一人で行きたい、ひみつの図書喫茶 町田「403notfound」|#安心する場所でおやすみ
ふと、一人になりたいとき。
日常になんとなく息が詰まって
少し遠く、一人で静かに過ごしたい。なんていう日がある。
そんなとき訪れる「403notfound」は
人の気配がありつつも、心地いい孤独を味わえる
言わばひとり時間にふさわしいカフェ。
今日は町田の図書喫茶「403notfound」のお話です。
町田駅からバスで15分、そこからさらに歩いて約6分。
決してアクセスしやすい場所ではないけれど
この少しの不便さが、これから過ごす時間への期待感を静かに高まらせてくれる。
住宅街を進んでいくとそこには、馴染みながらも静かに存在感を放つ、古城のような「403notfound」。
ほんのすこしドキドキしながら、
階段を一段、二段、三段。ドアノブに手をかけ扉を開けると、目の間には扉がもうひとつ。
「当店は読書喫茶。
店内に入りましたら、空いているお好きなお席をお選びいただき、お座りになってお待ちください」
扉に貼られた一枚の案内文からは
このお店が何を大切にしたいか、どんなお客さんのためにあるのかが理解できて、ここは「安心できる場所だ」と心が落ち着くのががわかる。
席は全て一人掛け、目線が他のお客さんと合わないようになっているのも、店主さんのこだわりの一つだろう。
居心地がいいカフェというのは最高の居場所だと思う。
必要以上に明るすぎず間接照明の明かりがちょうどいい、木の質感が落ち着く店内。
さぁ、長い距離を旅してきたし、落ち着いて本を読むためにはまずはお腹を満たそう。403notfoundは空間のすばらしさだけでなく、おいしい料理にデザート、飲み物も魅力的なことをこっそりと教えたい。
季節ごとに変わる日替わりのスープや、芸術品のようなタルト。
ぺこぺこのお腹には本を読みながら食べられるキーマカレー、具たくさんのキッシュもクロックムッシュもどれも本当に絶品。
飲み物もポットにタプタプだから、ゆったりと読書を楽しめるし、冷めないようにティーコゼーをつけてくれる気遣いに心もあたたまる。
店内は静かで、bgmはポロポロと雨音のように心地いい。
かばんに忍ばせた読みかけの本を出して読んだり、ぼーっとしたりを繰り返す。時間の使い方を委ねられているこの感じ、いつぶりだろう。
贅沢な時間にいつまでも浸っていたくて、思わずふぅ、と小さなため息が漏れる。
大人になってから毎日時間が流れるのが早くて、
気づいたら月末、年末とあっという間に季節に置いてけぼりにされているようでこわかった。
たまには自分のいる場所から少し離れて、こうやって自分と向き合う時間が欲しかったように思う。
おいしいご飯でお腹を満たして、ご褒美のように甘いタルトを口に運び、あたたかい飲み物で滞った気持ちを流す。
そして物語の中の言葉にヒントをもらい、自分の心に話しかけてみるのだ。
ここにいると時間の流れがとても早く感じる。
気がつけば窓の景色はすっかり藍色になっていて、どこか物語の中に紛れ込んでしまったような、自分だけ世界から隔離されていたような錯覚をおぼえる。
403notfoundは私にとって、
外の世界からやさしいベールで守ってくれる場所だと思っている。
ふわふわとした夢見心地な気分のまま
夜のバスに揺られ、きょうも帰路につく。
▽お店のInstagramはこちら。