英検の取組み方・活かし方【帰国生用】
英検の傾向
大学入試で英語外部試験利用入試として本格的に活用されるようになって以来、英検自体も出題傾向や合否の採点基準などが大きく変わってきています。
具体的にはIELTSやTOEFLのように英語4技能をバランスよく測定する形式に変わっており、3級以上ではライティング問題が出題され、筆記試験では語彙・読解問題とリスニング、ライティングがそれぞれ同じ配分で採点されます。これに2次試験での面接によるスピーキングが加わり、4分野それぞれ均等に評価されるようになっているのです。
そして、合否の判定は従来のような得点の合計点ではなく、CSRという統計処理を行った得点で判断されます。毎回の問題自体の難易度により受験生が不公平にならないよう配慮され、「読む・書く・聴く・話す」4技能がバランスも考慮され判定されますので、より総合的な英語力が要求されます。
正答数では合否が出ませんので一概には言えませんが、2級までは6割前後、準1級以上では7割前後が合格ラインのようです。
どの学年で何級に
帰国子女の場合、小学3年ぐらいから受験を始めて、4年ぐらいで3級~準2級を取得し、5・6年生で2級~準1級を取得するというペースで取組んでいけば良いでしょう。
低学年から過度に対策して、より上の級をねらっていく必要はないと思います。理由は、英検の問題自体が3級は中学卒業程度。準2級は高校中級程度。2級は高校卒業程度。準1級は大学中級程度として出題されていますので、文や文章内容自体がそのように作成されており、帰国子女の低学年の場合は英語力は合格レベルでも文章の内容や概念が理解できないという状況になるからです。英語の試験でありながら、英語以外の概念や知識で合格できないといった状況は受験生本人の学習モチベーションからしても良くはありません。
中学受験に向けて
中学帰国枠受験や英語選択受験を視野に入れている場合は、小学6年生で最低でも英検2級、できれば準1級を取得されると有利です。具体的には2級取得の英語レベルであれば帰国枠でも英語選択入試でも、安全圏、適性圏、チャレンジ圏などから幅広い学校選択が可能となります。
もちろんトップレベルの学校はどちらの受験パターンでも英検準1級レベルの文章が出題されますので、語彙力や読解力も一般の大学入試レベルまで引き上げておく必要があります。また、このレベルの学校ではライティング力もしっかり磨いておく必要があります。
英検以外の検定試験
日本の英検以外で出題内容も年齢相応で英語自体のレベルを適正に判断できるものとしては、TOEFL PrimaryやTOEFL Juniorが小学生低学年・高学年の帰国生には適していると思います。中学生以上になるとケンブリッジ英検のFCEがお薦めです。内容的にも帰国生の英語力評価には適していますし、だれでも強化すべき弱点となりがちなライティングの強化という意味でも中学生のうちにFCEやCAEの合格を目指すのが、アカデミックな英語の基礎固めには適切です。
大学で留学を考える場合
英検は国内の大学入試までは活用できますが、海外留学にはあまり役立ちません。大学入試にも入学後の留学にも役立つのはIELTSやTOEFLですが、TOEFLは国内ではiBTというPCで受験するパターンだけですので、私は面接も対面でライティングも手書きのIELTSの方が受験生の実力が発揮しやすいと思います。IELTSはイギリスやオーストラリアだけでなく、アメリカ、カナダなど北米の3000以上の大学でも受け入れられているので、選択肢は狭くはなりはなりません。
注意したいのは大学に入って長期留学のプログラムを希望する場合、1年生の1学期にはIELTSやTOEFLで留学に必要なレベルのスコアを取得しておくことです。そうすれば2年の秋から3年の夏までの長期の留学の申請に間に合い、帰国後の就職活動にも余裕をもって取り組めます。
帰国子女の気をつけること
最後に特に帰国子女が気をつけるべき点をいくつか挙げてみます。
まず、試験の評価基準が変わっていますので、今までのようにリスニングが満点だから語彙や読解力をカバーして合格といったパターンではだめだということです。
英検2級や準1級で必要な語彙力や読解力はそのまま大学受験でも必要な内容なので、合格さえすればよいという取り組みではなく、ちゃんと4技能バランスよく合格できる準備をした方が将来、活かせる英語力につながりなります。
また、中学受験の難関校の準備で必要な準1級のレベルというのは、準1級に合格することが必須ということではありません。あくまでもそのレベルの問題に対応できる英語力が必要という意味です。
従って英検準1級の合格に固執するより、第2言語学習者のための英文ではなく、ネイティブの大人が読むレベルの文章をしっかり読み、そのレベルの英語が普通に読めるようにしておくことが大切です。自分の興味ある分野で、ネイティブの大人が読む文章を沢山読むことをお勧めします。
以上、帰国子女のための英語検定試験の取り組み方、活かし方について書いてみましたが、何よりこうした検定を上手く活用して、英語を伸ばしていく指標として子どもたちが達成感を積重ねていくことが一番ではないでしょうか。