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野村明里─『愛のえんえん』インタビュー②

2020年2月22日(土)にゆめアール大橋[福岡]にて幕が上がる、ブルーエゴナク新作公演『愛のえんえん』。2019年にブルーエゴナクに入団した5人が一同に出演する新劇団員公演である今作の魅力や、入団を決めたきっかけについてインタビューを行った。

第二回目 野村明里 / nomura akari
------『愛のえんえん』ムック
1993年生。長野県出身。京都市在住。
同志社大学文学部美学芸術学科卒業。
在学中に自主映画製作サークルに入ったことをきっかけに演技に興味を持ち、京都を中心に映画からポストドラマ演劇まで幅広く活動する。『ラッパー』(2016年)、『ふくしゅうげき 京都ver.』、『訪れないヒのために』(ともに2017年)の客演を経て、2019年よりブルーエゴナク所属


ー入団のきっかけ

エゴナクの作品には、この数年間で何度か関わらせてもらっていました。
作風もよく知っているし、エゴナクの2人(穴迫、平嶋)とも仲良くさせてもらっていて、楽しい劇団だなと思っていました。
そんな時に穴迫さんから「これからは劇団としての作風を徹底していきたい」って話を聞いて。元々私は、団体の中で何か役割を担って行動するということが得意ではないという意識があったんですけど。だけど若いうちに一度は劇団というものを試してみようかなと思っていたこともあり、それが北九州の劇団というのも理由として大きかったように思います。
私は、東京みたいに人々の生きるスピードが速い都会の中で作品がどんどん消費されていってしまうような演劇活動に疑問を持っていて、それよりも京都や北九州っていう都会とは違う、少し地方にある都市で腰を据えて作品を作るということに魅力を感じていました。
北九州の劇団に入るということは色んな部分で大変なことも多いけど、演劇をしたいから東京とか海外に行っちゃおうではなく、北九州でやってみるか、っていう変な感じも面白いかなと思って入団を決めました。

ー愛のえんえんという作品について

愛のえんえんは、新劇団員が総出演する公演です。
どんな人たちが入ったのかも知らず、全員と初めての共演でドキドキしながら作っておりました。何年か前に『訪れないヒのために』という作品に出演したんですけど、その時も同じギャラリーソープという会場でした。それもあってか、作品の内容もどこか似ている部分を感じて、ささやかで個人的で、同じ匂いのする作品だなあと。台本が出来て稽古を進めていくうちに、私は割とすんなりとああこういうことがやりたいんだなって、「知ってる知ってる」って感じはありました(笑)

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(訪れないヒのために/2017)


ームックについて

公の場で大音量でラジカセ流しまくるような変な人ですね。
印象としては自由気ままで、強がりで、寂しがりやっていう。実際近くにいたらめんどくさいタイプの女の子って感じですかね。でもそれでいて、彼女自身の内面はかなり複雑に動いている不器用な人だと思っています。

痛いくらいに彼女が何を考えて今そういう行動をしているのか分かってしまう。っていうのは当て書きで書かれているっていうのもあるけど、かなり私のある部分に近いものを持っている役だと思います。他人からしてみれば何を考えているか分からなくて振り回されたり。でも最後は「じゃあね」って逃げちゃうような弱い人。あと私なぜか、エゴナクに出演する時はカタカナの名前の役が多いです、何故か(笑)

ー愛のえんえんの見どころ

何度か穴迫さんの作品に関わらせてもらって人柄も知っていますが、今作は優しさがよく現れている作品だなと感じます。

具体的に言うとまず、確かに〈愛〉がテーマになっているんだけど私が思う愛には程遠いような気がしていて。登場人物みんな独りよがりだし、それぞれの関係性としてはかなり不完全ですよね。

でもそれでいて、それを静かな景色として観客席から眺めた時には、それぞれは勝手な事言ってるしなんか噛み合っていないところも多いんだけど、まぁたしかにそれも「愛」だよなって感じる時間がありそうな気もするんです。

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あと、それぞれの俳優さんの個性が魅力的に引き出されている作品だと思います。
鈴木くんの柔和で、だけど人と距離を置くドライな感じ。いでの真面目でピュアな感じ。たつやの優しいんだけど絶対譲れない頑固なところを持ってる感じ。小関の可愛い女の子だけどその中に反骨精神がある感じ。

皆の人間性が現れていて、それも含めていい作品だと思います。

ー稽古で大変だったこと

ラジカセの操作ですね。俳優の仕事でありながら音響の仕事でもあるという。ラジカセを使っていた方ならわかると思うんですけど、非常に手間がかかるし扱いがセンシティブ。A面B面の確認をして巻き戻して音量をシーンに合わせて調整して、、、それでも音飛んでたりするしめちゃくちゃ気を使いました。さらにそれを、あくまでもムックの所作として自然にこなさなきゃいけない。そういう大変さがありましたね。

ー印象的なシーン

夜、西瓜がある夢?を見るシーンです。

西瓜は泣いている女の子と話すんですけど、その女の子はムックなのか全然別の子なのか分からないままなんです。その女の子の存在が、素朴に「なんなんだろう?」って疑問に思っていて、それで印象に残ってました。

私としては、割と単純な解釈だと思うけど、心理学で言うところの〈インナーチャイルド〉みたいな感じに見えました。個人の持ってる孤独とか寂しさの正体みたいなものだったんじゃないかと考えているんですけど、それに出会ってしまうっていうのはかなりホラーだなと。

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《キビるフェス2020 福岡きびる舞台芸術祭》参加作品
ブルーエゴナク『愛のえんえん』
2020.2/22(土)-24(月祝) ゆめアール大橋

▼ブルーエゴナク『愛のえんえん』特設HP

愛のえんえんバナー5


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