を組織内の弱くて中から組織を壊す人と認識しモラハラしてくるのだと思います。
結婚して、その後子供が産まれたのち夫婦関係が悪化するカップルは非常に多いです。性格の不一致との見解も多いですが、この本を読むと相手を組織を壊す人と認識したりタダノリ(フリーライダー)と思うからこを相手に愛情を抱けず、憎むようになってしまうのではにかなと思いました。
どう振る舞うべきか。どう逃げるべきか。
ここまでこの本を読んだ見解を述べてきました。集団がある場合、脳の構造的に「いじめ」はどうしても起きてしまうと思った方が良いのでしょう。
では私たちはどう振る舞うと良いのでしょうか。
それは、ターゲットにされやすいタイプの逆になることだと思います。
「体が小さい人、体が弱い人、太っている人、行動や反応が遅い人、1人だけ得をしているように見える人」そして「中から組織を壊す人」の逆ですね。
つまり「体が大きい人、体が強そうな人、太ってない人、行動や反応が早い人、集団全体の得を考える人」そして「組織を緩やかに変化させる人」だと思います。
「超 筋トレが最強のソリューション」という本でも、筋トレすることでメンタルが強くなりパワハラに合わなくなったとあります。それはこの「体が大きい人、体が強そうな人、太ってない人」に当てはまるからではないでしょうか。そして自身も体が弱い時にはフリーライダーのターゲットとしてなりやすいと少し人生諦めていたのが、強くなったことで自信を持ち、発言力も増すことでより強そうな人に認識され自信がより強くなっていくのではないかなと思いました。
そして「行動や反応が早い人」というのは赤羽雄二さんの「ゼロ秒思考」や「速さは全てを解決する」を読むことで得られますね。まさかフリーライダー対策にもなるとは驚きでした。でも行動や反応が早い人というのは疎まれず尊敬されます。それも人間が狩猟時代から行動や反応が早い人が成果を残し、逆の人が成果を残せなかったからこそ、生まれた概念なのかもしれません。
「1人だけ得をしているようではなく、集団全体の得を考える」についてですが、集団全体の得までとはいかなくても1人だけ得をしている状態を脱するだけでも大きく効果がありそうです。
例えば先に出した私の友人の場合、仕事に行く時はあえて素朴に見えるメイクや髪型をする。そうすることで「1人だけ得をしている」と見えないようにする。そうすることが対策になるのかもとこの本を読んで思いました。また重役に可愛がられる社員の場合、1人だけでその重役と食事に行くのではなく、課の人を誘って一緒に食事に行くなどすれば「1人だけ得をしている」と見えないようになるのではないのでしょうか。
嫌がらせされてからだと、「弱い人」と認識されるかもしれないので先手で動いておくほうが良さそうですね。
そして、「組織を穏やかに変化させる人」ですが、これも赤羽雄二さんの「人を動かす話し方」にやり方が書いてあります。私はそれまで「仕込み」を意識したことがありませんでした。でもまず仕込みありきなんですよね。いきなり行動や意見を言うと反発されます。それは組織を中から壊す人と認識されるからですね。
順番に徐々に仕込んでいくことで、組織が変化できるようにしていく。何回も何回も仕込んでいく。私は最近かなり仕込みに注力しています。今まではいきなりすぎでした。
と、この本を読むと非常に組織の中でどう振る舞うべきか、なぜ人間はそのような行為をしてしまうのかということが、よくよく分かりました。
もし興味を持たれたらぜひ手にとってみてください。
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