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私の偏愛おやつキロク|第2回 香り菓子について
タイトルを読んで、香り菓子ってなんぞや?と思った方へ。分からなくて当然です。何の無理もありません。なぜなら、香り菓子とは私がお菓子の中で勝手に分類し、作り出した造語なのですから。
近頃気になる食のキーワードの中に「香り」がある。
それはハーブやスパイスだったり、柑橘だったり、お花だったりする。普段食べ物としては口にしないものが使われていると、味の想像がつきにくくてワクワクするし、一口齧った瞬間に豊かな香りが広がりそうなものがつい気になってしまう。
そんな香りに重きを置いた菓子たちを、私は頭の中で「香り菓子」と呼んでいる。
おやつを愛してやまない私が、偏愛的におやつのあれこれを語る #私の偏愛おやつキロク第2回は、最近魅了されている香り菓子について話したいと思います。どうぞ、ふらっとお好きに聞いて(読んで)いってください。
(ここでは、食べた時に感じたことなどを自由に書いていきたいので、お店の紹介やお菓子の構成は簡潔に記しています。香りだけにふわっとね……)
記憶のなかでも香り立つ”香り菓子”たち
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杏と塩を食べた後のスウィートロマンティックタイム。目が醒めるまでみてた幸せな夢を反芻するようにひたすらに余韻に浸る。もう5回くらいはリピートしているんじゃないかというくらいお気に入りのボンボンショコラ。花が咲いたような杏のフルーティーさにミルクチョコレートが見せる夢。
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この数年チョコレートをはじめとした菓子の中でよく聞く素材となった「トンカ豆」バニラや杏仁、または桜の香りに例えられることが多く、独特の甘い匂いがするスパイスだ。
ミスチのチーズケーキを食べた瞬間、バニラ、トンカ豆、レモンがもたらすアロマのような香りの良さに本当に驚いた。ご褒美として、とっておきの日にゆっくりできる時間を設けて食べたいケーキだった。今振り返ると、トンカ豆を使った菓子を初めて食べたのはミスチが最初だったと思う。
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アマゾンカカオ特有のエキゾチックなチョコレートの風味に華やかなフルーツが合わさって、口の中にむわんむわんと香りが漂う。基本的にガトーショコラの類はなんとなく味の想像がつきやすいが故に食べる機会が少ないんだけど、信じてよかったkahanaメイド。
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金木犀の花が舞っているよう。そんな秋の瞬間的な景色を閉じ込めたような金木犀の琥珀糖。噛むシャリっと音がして、金木犀の花の香りがふわーっと漂う。匂いも食感も儚い。少しセンチメンタルな秋のおともにぴったりなお菓子。
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沈み込むように深く夢に入り込めそうな、バニラとトンカの甘美な香り。食べている最中、香りの良さにうっとりしすぎて、どこか別の世界に行っているようだった。あの時間が恋しい。
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香り菓子というテーマにパフェを入れるのは違うのではと少し迷った。けれど、強く記憶に残るほど香りの使い方に重きを置かれたパフェだったので、ぜひ話しておきたい。
産地が違うだけでこうも表情が変わるのかと驚かされるボリビアカカオのソルベ、発酵食品を思わせる酸味のクプアス(カカオの仲間のフルーツ)のアイス。どちらも育ってきた場所を想像させるような野性味があった。
変化をもたらす洋梨や柚子のジュレ、花梨のジャム、バニラを纏わせた洋梨のコンポートがあまりにもアロマティックで、このパフェを食べた後しばらくぼうっとしてしまい余韻が抜けなかった。プレスキルショコラトリーの小抜シェフの香りの使い方が好きだ。
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クロモジのアイスと山椒クリームはアロマ的、青みのあるライムゼリーと大葉のグラニテは梅雨の空気に風を吹かすよな爽快さ。
果物単体ではなく、パフェ全体で季節を感じられるようなパフェ。食べ始めから終わりまで香りの使い方が印象的で、ずっと口の中で確かめるように食べてた。
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見事なベルガモット使いが本当に素晴らしかった。高知県の土佐ベルガモットをふんだんに使ったパルフェトサ。
ベルガモット=紅茶という認識しかなかったけれど、疾風の如く鮮烈な柑橘の風味と苦味が気持ちよすぎて一瞬で魅了された。うっとりするローズシャンティ、パッションフルーツの南国感も効いたベルガモットのメレンゲ、最後のブランジュアマンド。柑橘の苦味と香りというワードが刺さる人にぜひ食べてみてほしい。
期間限定でしか食べられなかったのが悔やまれる。どうかもう一度ののパフェを食べたい。
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コーヒーの香りが鼻から抜けていって、合間に風を通すような柑橘の香りが混ざる。私はこの菓子が手元にあればいつだって大丈夫になれるのにと思うほど、胸の真ん中にストンと落ちる味であり香りだった。
実は、あまりに香りが好きすぎて袋も箱もしばらく捨てられなかったという逸話がある。
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“ただ木苺の味、じゃなくて周りに畑があって、そこには柚子も成っていて……みたいな周りの情景とかも想像して楽しんで食べてもらうような一粒なんです”(耳で聞いた言葉なので正確性は無く、こういう意味合いのことを言っていた)催事のスタッフさんはiroのことをこう教えてくださった。
ひとつ、またひとつと食べるたびにこの方の言っていることはすぐに分かった。
南仏の夕暮れのラベンダー畑、パキッとしたコントラストのコートダジュールの昼の海、鮮烈な香木の香り。口に含めば自分がその体験の一部となり、目を瞑り味わうことで目の前でその景色を追体験しているような感覚にあう。
ラベンダー×ロゼワイン、バジル×オレンジ、パッションフルーツ×スパイス。実体のないものを表現する味の組み合わせが上手すぎる。これはこの感覚が肌に合う人にぜひとも巡り合ってほしいボンボンショコラだと思った。
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和菓子をよく食べるようになってからも、食べたい!と思うようなどら焼きにはあまり出会ってこなかった。でもこの黒豆コーヒーどら焼きは個人的にかなり好みのどらやきだった。
鼻に抜けるコーヒーの香りとほっくりした黒豆。じゅんわりした生地。思わずほう……とため息をつくような、香りを楽しむどら焼きだった。きっとコーヒーにも日本茶にも合う。
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サルカラのケーキはお菓子のための香りというより、香りのための菓子というか、香り研究所のスタッフが作りました。ラボの実験対象です。みたいな感覚を受ける。
どのお菓子も香りが立つから、食べる前からすでに食体験は始まっていて、食べた後も余韻が残る。
細かな構成全てでサルカラのレモンケーキを伝えようとしているレモンケーキ、ジャスミン茶とマンゴーがアジアンの風を吹かすマドレーヌトロピカル、ブランデーとダージリンが香り立つマロンケーク、トンカとスパイスを纏うファーブルトン。どれも新しくて面白くておいしい。
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この香りを胸いっぱいに吸い込んだらよく眠れるし、なんなら久しぶりにすごくいい夢を見させてくれそう……と思わせられるレモンとカルダモンのケーキ。
薄氷のようなシャリシャリのアイシングは、キュンとくるレモンの甘酸っぱさと、それを包括するようなカルダモンのスパイシーな香り。このふたつが合わさることで生まれる雄大なアロマに癒された。
食事における香りは、いわば序章であり、誘いであり、より一層深く食事に没入する手立てとなる。
香り菓子をすうーっと吸い込んで香りを堪能する時間が好きです。それがアロマ的であればあるほど、没入感は深まり、その食べ物のもつ世界へと潜っていくことができる。
香りが束の間の食体験というショートトリップへと誘い出し、心までもを癒し、うつくしい余韻を残していく。その香りを通して得られる食体験も合わせて欲してしまうような引力が、香り菓子にはあると思うのです。
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わたしの偏愛おやつキロク 第一回目の「お菓子の包み」もよろしければどうぞ🍵
私の偏愛おやつキロクはまた不定期に更新していいきますので、(現段階でも書きたいネタが2本ほど!)気になる方がいましたら、マガジン登録をすると更新が分かりやすいかと思います:)
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