evala 『現れる場 消滅する像』
1月上旬
『現れる場 消滅する像』 by #evala 体験しました。
#ntt_icc #NTTインターコミュニケーションセンター にて
年始に横浜散歩に行くついでに関東でなにかみられないかなあ、と探して見つけた展示。
音(聴覚)で像(存在)を自分の中に立てる…それを誘う展示なのかな?と思って興味が湧いたので行くことを決定。
(展示の正確な定義・意義や文言はサイトの展示概要などをご確認ください)
演劇分野での推しさんが音・声や通信を介しての在/不在感、距離感などをはかったり(再)認識する…ような試みをよくされている(ような気がしている)ので、興味の針がそういうものに振れているのかもしれない。
https://youtu.be/oJ_iJwwcYjI?si=wp3RcI7nbDb0R_4w
『定位』、ちょっと似てる部分があったな。
わたしの好きな作品たち、演劇なのかインスタレーションなのか(パフォーマンス作品なのか)みたいな話をたまに聞くけど、こういう展示をなんぼか体験できると、私の好きな作品たちはだいぶ演劇やで、と思う。
芸術のジャンルや認識がだいぶ狭いひともおおいんじゃな〜〜い?(すごい煽るやん)(わたしもろくに知らんやろ)
話がそれた
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全体
音を際立たせるために、視覚に与える情報のコントロールがすごいな〜と感じた。
聴覚に集中させるために視覚を完全に遮ったらいいかというとそうではなくて……なんというか、「適切に刺激を与えることで感覚を絞り、そのぶん聴覚の幅を広げている・広げる方向性を定めている」と感じた。
薄暗い中にもやを投影させることでそこを見る→他のところに意識をやりにくく、「聞く」に集中しやすくなる、とか
フラッシュ光なんかも使われていて、意識を一旦リセットされるのだが、目にすごい刺激が来てるぶん耳の方は「途切れた」感が薄まる、とか
わたしの感覚のキャパシティや割り振り方がそうというだけで、他の人も同じかはわからないけど、そう感じる空間づくりが面白かった。
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・『《ebb tide》』
今回の新作?でしたかな?
でっかくて薄暗い部屋の真ん中にウレタンぽい素材の多面体なお山があり、そのお山の上であらゆる環境音や声、楽器の音、繊細だったり大音量だったり、たくさんのあらゆる音に包まれて浴びる体験的展示。
靴を脱いで、会話もスマホも禁止…な空間。お山は砂山みたいな感触もして気持ちがいい。くぼみもあるし、土足厳禁なので、お山の上で座り込んだり、横たわったり、目をつぶったり、投影されるもやの動きを追ってぼんやりしたり。
音お聞き分けてみたり、単純に浴びたり、前述の光の効果を感じたり、横たわって足の裏やつむじから音を感じてみたり、自分の体位によって音がどんなふうに移動しているのか感じ方が変わるか試してみたり…ぼんやり心地よさを感じながら楽しんでいたらなんとスマホも触らず1時間近く経っていた。全身に低音が響く瞬間もあって、そのときはわたくし寝転がって足に集中してたので、「足裏で感じる壱劇屋や……」とか後でアホなことを言ったりしました。ドゥンドゥン
全然まだいられる感じもしたから、もはや観劇並みに集中力や興味を呼ばれていたということ……
近所なら毎週末あの部屋に通ってたかもしれない。
心地よさと想像・探求の刺激のバランスがすごい。一番好きで印象に残っている。
ちなみにこの部屋を体験し終わった段階で「なんか聴覚がひらかれてる気がする…!」になっていて、部屋の外のあらゆる日常音に「なんのおとだ…!?」と敏感になっていたのも面白かった。(同行者ともそういう話をしたので、そういう人も他にもいるかな)
流石にすぐにおさまったけれども。
日常であんなにひらかれていたら情報量すごすぎて破裂してしまうだろうし。人間の体ってよくできているなあ。
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・「《Sprout “fizz”》」
たっっくさんのスピーカーの花が床から壁から生えているような空間。まるっこいスピーカーがかわいい。花のように見えたけど、解説的には芽らしい。
ここは部屋というよりオープンスペースに発生している空間。
花畑の真ん中のように立つとあらゆる音に色んな方向から襲われる感じになる。今この音が鳴ってるのはこのスピーカーかな?と耳を寄せてみるとそこからは聞こえなくて、こっちかな?とどんどん移動していって、音と追いかけっこをするみたいな時間も発生して、ちょっとおもしろい。
花畑の外から眺めていると、動いてはないはずのスピーカーがその音に乗って揺れてる、もしくはその揺れてる音が聞こえている、みたいにも感じる。
水が跳ねるような可愛い音が聞こえたり、轟音が聞こえたり、聞こえてくる音は様々で、一体となって響いたり、ばらばらと色んなところで音がなっていたり、遊ぶようにも楽しめる空間だった。
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・「《Score of Presence》」
暗い部屋に照明で照らされてぼうっと浮き上がる白や銀や虹に輝く線の集合オブジェクトのキャンバスが見える。
近づくと音が聞こえ、その音をなんらかの形式で線形にした図のようだ。
IMAXのスクリーン奥から聞こえる音みたいに、不思議な距離感で聞こえてくる音に耳をすませつつ、この音ってあれがこうなってるときの音かなあ?とか、この音のこういうところがこの線の形になってるのかなあ、とか想像する。
キャンバスとキャンバスの間ではほんのり音が重なって聞こえたりもして、じわじわとどちらかのキャンバスに近づいて音の変化を楽しむ。
キャンバスの線が光のあたり具合によって色が違って見えるので、頭や体を動かして違う場所から見ようとしてみると、音の聞こえも変わる。
音も像も動く。動いてはいないけど、動いている。
音もビジュアルも「きれいだな」とぼんやりとながめられる心地良い空間だった。
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・「《Embryo》」
暗い!
入口から真っ暗でめっちゃ怖かった。
その奥にあるのは、まだ何になるかわからない「成る」前のカタチと音的なものだったらしく、その不安定感(からくるおどろおどろしさ)は暗闇にこそいきるというか、空間演出的には怖がって正解だったのかも。
ただ、お山の部屋以上に注意事項必要では。と思った。
入ったすぐに坂があったり対向者が見えずぶつかりかけたので、いやこれはせめて入口にスタッフさんにいてもらうか、足元光くらいは置いといてくれ安全上…!!と感じた。
演出上か構造上不可能なん?
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・「《Inter-Scape “slit”》」
ベンチに座るとほぼ目線の位置に黒い帯線が見える。
黒い帯線は浮き出てるようにも見えるし、凹んでるようにも見える。壁と同じ高さ・平坦にも見える……とぼんやり眺めてるうちに、耳は雑踏に包まれていたりして、ぜんぜん視野に具体性はないけど集中させられるし、勝手に想像をしてしまうナ〜と思って不思議だった。
ブラックライトの明かりがまた不思議な浮遊感も誘うのだけど、暗さ具合がちょっと(演劇の)劇場ぽくも感じられて、馴染みがあるようなないような笑
ベンチに座って体験するタイプだからというのもあるかも。
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・「《Studies for》」
ここにきて急に白い部屋。
眩しさを感じるくらいの白い部屋なのに、音の存在感と白の向こうの少しのムラで、薄膜のむこうになにかいそう感を得たのがおもしろい。
なんか雰囲気ちがうな〜今までの設計の繊細さ?の方向性がちょっと違う気がするなあと思って手元の解説を見たら、evalaの作品データを学習した生成AIによって「evalaのような音」を生み出すこころみ、と書いてあって、なーんだ生成AIか〜と思った自分の感想も、自分てそうかんじるんだ〜と思って興味深かった。
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・無響室
なお、「《Our Muse》」「《大きな耳をもったキツネ」は個室で一人ずつ体験するタイプのものなので予約が必要です。
わたしは予約できなかったので未体験……
「無響室」、めちゃくちゃ気になってたけど、時間帯予約だし、当日の予定が確定してから予約しよう〜と呑気に3日前に覗いたら枠がすっからかんだったので、今から行くぜという方は絶対余裕持って申し込んでください……!
おれのしかばねをこえてゆけ……!!
漫画とか映画で、動物だけでなく人間でも「反響で距離や空間の広さを測る」という能力が生かされているシーンがあるけど、それが不可能になると書かれてる通り無重力感も感じられる(感じてしまう)のかなあ……
と、気になるところが残ってはいるのだけど、わたしは恐怖症とまでは言わないまでも暗所閉所でときどきワッッと不安感におそわれたりもするので、まあこれも「やめとき」とどこかから言われてたのかなあ、と思っておきます。
注意事項がサイトや現地に書いてあるからよく読んで予約してくださいねえ。
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・その他、ICC内の施設など
evalaの資料ブースも面白かったです!
録音に使った機材の一部や、楽器の一部、あと流石に全部は見られんかったけど、インタビューで聖域と音について語ってたのも興味深かった。
あとICC内は科学博物館みたいにボタンを押すといろんな効果が変わる実験的装置が置いてあったりして、いろんな「感覚」に関する発見や確認ができるような場所が常設されてるっぽい。いいですね!
顔写真取って、いくつかに複製されて加工されて、その中から加工されてない自分の顔はどれでしょう??ってやるクイズなプログラムもおいてあって、思わず楽しんでしまった。
1バツで正解しました。書かれてる通り、意外とわからんもんだ…
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ハシゴ候補?
メインの横浜散歩は絶対やりたかったし、遠方からの美術館はしごはさすがに難しかったのであきらめたけど、この展示と坂本龍一展をハシゴするのもまた面白そうだなあと思いました。
この展示の音表現に関する年表に坂本龍一氏の活動もめっちゃ記載されてたし、親和性あるんだろうなあ。
坂本龍一展は混んでるらしいけど、こちらはゆうゆうと体験できるし、人疲れの連続!にはならないと思います。
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楽しかったな〜
いや〜〜面白い体験でした。
私が興味深いと感じているともだちと一緒に体験できたのも殊更によかった。
★★★
余談
ついでになっちゃうけど
横浜の写真あげちゃお。ランドマークタワーからの夜景超良かった。
有名なはずやわ。
エアキャビンも良かったけど動画で残したので添付は無し。