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わたしの十年に一度の本:10代編

小学校の頃に本を読む楽しさを覚えて以来、読書が趣味であり習慣のようになりましたが、実はそれほどたくさんの本を読んではいませんでした。芦田愛菜ちゃんの読書量に比べたら、読書を趣味と言っていいのか疑問に思う程度でした。やはり読む速度はそれほど速くはなかったんだと思います。

『風と共に去りぬ』との出会い

高校に入りたての頃、知り合ったばかりの読書好きの友達に貸してもらったのが『風と共に去りぬ』でした。1冊ずつ借りては返していたのですが、読み終わって返す時、
「もう、読んじゃったの?!」
と驚かれたんです。それくらい面白くてすらすら読めてしまいました。それまでは、じんわりとなんかいいなぁ…という風に感動することが多かったのですが、この作品はストーリーの展開が激しく目が離せない。感動というよりも夢中になって読みました。

この作品の魅力は、何といっても主人公のスカーレット・オハラです。美人で、ちょっと居丈高な金持ちのお嬢さん。男からは好かれているけど女からは嫌われてる存在。そんなちょっと気が強くわがままなお嬢様が戦争と言う動乱の中でなりふり構わず逞しく生きていく姿が実に清々しいのです。生きていくためには自ら手を汚して畑仕事もする、結婚も生活の手段として利用する、女だてらに製材所の経営に乗り出す…など、その経済力と行動力には脱帽せずにいられない。ただ、スカーレットは魅力的である一方で、結構とんでもない女なのです。が、長くなるので、とんでもない部分はまた別の記事に書きたいと思います。

女子高校生の感想、大人の感慨

高校生の頃は、愛読書は何ですか?と聞かれると、堂々と
「『風と共に去りぬ』です」
と、答えていました。しかし大学に入ると教授達から「女子学生の定番愛読書」などと揶揄されたり、あまり文学的な作品とは思えなかったので、愛読書とは言えませんでした。ところが、子どもの幼稚園で知り合ったおかあさん仲間の一人が堂々と愛読書だと述べたので驚いた記憶があります。もしかすると、その人は大人になってからこの本を手にしたのかもしれません。

読み手が未熟だといかなる良書でも未熟な受け取り方しかできないのです。私は最初に読んだ時、スカーレットのキャラクターには凄く惹かれましたが、もう一人のヒロイン、メラニーはなんだかいい子ぶりっこのようで好きになれませんでした。それからレット・バトラーの魅力も全然わからなく、むしろ穏やかでインテリなアシュレーのほうが自分の好みだったので、スカーレットとアシュレーが結ばれればいいのに…と密かに思っているくらいでした。

大人になってから再読すると、メラニーはとても魅力的な女性だと思えます。そしてスカーレット同様、レットの逞しさも人間的な魅力なんだとわかります。それからレットの哀しみまでがひしと伝わります。
15歳の私は、この作品は恋愛小説だと思って読んでいました。しかし、これは恋愛小説…というよりもむしろ戦争小説なのです。戦争の記述も細かく書かれているのですが、当時の私はその辺をすっ飛ばして自分の興味のある主要人物4人の恋の行方にばかり関心が行ってたのです。

戦争という風がそれまで大切にしていた暮らしや価値観などを一気に吹き飛ばしてしまい、混とんとした世の中で必死に生きていく人達の姿に心を打たれます。特にスカーレットはわがままな面もあるものの、戦火の中で嫌いなメラニーのお産に立ち会って赤ちゃんを取り上げたり、故郷の農園に戻ってからは自ら主となって家族の生活を支えたり、必死で生きていく姿が本当にかっこよく拍手を送りたくなります。



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