帰国子女に英文法は必要?
文法がどうも分かっていないようで…
特に小学生低学年で帰国された場合、保護者の皆さんがよく心配されるのですが、「文法がちゃんとわかっていないので大丈夫でしょうか。」という質問があります。私たち大人は中学で英文法を習い始め、段階的に系統立てて文から文章へと理解を広げてきたので、どうしても文法理解ありきで英語の基礎力を判断してしまいます。では帰国子女にとって文法はどう考えればよいのでしょうか。
文法学習は不要
結論から申しますと、文法学習は不要です。特に幼児から小学生低学年ぐらいまでの生徒は、海外での学校や日常の生活で圧倒的に豊富な経験を積上げつつ英語を習得してきたわけですから、いわば後づけの理論である文法を系統だてて学ぶ必要はありません。
後づけの理論・理屈がなくても経験的に彼らは自然な語順のルールや単語やフレーズの使い方を身につけています。
母語の習得プロセスと同じ
日本人が日本語を日常の経験を積みながら、年齢と共に経験値、または身体知として身につけたように、理屈抜きで得た英語力があればこそ、帰国生は大量の文章をサクサク読み、大意把握し、非常に簡単な概念で理解することができます。
まさに母語の習得と同じプロセスを経て身につけてきたのです。ですから、あとづけの理屈である文法を習っていなくても、経験的判断力に基づいて読み、書き、聞き、話します。
面白い話ですが、当校の帰国生で小6で英検準1級に合格している生徒でも3単元の”S”を理屈を知らず、「なぜここには”S”をつけるの?」と聞いても答えられません。ただ、経験的に判断しているだけなのです。
留意すべきこと
一つ、留意すべきこととしては学年が上がり、アウトプット、特に書く機会が増えてきますと、やはり正確でレベルの高い文章を要求されます。従って、ライティングが必要になり始めてきたら、その段階でしかるべき文法の解説書で、その都度、確認しながら文法的な理解を深めていくと良いでしょう。
私はケンブリッジ出版の「Grammar in Use」などを使うと良いと思います。最初から全ページをやっていくのではなく、辞書のように必要な個所をその都度調べていくという使い方で良いでしょう。