本当に悪い、ブラジルの治安の話
以前に書いた記事でも触れましたが
私は5才から10才までブラジルのサンパウロという都市に住んでいました。
ブラジルといえばどんな印象を持つでしょう?
今(2022年12月の現在)ちょうどワールドカップで盛り上がっていますが
サッカーでしょうか? それともサンバ? シュハスコ(肉)?
このようなブラジルに対するイメージは
ズバリ、その通りだと思います!
街も人もにぎやかで、陽気で、
おおらかで、優しくて、国民性がとても魅力的です。
大雑把で適当なところもあるけど、個人的には
それくらいが楽で、心地よいです。
と、本当に魅力的な国で
私も大好きなのですが。。。
治安は本当に悪いです。
スリや強盗は日常茶飯事で起きており
とくに日本人はお金を持っていると思われて、
狙われやすいんです。
身をもって治安の悪さを経験した出来事があったので、お話しますね。
あれはブラジルに着いて、まだひと月も経っていない時でした。
(私は当時5才で記憶が曖昧なので、母にその時の状況を聞きながらこの記事を書いています。)
その日、母と私と妹の3人は
自宅マンション近くの、パウリスタという
大通りに買い物へ出かけました。
その帰り、大通りから少し外れた
マンションまで続く坂道を
母娘3人で手を繋いで、くだっていました。
すると向こうから、ひょろっと細くて背の高い少年たち(おそらく10代半ば)
5〜6人が歩いてきました。
彼らは私たちをよける素振りもなく、
あっという間に囲まれてしまいました。
5才のわたしの視線からは彼らの顔は見えなくて、
囲まれて暗くなった視界の中で1人の少年が強い口調で何やら
訴えているということだけがわかりました。
状況が良くわからないので
怖いのかもよくわからずにいたんですけど
私の手を握る母の握力がギュッと強まり
私と妹をグッと引き寄せたときに
「あ、良くない状況なんだ」と理解しました。
その時、一人の少年の手が母の方に伸びてきたので
「は!逃げなきゃ!」と思いました。
その瞬間、母が
今まで聞いたことも無い
腹の底から吐き出したような声で
「ギャーーーーーーー!!!」と叫びました。
一瞬少年たちが「!!」となっている隙に
私たちは彼らの隙間を抜けて、
坂の下のマンションめがけて
一目散に走りました。
母が私の手を強く握ってるから思うように走れなくて
「んもうッ!離してよ!」って全力て母の手を振りほどいて
「とにかく逃げなきゃ!」と後ろも振り返らず、
3才の妹を抱えて走る母のことも気にすることなく、
とにかく必死に走りました。
なんとかマンションにたどり着いて
門番のガードマンに門を開けてもらい、崩れ落ちるように安堵しました。
ふと「あ、お母さんと妹を置いてきてしまった。」と気づき不安になりましたが
そう遅れずに母と妹も無事に戻ってきました。
母娘で「怖かったね〜、帰って来れて本当よかったね」と
お互いの無事を確かめ合っていると、
3才の妹が
「ホーチョーもってたね。」と言ったのです。
母も気づいていなかったのですが、
きっと妹の目線からは見えていたのでしょう。
後日、母が先輩駐在員の方にこの話をしたところ、
「その状況、刺されてもおかしくなかったよ。
そういうときは声を上げずに直ぐにカバンを渡すのがイチバン。」と
言われたれようです。
とてもゾッとする経験でしたが
最初に身をもってこういう体験をして警戒心がついたからなのか、
その後のブラジル生活で同じような目に遭うことはありませんでした。
とは言っても、
スーパーに拳銃が売っている国です。(現在はわかりませんが。。)
直接被害は受けなくても
身近なところで殺人事件が起きたこともありました。
長くなるので
それはまた別の機会にお話します。