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PLCツアー感想

PLCを聴き、ツアーに行って、「子供のような絵を描けるようになった」というピカソの言葉から着想した、というはっきりしたテーマがあったからこそ、この曲はどういう風に子供の素晴らしさを描いているんだろうということをよく考えた。

その結果、どの曲からも子供とか大人とか成長、そういったものを何かしら連想することができた。そして、人生は何かを知る、つまり何かに気付くことの連続で、その瞬間が歌になるものだからかと納得した。ライブで歌われた曲たちがこのツアーで歌われてどんな思いがこもっているんだろう、ということを沢山考えて、思ったのは、単に子供であることを評価することがこのアルバムの真意ではないんだろうなということ。子供が単純にやりたいからこれやる!というのと、大人がごちゃごちゃ考えた結果、初心に帰ってやりたいことを素直にやろう、と思ったことの質は私はやはり違うと思うし、私たちが価値があると見なすべきなのは子供ではなく子供のように生きる大人だと思う。子供らしさも大人らしさも共に良い面があって、成長して大人になって、子供の良さを取り戻そうと奮闘している人が一番、子供の良さも大人の良さも持っているのだろう。私はそんな人の一人は秦さんであると思うし、そんな素敵な人になりたいと強く感じた最高のライブだった。

ライブ終わりの覚書をちょっとまとめ直しただけの自分用の感想なので分かりにくいとこも多々あると思います。こういうめんどくさい感想を抱くやつもあるんだな〜くらいの目で読んでいただけると幸いです。

Paint Like a Child
大人になってから、子供のようなシンプルさを求める大人が素敵であること、そうでありたいという願いを歌っていると思った。何も知らないから純粋である子供と大人になって純粋であることの尊さを知って、純粋であろうとする大人は質の違う良さを持つんだと思う。
最初のイントロからワクワクすぎて何。ほんとにこの曲大好き。

色彩
汚れてしまった部分も感じつつ、子供のように思いっきり。子供じゃないけど若い歌だとも思う。
「描き出すよ 新しい世界を」の歌詞が力強く響いてくる。Paint Like a Childと呼応する部分もあるこの歌が、初期に作られてたのがすごい。

Girl
大人の立場から見た、純粋な子供への心からの憧れ。綺麗なものに触れて自分が大きくなって汚れたことを痛感する思い。けれど、その純粋なものに相当する自分でありたという思いもこもっているように思う。
「遠くまで種を運ぶ風に僕もなりたいんだ」の歌詞が好き。秦さんの思いが籠っている気がする。

2022
社会矛盾のようなものに気付くのは大人らしいことだけど、願うことは子供と同じで、シンプル。「せめて僕らだけは」の歌詞が社会の最小単位はあなたと私だから、ということを意味していると知ったときやはりこの人は世界の見方が私の何倍も繊細だと思った。
「後悔さえもいつしか忘れるから繰り返すいつも同じ過ちをただ」この歌詞が、だからどうしよう、とかこんなふうに頑張ろうとかではなくただ事実として語られていることに、生で聴くとよりドキッとした。人間の特性ではあるのかもしれないけれど、少しでも足掻きたいとも思った。

dot
地球と私を歌っていて、宇宙や地球という大きな規模のものを目にすると、自分が余りにもちっぽけであることに気付く瞬間がある。それを「僕は小さな点でいい」というように捉えられるようになったとき、それを成長した、というのだと思う。
この曲はメロディとか歌い方が大好きで、言葉の繋がりをあまり考えていなかったけれど、PLCツアーに含まれていたことで、人の成長過程を歌っている部分もあるのだと思った。この流れで聴けてよかった。


dotからの地球と自分を対比させて、スケールが違いすぎて現実感が無くなった後に、今の悩みが出てきて一気に現実に戻るという経験に似た並びかなと思う。福岡と神戸で唯一セトリが違う曲だったけれど、並びが変わるたびに新たな発見がある。
「いろんな言い訳で着飾って仕方ないと笑っていた 傷つくよりはまだその方がいいように思えて」の歌詞、言い訳で着飾るという言い方がざくざく心に刺さる。

残影
残影は雰囲気はおしゃれだけど歌っていることは絶望という少しギャップがある所が好き。鱗との並びも考えられているなと思っていて、この2曲は共に、「辛いけどその辛いことに向かっていく」ということを歌っているから。鱗は「辛いけど、行こう」残影は「行かずにはいられないけど辛い」という印象。人生にはどちらも経験するんだろうなと思う。

やわらかな午後に遅い朝食を
太陽のロザリオと歌詞もメロディも似ていると思っていたので、並べて歌ってくれて嬉しかった。「何より僕が余りに変われないでいたこと それに慣れてた自分が嫌だったんだ」
「夕暮れに落ちた午後の日差しは手のひらでそっと触れると暖かくて 冷めてしまった僕の情熱を温めるにはそれだけで十分な気がした」
この辺りが、何となくで日々を過ごしてしまっている人の心からの思いだと感じた。どん底から引っ張り上げるような励ましにはならないけれど、そっと寄り添って背中を押してくれるような優しさを沢山感じる歌だった。

太陽のロザリオ
「選んできたのが他の誰でもない自分だって気づいてるからこそ余計に悔しんだ」
「午後の光は相変わらずほらやわらかなまま正否もなくそこにあるだけなんだよ」
この辺りの歌詞がかなりやわらかな午後に遅い朝食をと被っていて、違う歌い上げ方でけれど同じ励まされ方をして、並べると心にきた。秦さんにとって「午後の光」は優しくて包み込んでくれるような存在なんだな。

在る
恋人に対する思いとしてはとてもシンプルで、ただ人が人をとにかく思っている。
「信じていいかな 二人今も一緒だと」の信じていいかながなんか分からないけど好きすぎた。特に神戸ではぞわっときた。「信じていいよね いつまでも一緒だと」との対比になっていることも、繊細すぎて好き。「恋をしているのかな あの日からずっと」あんなに彼女のことを想ったあとにそういう歌い方をするんだ、と思って驚いた歌詞。
あのタイミングでの弾き語りは最高だった。

Trick me
駆け引きの入る恋。生物的な欲を隠さずに出すというシンプルさがこの辺りから増してくる。大人らしい歌だけれどそこがlike a childの由来かな。

Raspberry Lover
「さも彼女だけが童話の中にいるように」のとこ歌い方ほんとに天才ですか?福岡で初めて聴いたとき倒れるかと思いました。歌詞も「童話」というワードチョイスが最高に上手です。
そしてTrick meとDolceの間に入れるんにちょうどいい選曲すぎ。Trick meは人間として恋をしている歌、Dolceは生物としての本能のままに愛を貪っているような歌。Raspberry Loverは両方の要素がある。

Dolce
「一輪だけ艶やかに濡れててゴクリと唾を飲んだ」「反射的に追いかけてたことに論理なんてないんだ」スクリーンに歌詞出てたのと合わさったこの曲かっこよすぎやろと思った。「誰かが愛と名づけた脳の作用に疑う余地もないまま」恋よりも愛よりも本能。この辺りは、大人になった上での子供時代なのかな。子供の頃はご飯や睡眠に関して何の我慢もできないように、愛に対して我慢ができないという意味で子供。

Life is art!
ここからガラッと雰囲気が変わり、とにかく楽しめる歌へ。一応メインで二人の関係を描いていて、そしてそれを芸術と見なしている。芸術の題材になるように美しい世界を歌っているのかな。
Life is art!は私の中でまだ消化し切っていない感じがあって、ライブで聴いてもなお分かっていない部分も多いけど、それは今後の楽しみに。

キミ、メグル、ボク
「戯れに花咲く季節に僕らまだ蕾のままで」
「きっと偶然なんかじゃない」
「君を死んでも離さない」これは、まだ愛とは呼べない、若々しい恋を描いた歌だと思う。一度手放してしまった人には歌えない歌詞、ライトな曲調。大人が羨望する子供の恋だ。でも、歌詞を聴いたら分かるように、決して若い恋だから低く見られるものではない。力強く、若いことにも色んな良さがある。

あそぶおとな
大人が子供のように生きることを憧れている歌。PLCを一曲に凝縮したみたいに思える。
みんなで歌えたのもめっちゃ良かった。

ひまわりの約束
声優しすぎた。神戸では、歌うように促してくれたところがあったのもよかった。2番のサビの「返したいけれど君のことだからもう十分だよってきっと言うかな」のところがやっぱり好き。

イカロス
ずっと鳥肌立ってた。いつもは心がドキンってなって、いいなぁって思うのに、とにかく鳥肌が立ってた。あなたのいない世界にのとこ、あなたので切れてたのかな?ここでぞくっと来たことだけで覚えてて、どうアレンジしてたのか覚えていないのが悲しすぎる。なんかほんとにぞくっときた。
こんなに誰かのことを求める、誰かに求められるときが来るんだろうか。

サイダー
「知らないことならまだたくさん溢れてるよ いいよちょっとくらい刺激的でも そう僕の全てで楽しまなきゃ」がこれから海外で暮らす一年間をどれだけ励ましてくれるだろうと思った。

泣き笑いのエピソード
サイダーとセットでアンコールがなんか良すぎた。声も優しすぎた。
人生色々あるけど、それもひっくるめて楽しみきってやろうぜ!っていうメッセージが大好き。なんか楽しむべきだ!みたいな価値観を押し付けるようにじゃなくて、その方がお得だよ〜と教えてくれる感じが2曲とも大好き。



((ここまでまともに読んで下さった方は単に好き!いいわぁ……で済ませばいい感想をとにかく理屈をつけたがり、推しの意図を理論立てて考えたがる私と語り合えると思いますので是非コメントをば。))


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