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「忘れられない今日になった!」

 書き切りたい文章と書き始めたい文章は山ほどある気がするのだけど、今日はもうしょうがない。ユニゾンかっこいいんだもん。毎度毎度かっこよくなるなあ。
 UNISON SQUARE GARDENのツアー、Ninth Peel ぴあアリーナMM 2023/05/27(土)に行ってきた。かっこいい。10個も下の小僧が言うことじゃないけど、大人になったなあ。毎ツアー磨かれている。磨かれているんだけど、どうも「大人になっていく」というのがしっくりくる。もう今の輪郭がしっかりしてきている『Populus Populus』の頃だって「あなたの声が痛いほど突き刺さるから」だし、余裕が出てきている『Cather In The Spy』も「音楽は今日も息をするのだろう」とか言っていて、叫んでいる感じがする。これが『Ninth peel』だと「僕のことをわかってほしいんだよ」で止まって、「いつかのどこかで待ち合わせしようね」なんて言ってくれる。
 深夜に悩んで叫びながら走ってる若者から、何も言わずに一杯おごってくれる紳士になってる。諦められずに真っ向からぶつかって傷ついていた昔の姿から、ある程度は諦めているけど大人の闘い方を身に着けた対比になっているような気がする。今回のツアーで『シューゲイザースピーカー』が入ってきたのは、そういうところで『Numbness like a ginger』との関係がいとおかしだから。だと思う。2曲目にポップと譲歩できるわかりやすさの極地だった(と思う)『シュガーソングとビターステップ』を入れてるのも、「蓋然性合理主義なんてガキの遊びだわ」と組み合わせていとおかし。シュガーソングは私も大好きだけど、そこばっか見てんじゃないわよというのを感じる。とにかく対比に対比を重ねて「あんときゃ若かったなあ、今はもっとできるよ」って言っているような感じ。
 ユニゾンから明確に大人を感じたのは静謐甘美秋暮抒情から。沈黙の使い方が抜群に上手だった。音を増やして増やしてできたのに、静謐に甘美さを感じさせるなんて。私の中では『MODE MOOD MODE』はぶっちぎって最高なアルバムだった。とんでもないツンデレと静けさの心地よさを共存させたアルバム。4〜5年くらいはフルアルバム出さなくても良いな、余韻でやっていけるなと思っていた。
 そこからたった2年半で『Patrick Vegee』が発表される。MMMには負けちゃうんじゃないかと。思っていたけどこれもこれで化け物だった。2021年の末からApple Music契約して、2022年のランキングはこの2作がぶっちぎりだった(MMM:135回、Patrick Vegee:130回、Dr.Izzy:124回、東京ディズニーシー20周年:115回)。『世界はファンシー』とか『Hatch I need』からキレッキレだし、やっぱりここも『夏影テールライト』とか『弥生町ロンリープラネット』とかの空白が美しいし。「Miss.テールライト」って”見捨てるライト”なんでしょうか。ライトも何ととれば良いかわからんけど。ライト=星明かり→憧れのロックバンドになるのかなあ。彼らの言う「君」って誰なんでしょう。基本は他の誰か、それこそ新米とか備蓄米とかだったりするんでしょうけど、自分たちのことが多分に含まれてる気がしてならぬ。
 化け物のアルバムが2018年1月と2020年9月に2作続けて出ていて、今度こそ20周年まではアルバム出さんぞくらいの気持ちだったかもしれない。けどシングルはアニメタイアップがばしばしっと決まって。シングルが溜まった状態でタイアップ来たらアルバムツアーやろうねって方向になっちゃうんだろうなあ。タイアップが嫌とか新曲が増えるのが嫌とかは全くなく。ただ曲とかアルバムの余韻、好き勝手できるライブが減ってしまうというのは、どうしようもなく不本意なんじゃないか。でも不本意だと嘆くのも叫ぶのもやめたんでしょう。だってそれでもライブはできるし。良い曲はかけてしまうし。最高のセットリストを組んでしまうし。強く吹いて意図しないところまで運んだ追い風があっても、自分で選んだ答えだから。とりあえずは『都合よく舌を出したまま』、いけるところまで行ってみてるんだろう。
 ああ良いライブだった。なんで『City peel』の時計は「13時を指す」んでしょう。時計が指すのは午前でも午後でも1時だ。「ポッケに愛とビスケットを」って時間でも気持でもなく、のんびり「かじりかけのビスケット 紅茶にちょっと浸して」なんて木漏れ日の中にいるからってことで良いでしょうか。もう絶対静謐甘美とセットで聞きたいと思ったよ。次は『プロトラクト・カウントダウン』ともセットでやる日が来るんかなあ。
 最近100人中80人くらいには全然わかってもらえず、残りも18人くらいには根っこがわからず、話をしたいのは2人くらいだと思った。気持ちとか心象風景を文字に起こして言葉をつないで、最後は誰かの辞書になりたいのかなあと思った。このタイミングで「最低でも半数は見放してく」と「触れる感情の名前呼んで」と握り返してくるなんて。3階席1列目は立ち見禁止なのか、座ったままなんて…と思ってたのにどうでもよくなった。太もも叩きすぎて痛いし青あざになってるけどいいよいいよ。もしかしてアンコール捌けて速攻出てきたのは「いなくなったと思わせて ぶちかませば」ってことなんでしょうか。
 「さっさとお家へ帰れ!」は無視してカフェに寄って2時間でここまで2000字ちょっと書いている。うー悔しいくらい好きだな。


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