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シャニマスソロCD集を聞いて書いた怪文書

シャニマス怪文書

前置き


ここ最近、酒に酔ってソファーで寝るたびに、樋口円香が「本当、あなたってダメな人……」って毛布をかけてくれる夢を見ている。

『THE IDOLM@STER SHINY COLORS COLORFUL FE@THERS -Stella-』
皆さんはもう視聴されただろうか。私は完全に脳をやられてしまった。一日4時間は聞かないと日常生活が送れなくなってしまっている。

プロデューサーとして彼女らを育てる傍らの自分が、スカウトしたときのような新鮮な輝きに気づいてしまう瞬間。楽曲という形式で一人ひとりにフォーカスする、初めてのソロ曲集はとてつもない破壊力を秘めていた。
WING・感謝祭・GRADなど各種のプロデュース。オーディションではアイドルが歌う楽曲について思いを馳せることもなく、ついつい発揮値やラスアピ計算してしまわないだろうか。プロデュース中、プレイヤーとしての目線に成り下がってしまうタイミングが多々ある。しかし、そんな『シャニPではない視点』も今回のアルバムではクソデカ感情の引き金となる。
そもそも「架空のアイドルが現実世界でCDを出す」という構造に諧謔が内包されている。「果たして、このCDを聴く『私』は『どこ』にいる『だれ』なのだろうか」。たとえばそれは、毎朝のコーヒーを飲みながら月岡恋鐘の歌に励まされる『ファン』としての自分。あるいは、恋鐘がレコーディングで何度も失敗したことを知っているプロデューサーとしての自分なのか。
キャラクター描写の解像度が高いシャニマス。プロデュース活動は1名のアイドルを選んで歩んでいくこともあり、ソロ楽曲ではより没入性が高く、怪文書を書くのに適度な酩酊感を味わうことができた。
私はシャニマス楽曲はあまり手を出してこなかった。シンデレラガールズ楽曲はかなりの数を購入して楽しんでいるが、正直にいうとプロデューサー視点というよりは、ファン目線として楽曲を聞いて満足していることが多かった。デレ楽曲は曲がいいのだ。
一方シャニマスはそこそこ真剣にプレイしていると思う(それでも一瞬グレ6に行けたぐらいだが)。ただそのへんの差異からも『THE IDOLM@STER SHINY COLORS COLORFUL FE@THERS -Stella-』での感動が大きかった。備忘録的に、あるいは問診票のように、今回、このアルバムで得た感動を怪文書として残していきたい。
※注釈1
感想の中でコミュへの言及もしたりするが、それは私の解釈であることを了承いただきたい。もちろん私はすべてのSSRを所持してすべてのコミュを見ているわけではない。あくまで私が私の見たコミュを見て感じたことを書いている。他のコミュで否定されている事柄もあるかと思う。
「つべとかニコ動でコミュを全部見ろ」という意見もあるかもしれないが、
私がプロデュースしていく中で出会ってしまったクソデカ感情を書き綴りたいのであって、私達は怪文書を書くためにコミュを見るのではないのだ。
※注釈2

各楽曲の感想を書いてみたが、文章量に結構差が出てしまった。率直に言うとアンティーカとノクチルが好きなので該当アイドル曲の感想は明らかに長い。が、それもまたいいのではないだろうか。「こいつ何もわかってねーな」と思われた方は、ぜひ怪文書を書いていただきたい。怪文書の本懐は新たなる怪文書を呼び寄せることだと思っている。

【曲ごとの感想】

1.プラニスフィア ~planisphere~  

作詞:松井洋平 作曲 : ArmySlick、Giz'Mo (from Jam9) 
編曲:山口朗彦

『あー、これよくオーディションで聞くね』

今回は配信サイトから高音質版を購入しヘッドホンで聞いている。
通常、スマホでシャニマスをプレイするときとは当然違い、発見も多い。
低音の構成要素も多く、音程的に浮足立ちがちなアイドルソングをしっかりとした質感で受け止めることができる。楽屋でアイドルたちのライブのスタートをモニターから眺めるシャニPの気持ちになれた。

2.ありったけの輝きで

作詞:こだまさおり 作曲・編曲:羊
歌:櫻木真乃(CV.関根 瞳)

『本当に、ほわっとしながら歌うんだなぁ』

まるで温かいシャーベットのような軽くて甘くて少しレモンの風味が香るかのような『ほわっ』で満たされていく。全体的に黄色いバックライトの歌ってるような雰囲気。シャーベットのような軽い感覚だが、よく聞くとチューブラーベルらしき響きがあり、その奥でギターも小気味よくアーモンドがまぶされているかのような歯ごたえと香りもあるなと思う。なんだか食レポみたいな感想になっているが現実にこういう食べ物があるのかどうかは知らない。

3.星をめざして

作詞:下地悠 作曲・編曲:三好啓太
歌:芹沢あさひ(CV.田中有紀)

『いや、あさひお前歌上手いな!?』

あさひの歌が上手い。あさひの歌が上手いんだぞ!?
あさひといえば、スカウト当初からダンスの印象が圧倒的に強いのではないだろうか。歌もうまかったのかお前……
ストレイライトではあさひが一人で売れてしまっているという描写が感謝祭イベントでは見られるが、なんとなく理由がわかった気がする。芹沢あさひは姿を見せるたびに、新たな魅力を見せつけてくれるのだ。あさひの身近にいればいるほど、その姿が眩しくなってくる。シャニPの気持ちが80%くらい、黛冬優子の気持ちが20%ぐらいで聞けた。
電波のように軽く弾ける木琴(?)に乗っかる意味を持たない歌詞。
これ、誰の曲だろう。と思っているうちに歌詞が意味を持ち始めて、『これあさひか!?』となる。全体的な印象として、空と宇宙の間の成層圏のような、澄み切った濃い空色が全体を覆っている。そこで、電子楽器の音色が宇宙で受信する電波のような印象を与えて、あさひが空を飛んでいるイメージ。タイトル通りの『星をめざして』を感じられた。アルバムの中でも非常に気に入った曲。

4.夢見鳥

作詞:秋浦智裕 作曲:家原正樹、Jam9 
編曲:家原正樹
歌:樋口円香(CV.土屋李央)

『詩っておけばなんとかなる。シンガーソングライターなんて楽な仕事』

樋口……お前……樋口……(クソデカ感情)
正直、この曲をヘッドホンで聞きたくてこのアルバムを買ったまであるのがこの曲だ。
曲調、歌詞、ともに樋口が嫌いそうな曲だが、そう。オタクは美少女の弾き語りが大好物なのだ。夕暮れ時のオレンジの世界でなんとなく感傷的になってしまう、自分はそういう繊細なオタクなんだとまざまざとわからされる。アコギ一本でもしっくり来そうな素材の味を活かすスタイルだが、肝心の素材が劇薬、樋口円香である。
ごまかしようもなくダイレクトに届く樋口円香ボイスは、漢方薬程度の配分なら健康的な習慣になるかもしれないが、実際には完全に中毒を引き起こす量で垂れ流されているため樋口円香Pは高熱を出し、精神が錯乱し、死ぬ間際に幻覚を見る。

ノクチルのアニメを皆さんも毎週の生きがいとして過ごしていると思うんですけど、EDで流れる『夢見鳥』の演出にちょっとした秘密があるんですよ。レコーディングスタジオで樋口さんがマイクに向かって歌っているだけのシンプルな映像なんですけど、樋口さんの目は一切見えないじゃないですか。意図的にフレームアウトさせて、表情を見えづらくしてるんです。でも実は4話から樋口さんの表情、毎回変わってるんですよ。よく見てもらうと、口元が違ったり、髪の毛のバラけ方とか。樋口さんが少しずつ心をひらいている演出になってるんですよ。気になる人は歌詞カードを見ながら4話を見返して考察してもらえればなと(笑)。 
      『つばさ出版 −透明になった僕たち− 制作陣対談より引用』

5.アポイント・シグナル

作詞:真崎エリカ 作曲・編曲:本田正樹 (Dream Monster)
歌:月岡恋鐘(CV.礒部花凜)

『これが、月岡恋鐘なんだよ!!俺がスカウトした恋鐘だ!!!』

叫びだしたくなるほど『月岡恋鐘』である。『元気いっぱいの長崎ガール』なのだ。ポップな曲調に日常系の歌詞。誰にでも伝わる、元気いっぱいのこがたん。
これはスカウトしたきっかけは「笑顔と行動力!」で間違いない。決して「スタイル!」ではない。いや、ちょっとはあるかもしれないが……

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と、キャラソンとして完璧といって差し支えない出来栄えになっているのだが、ここでシャニPは更に『俺』を憑依させてしまう。月岡恋鐘のGRAD編を見た『俺(=プレイヤー)』は、恋鐘の「空白の1年間」を知っているのだ。シャニPさえ知らない「空白の1年間」を知っている『プレイヤー』は、この曲の歌詞にじわじわと感情を揺さぶられていくことだろう。見ていない人はGRAD編を見てほしい。とにかく、効く。


6.チョコデート・サンデー

作詞:児玉雨子 作曲・編曲:中野領太
歌:園田智代子(CV.白石晴香)

『チョコじゃなくてサンデーなんだな』

先程の『アポイント・シグナル』も日常を描いた歌詞だが、こちらはもっともっと普遍的というか、味付けが一切なく、本当に『日常』なのだ。テーマは「日曜日のデートが終わってほしくない」。普遍的で『普通の女の子』の心情を描いている。あえて「チョコ」という単語が出てこず「サンデー(Sundae)」という表現にとどまっているが、きっとチョコレートサンデー食べてるんだろうなあと妄想の余地がある。ついでに週末デートの内容を妄想してみたり、一日のデートプランをねってみたり……。
この曲を聞いた園田智代子のクラスメート諸君は大変だな。

7.Sweet Memories

作詞:鈴木静那 作曲・編曲:h-wonder
歌:大崎甘奈(CV.黒木ほの香)

『甘奈は、こういう表情なんだな』

これまでシャニマス楽曲はあまり触れてこなかったと書いたが、実はアルストロメリアの曲はちょくちょく配信サイトで購入していた。
アルストロメリア楽曲は『Love Addiction』をはじめ、月9のドラマでも流れてても違和感がないような爽やかでクリスピーなポップ、オーケストラなポップと共にあった印象だが、ソロ曲ではそのへんをはっきり区別してきたようだ。
「ちょっと古めの、ラブバラードだな」という印象。甘奈はPラブ勢筆頭の卑しかアイドルだが、今回のラブバラードを『どう』受け取るか、だ。他の方のnoteも見てみたが、この曲の解釈については諸説ある。普通に考えればこの歌は『シャニP』への思いを歌った歌だろうが、個人的には『甜花ちゃん』もありうると思っている。
「別々の道をゆく その時が来ても」という歌詞は果たして大好きなシャニPとの関係において、あっていいことなのだろうか。
その点では、プロデュース初期には「大好きな甜花ちゃんと離れていくこと」が描かれていたこともあり矛盾はない。
しかし、この歌詞がシャニPに向けられているとしたら「別々の道をゆく時」はどんな時だろうか。ここでは甘奈Pの皆さんの怪文書に委ねることにしたい。個人的にはシャニPが奈落から落ちて遠いところに行ってしまうような展開にならないことを祈る。

8.ハナマルバッジ

作詞:古屋 真 作曲:小久保祐希、YUU for YOU 
編曲:YUU for YOU
歌:小宮果穂(CV.河野ひより)

『゛う゛わ゛ー゛!!か゛ほ゛ち゛ゃ゛ん゛が゛う゛た゛っ゛て゛ま゛す゛ー゛ー゛ー゛ー!!!!!』(脳内の果穂ちゃん)

完全に果穂ちゃんが歌っている。そう、完全に果穂ちゃんが歌っているのである。「あー小宮果穂が住んでる時空の小学校5年生になりてぇ〜〜〜〜」という気持ちになる。正直に言うと、この文章を書きながら『ハナマルバッジ』を現在45分ほど聞き続けており、論理的整合性が完全にどこかに行ってしまい、湧き出す感情を可能な限りひたすら書き綴っていた。書き綴っていた内容を冷静になって見返してみたところ、本当に救急車を呼ばれかねない内容だったので、時間をおいて冷静になって7割ほど消した。
『アポイント・シグナル』も完全に月岡恋鐘が歌っていたが、これはおかしいレベルで小宮果穂が歌っている。もはや果穂が顕現しているといっても過言ではない。

「ねぇ、君の心に小宮果穂ちゃんが現れたらどうなる?」

そんな人体実験が突然始まってしまったような衝撃。ピュアじゃない奴は死ぬしかない。多分、鬼滅に出てきた炭治郎の心に触れた少年の感情もこんな感じだったのだろう。

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こんな感じ

汚れたおっさんの心に果穂ちゃんのソウルが注ぎ込まれて、疲れ切ったおっさんは完全に消滅した。

力強いバンドミュージックに支えられて健全でハスキーな果穂ボイスが駆け出してくる。サビが強い、それはもう強い。ベースやギターが力強く下地を作って、
サビへと駆け抜ける果穂の全力ダッシュを120%発揮させてくる。
アップテンポなビートに乗せられて「雨が止んだら傘を振り回したい!!秘密基地で友達と集合したい!!」そんな純粋だった子供の頃の感情が呼び起こされ、
「かさをとじてしゅつーどーうーーーー!!!」で完全に語彙が消失して、感情の塊になって心のデトックスが完了する。いつまででも聞いていられるし、絶対に聞くたびにQOLが上昇していることが確定的に明らかだ。

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【総評】

神アルバムだった。それに尽きる。

先述の通り、樋口円香の『夢見鳥』を目当てに買ったアルバムだった。それはそれはもう楽しみにしていた。楽曲ダウンロードが終わって、再生ボタンを押すまでのニチャニチャ具合は我ながら引くレベルだった。
一曲目から順に再生し、『夢見鳥』を聞きながらウイスキーを飲んだ。あのときの私は、それで満足していた。しかし、『ハナマルバッジ』が終わって再生が終わったあとの無音の時間。私は怪文書を書こうと決意した。
その後、改めて『夢見鳥』を自ら服毒した。『夢見鳥』が終わると、次に流れるのが『アポイント・シグナル』だった。私は『夢見鳥』に戻れず、いつも『アポイント・シグナル』まで聞いてしまっていた。
そして、『夢見鳥』をまた聞こうと思うと、その一つ前の『星をめざして』もついつい再生してしまう。
結局そのまま最後まで流して聞いて、『ハナマルバッジ』でアルバムが終わる。
3番、4番、5番のクリーンナップからのラスト果穂ちゃんで完全にサヨナラホームランとなって完全試合。構成の練られたアルバムだった。

もうほんとにTHE IDOLM@STER SHINY COLORS COLORFUL FE@THERS -Luna-も楽しみで仕方ない。

あと買ったほうがいいCDあったら教えて下さい。

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