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【いつメロ No.12】灯台下の青い鳥

液晶ガラスの向こうには、いつも深刻なニュースやゴシップで溢れている。
どこかでどんな犯罪が起きたか、誰が何か不適切な発言をしたのか。どうだっていいはずなのに、それらは自分を逃がしてくれない。
画面をスクロールしたら、今度はキラキラとした世界が広がる。テーマパークに遊びに行っているクラスメイトたち。ハロウィンコスに身を包んでキメ顔をしている女子たち。自分と嫌でも比べてしまう。

そんな全てに嫌気が差して、スマホをほっぽり出す。
「幸せってどこにあるんだろう?」塀の中のような自室のベッドで、無気力に寝転がった。

外出を自粛しないといけなくなって、3か月。
当たり前が当たり前でなくなったようで、当たり前でなかったものが当たり前になりつつあった。それでも、奪われたものに嘆き、怒りのやり場がなくなりところどころで破裂している。まるで、世界から「幸せ」そのものが奪われたようだった。だからこそ、幸せがどこにいったのか探してしまう。いや、自分だけでなくみんな同じだと思う。この出口の見えない非日常の中でみんなが、青い鳥を探しているんだ。

物語みたいに青い鳥は身近にいるわけないよなと、自分で勝手に絶望して、目的もなくテレビを見ていた時、青い羽根を画面の中で見つけた。いや、聴こえた。
タイトルも分からないドラマの中で、男が何かの歌を口ずさんでいた。そして、「幸せなんかそこら中いっぱい落ちてるから 欲張らず拾っていこう」と言いながら微笑み、コンビニで買った缶ビールを飲んでいた。
「幸せがそこら中に落ちているだって…?」耳を疑った。全世界で探し求められているであろう青い鳥が実はそこら中にあるなんて、とんだお笑いじゃないか。でも、テレビの向こうの男は缶ビールに幸せを見つけている。青い鳥を見つけたんだ。日常の中に。

そのドラマを最後まで見なかった。その代わり、部屋や家の中を探しまわった。きっといる。そう信じられるようになっていた。そして、一冊の本を見つけた。この本は、買ってしばらく放置していたから自粛の間に読んだ本だった。その本を読んでいる時は、ちょっとだけ現実を忘れられた。熱い気持ちになれた。それを思い出した時、私は青い鳥を見つけた。本当にいた。すると、その後至るところに青い鳥がいたことに気づいた。まさか、こんなお笑いが本当に起きるとは…。自分でおかしくなり、思わず笑いだした。こんなに笑ったのは久しぶりな気がする。薄暗い世界に灯台が明かりを灯すように、自分の中の世界も少しだけ明るくなった。ひとしきりすっきりした時、また新たな疑問が湧いた。
「そういえば、あの歌って何だったんだろう?」

そして、程なくして、私はまた青い鳥を見つけることになる。


                         Mr.Children/ひびき


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