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日本人とカーテン<2>

これはあくまでも20年以上カーテン業界で仕事をしてきた私個人の考えていることです。

先月宿泊したビジネスホテルのカーテンです。

つまみとつまみの間隔が広すぎて左の方はだらんとなってしまっています
カーテンのウェーブは殆ど無く、フラットカーテンの印象ですね

カーテンのつまみの部分2ツ山の間隔がかなり広いですね。一般的には2ツ山の場合15から16cmぐらいなのですがこちらは20㎝弱あるのではないでしょうか。ドレープ感(カーテンのウェーブ)も無くフラットな布という印象です。また間隔が広くなるとだらんとしてしまい上の折り曲がったところには埃が溜まってました。。

このカーテンを綺麗につくるには生地を1巾増やさないといけません。生地の量が1.5倍必要で、つまり原価が1.5倍になってしまいます。でも恐らく図面の仕様書には「2ツ山1.5倍ヒダ」の指示だけでしょうから、見た目の縫製ではクリアしたのだと思います。

こう言った案件は業者同士の相見積りが殆どで皆ギリギリまでコストを落としてきます。前の記事で触れた形態安定加工がかかっていないというのもコストカットの表れでしょう。最終決まった後も値交渉があったり、、

そして意外とこういった現場にカーテン、ブラインドを納入するのは専門業者は稀だと感じています。内装仕上げの会社が床工事、クロス工事の受注のついでにカーテンも納入するのが多いのではないでしょうか。主軸の内装工事を受注する為にカーテン、ブラインド類は薄利で納入するパターンです。ドラックストアが来店客数を増やす為にお菓子を安く売るのと同じことなのかなと思います。

なので時々カーテン業者が見るとあれ?というカーテンが納入されている事があるんですよね。交差レールが逆さに設置されている事もありました。。(逆交差ではなく重なりの部分が部屋内に出っ張ってました)

こちらは正規の交差レール 右と左が入れ替わっている逆交差も正しいです
ただ、重なりが奥にグッと曲がらずに部屋内側にせり出す形で取付してあるのは間違いだと思います。理由はカーテンを閉めた時に真っすぐレベルが揃わないからです

カーテンのプリーツが綺麗に出ていなくても竣工検査が無事通ったり、施設の施主側がそのまま使い始めたりするのは、私としてはとても残念に思うとある人にこぼした事がありますが、その時言われた事にハッとしました。「ちょっときつい言い方になるかもしれないけれど、それは皆カーテンの仕上がりに興味を持っていないんですよ」と。ホテル、保育園などの施設の現場に携わる方々がカーテン吊ってあるだけで納品オッケーのチェックを通しているんだと思います。

まだまだ装飾品としてのカーテンが日本人の肌に浸透していないのだなと感じました。

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