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わたしには帰る場所がある

地元を離れて一年以上が経った。
数ヶ月おきに帰ることができるわたしは
幸せ者だとそのたびに実感している。
ふるさとで生きていた思い出、時間、記憶、
あの時の温度、匂いまでもを鮮明に
肌で感じることができるからだ。
都会に出ることなど少しも考えずに過ごした
20年間、わたしは確かにふるさとで生きていた。
友達がいて、夢中になれることがあって、
もう嫌になりながら勉強もした。
たまに一人になりたくなって歩いたあの道は、
ちゃんと今もそこにあって、
ずっとずっと変わらずに存在している。
そのことが涙が出るほど嬉しい。
でも、視界に入るもの全てが思い出で、
やっぱり寂しくもなるのです。
幸せなことだと分かってはいるけれど。
そう思えば思うほどに。

自分のちっぽけなプライドのために
大切な地元を離れることにしたけれど、
帰る場所はいつもふるさとで、
わたしの幸せはすべてそこに詰まっている。
色褪せずにそこにちゃんと残っている。

小さな世界で過ごした20年間がわたしの基盤で、
巡り合った人たちは今でも宝物です。

いつまでもたったひとつの、帰る場所。
わたしの気持ち全部が育った場所。
わたしの気持ちそのものがふるさとです。

でももう少し、このちっぽけなプライドと
向き合わせてね。
もっともっとふるさとを愛していくのだと、
遠い未来を予想なんかできないけれど。
ちゃんと生きていけます。
わたしはわたしでいられます。
ありがとうと
ふるさとに、ふるさとで出会った人たちに
心から思います。
愛を込めて。

2021年春

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