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集落愛する人々に希望

沖縄タイムスのコラム「オフィスの窓」
2023年4月16日〜9月3日の間で全5回連載。

今回は最終となる第5回目のコラム連載を掲載します。

8月8日、やんばるホテル南溟森室は1周年を迎えました。客室のある大宜味村喜如嘉集落と国頭村謝敷集落のみなさまや多くの方に支えられてこの日を迎えられたこと、とてもうれしく思います。
 
1周年の日は、喜如嘉の共同売店の前、謝敷の以前は共同売店だった事務所前で集落のみなさまにぜんざいを振る舞い、ゆんたくをする場を設けました。あるおばあは「姉が住んでいたところを綺麗にしてくれてありがとう」と泣きながら伝えてくれました。自分で所有してたわけではないけど大切な思い出が沁み込んでいる場所がよみがえったことを喜んでいました。
 

ゆんたくには、わたしたちが集落案内をしているのを見て、いつも通る曲がり角の草をむしって綺麗にしてくれるご近所さんも顔を見せてくれました。お話しすると、草をとるだけでなく鳳仙花を植えてくれていました。「てぃんさぐの花があったら、それを見て歌の話ができるからいいね。だから植えといた」と。
 

お客さまに集落を知っていただく気持ちの輪が、私たちの知らないところでいつの間にか広がっていることに感動しました。こうしたコミュニティーの豊かさは、世界に誇れるものだと改めて確信しています。
 

集落の人口減少に歯止めはかかりませんが、希望もあります。県内の大学でインターンを呼びかけると約20名の応募があり、8月は4人を受け入れました。若い世代が集落に興味を持って関わってくれたことが、私たちの前に新たに出現した集落の未来だと感じています。
 

私や、やんばるホテル南溟森室の役割は美しく大切な集落の存亡を成り行きや運命にまかせるのではなく、外部や未来からやってくる可能性に対して開きつづけることなのかもしれない。「集落を大切に思ってくれる人を増やす」というパーパスに改めて立ち返りながら、全5回の連載は今日で終わりになります。読んでいただきありがとうございました。やんばるでお待ちしております。(やんばるホテル南溟森室運営会社Endemic Garden H 代表取締役)

沖縄タイムス コラム「オフィスの窓」
仲本いつ美 連載

やんばるホテル南溟森室 
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