ホラー閲覧注意 毎週ショートショートnote【祈願上手】裏お題【奇岩シューズ】献身的な悪魔
調理用のハサミを手に持った。
今から自殺する
切り取る部分は決めている。あの女に分からせるために
彼女とは、有名な陶芸家のお葬式で出会った。彼女の夫は新境地の陶芸「奇岩シューズ」を発表し、世間から注目を集めた矢先に、両目をくり抜いて自殺したのだ。
俺は未亡人になった彼女に話し掛け、仲良くなった。
俺は有名な料理人であったが、コロナの影響で味覚が無くなってしまった。
もう人生が終わったと感じた時に、彼女が現れた。
「私があなたの舌の代わりになります」
「貴方が生きるお手伝いがしたい」
彼女は俺のレシピに沿って料理をつくり、自分が感じた味わいを言葉にして俺に伝えた。
こうして、俺と彼女との共同作業により、俺が味覚を失っていることがバレずに仕事を続けられたのだ。
ある日、評論家に言われた
「あなたの料理が新境地に達しましたね」
それは俺の味ではない。
彼女は私が生涯を掛けて培ってきた技術を、完全にコピーしただけではなく、たやすく凌駕した。
もう生きてはいけない
ホラーにはじめて挑戦しました。
うまく怖さが伝わるか不安です・・
今の気持ちがホラーかも!