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優しさに包まれた
久しぶりに実家へ行った。
庭には綺麗なチューリップが咲いていた。
もう何年も前に亡くなった家族が眠ってる。
家族のように時間を共に過ごした兄弟でもあり、
友人でもあり、いや家族のようにではなくそこに
いて当たり前だった。
犬と猫‥私が貰ってきた家族。
逸しか私は結婚し、実家出て、日々の仕事に追われ
そんな日々を過ごしていった。
会いにいく事もしだいに減っていった。
それでも会いにいくと喜んでくれた。
病気になって、動けなくなって、ご飯も食べられなくなって。それでも私がいくと鳴いてくれた。
亡くなった時も私は仕事をしていた。
悲しみにくれる暇さえなかった。
大切な家族なのに。
両親が庭に亡骸を埋めて、そこにチューリップを
植えていた。
「今年も綺麗に咲いているよ」
私は涙を堪えきらなかった。
一緒にたくさん遊んだね。
喧嘩もしたね。
いっぱいお散歩したね。
今日も病院なの?
ごめんね、ご飯食べられなくて‥
いつ会いに来てくれるかな‥
でもあなたに会えて幸せだったよ。
「ありがとう」
それは私の気持ちかもしれない。
私にはそう聞こえた。
「ありがとう」
会えて幸せだった。
涙が止まらなかった。
チューリップが咲いていた。
私に話しかけるように、きっと見守ってくれてる。
大切な想い出を胸にしまって、涙を拭って。
みんな1人で生きる顔をして。
生きるって良いことはばかりじゃない。
辛い事の方がきっと多い。
迷いながら、もがきながら、支え合いながら、
その時のその時の決断をしながら、それが良い結果だったのか悪い結果だったのか、わからない。
答えがわからないから見つけようとする。
それぞれの大切な事を忘れないように
生きていけたら。
見つけられたら。
思い出せたら。
また一歩踏み出して行ける。