【Side B】静寂に包まれた部屋
お読みいただきましてありがとうございます。
「書く習慣」アプリから出されるテーマに沿って生み出す創作モノ。今回は、放課後の教室を舞台に担任の先生と生徒とのやりとりを書かせていただきました。
私の創作モノは大抵ホントの話を元としていますが、今回は高校時代のある1日の出来事をほぼほぼ事実のみでお届けしております。名前や部活の所属等細かい部分こそ違いますが、まぁ完全ドキュメントといっても過言で…すね。すみません、ちょっと盛りました。
とはいえ、見回りにきた担任の先生からグレープジュースを渡されたのは紛れもない事実です。当時はジュースといえばオレンジばかり飲んでいた私にとって、ほろ苦くて甘いグレープフルーツジュースは馴染みがなく、ほぼ初めて味わうものでした。この出来事をきっかけに、ジュースを選ぶときにはグレープフルーツを選ぶ回数が増えました。ただ、最近は血圧の薬を飲み始めちゃったんでねぇ…いや、別に時間を置いて飲めばいいだけの話なんですけど。
読んでいたのは、沢木耕太郎さんの単行本でした。多分、この時は「人の砂漠」だったと記憶しています。この当時はカバンの中身が教科書より単行本の方が多く、相当な重さの荷物を持ってえっちらおっちら登校していました。で、放課後になると何冊かの本を開いて同時進行で読んでました。随分と器用なことをしていたように思えますが、最近うちの母が机の上に「編み物」と「縫い物」と「英語の本」を同時に出してたのを見てやはり血は争えないものだなぁと痛感しました。
事実に基づく話なので登場する人物は当時の担任と私自身ですが、少々事実とは異なるテイストも加えております。ちょうど今朝観ていた『ラヴィット!』のMCである麒麟の川島さんをイメージしたこともあり、先生の名前は「カワサキ」に、生徒の名前はバイクつながりで「ホンダ」にしました。
静寂に包まれた放課後の教室で読書していたころの私は、自分が架空の物語を書くことなど夢にも思っていませんでした。まさか、あの当時の出来事が新たな物語を生み出す糧になるとは…
ノンフィクションにしか興味のなかった、
あのころの私に教えてあげたい。
ちょっと話作るのもなかなかいいもんだよ、と。