「ない」も「ある」も、見つけて楽しむ。カソチからワクワクを生み出す姉妹の挑戦 | #くらすように遊ぶマガジン
EFC Inc.公式note「 #くらすように遊ぶマガジン 」は、私たちとともに遊び、はたらき、くらしている仲間たちの「生き方」を紹介する「ライフスタイルマガジン」です。
このマガジンを通して、読者のみなさんがこれからの生き方や「豊かなくらし」について考え、アクションを起こすきっかけにしていただけたら幸いです。
みなさんはじめまして。
2019年12月から上川町に住みはじめました、淀 大祐(よど だいすけ)です。
出身は京都府北部の福知山市です。上川町も福知山市も山に囲まれたマチで、どことなく雰囲気が似ているように感じます。
山に囲まれてると安心する... 盆地大好き!
「北海道で出逢った友達が上川町に集ってる!」
「なんか面白そうなことやってる!」
「ぼくもみんなと面白いことやりたい!」
そんな思いで北海道に引っ越してきちゃいました!
上川町では、主にKAMIKAWORK(地域おこし協力隊)のフードプロデューサーとして、大雪かみかわヌクモという公共施設内のカフェでベーグルを作ったり、コーヒーの焙煎をしています。
KAMIKAWORK PROJECT
https://www.kamikawork.jp/
大雪かみかわ ヌクモ
http://www.daisetsuzantours.com/nukumo/
今回、ぼくがご紹介するのは、上川町のお隣、滝上町を拠点に活動しているCasochi合同会社(以下カソチ)のみなみさんと、あみさん姉妹です。
EFCの代表、絹張 蝦夷丸も一緒にランチしたり、お茶したりしながら、カソチさんのオシゴトや、EFCとの繋がりなどをゆる〜くお聞きしました。
三人のお話を聞くなかで、豊かな暮らしを作っていくためには「自らおもしろがる」ということが大切なんだと感じました。
ないものに目がいき、悲観的な言葉を口にして、それを理由に結局何も行動しない。
面白いことをやりたいと思って上川町へ来たはずなのに、気がつくといつの間にかそんな風になっている自分がいました。
ないもの、あるものどちらにも目を向け、まずはその状況を自らおもしろがってみる。
そこから生み出した物事をまたさらにおもしろがる。
カソチのお二人はそれをひたむきに、楽しみながら続けているように思います。その精神は社名にも表れていて、僕はすっかり"カソチ"と聞くと、"過疎地"ではなく、お二人の笑顔を思い浮かべるようになりました。
どうすればお二人のように、地域での暮らしを自らおもしろがることができるのか。
この記事を読んでくださったみなさんが、豊かな暮らしとは何か、考え行動するきっかけになれば幸いです。
滝上町やカソチさんについては、あっちゃん(田崎 充彩)の記事もおすすめです。
カソチの成り立ち
Casochi合同会社
過疎の町「北海道滝上町」のさらに過疎の地域「滝下」で活動する、過疎地を応援するお仕事ユニットです。地元滝上町の牧場で生まれ育った姉妹が、2016年12月に立ち上げました。田舎、農山村、地方、僻地、過疎地における暮らしやお仕事を支援して、「今ここにないもの」、「あったらいいなと思うもの」を作ったり、続けていくことがCasochiのオシゴト。
https://www.casochi.jp/
だいすけ:今日はありがとうございます!早速なんですが、そもそもカソチさんて、どんなことをしている会社なんですか?火曜日と水曜日に営業しているカフェ「カースイ」には、ぼくもよく行くので知っているんですけど、それ以外のお仕事って実はあまり知らないなぁと思いまして…
https://www.instagram.com/_karsui/
みなみさん:そうだよね!だいすけはよくカースイに来てくれてるけど、カソチのお仕事とかは意外に見えにくいからね〜
メインの業務は「デザイン業」と「喫茶店営業(カースイ)」なんだけど、その他にも実家の井上牧場の「牛乳加工販売」もやっていて、この3本が一応事業の中心って感じかなぁ。
だいすけ:牛乳は井上牧場さんで加工してると思ってたんですけど、カソチさんでされてるんですね!
みなみさん:そうなの!カソチとして一番最初にちゃんと取りかかった事業が牛乳加工販売なんだよ〜!ホルスタイン、ガンジー、ブラウンスイスの3種類の牛からとれる生乳を加工しているんだけど、低温殺菌&ノンホモの牛乳でおいしいよ〜!
蝦夷丸:会社の成り立ちとしては、牛乳の加工販売をするために会社を立ち上げたっていうわけではないですよね?
みなみさん:うん!会社設立前は、あみちゃんが大学卒業してから実家に帰って牧場の手伝いをしていて、私は結婚して東北の方にいたんだけど、地元に戻って滝上のこととか実家の牧場のことしたいよねって姉妹で話してたんだよね。
滝上であみちゃんのイラストとか活かせる仕事ができそうだよね〜とか、町にかわいいもの作りたいよね〜とか、お店欲しいよね〜って。
だいすけ:すごい!全部実現してる!
みなみさん:いやいや、まだやれてないこともあるけどね!会社にしたのは、ただ屋号だけつけて個人事業主でやるよりも、会社の方がちょっと見た目がよくなるかなとか、仕事もらいやすのかなと思ったのと、会社を立ち上げる過程も面白そうだなっと思ったから。
あと、私個人的にはあみちゃんが滝上から逃げられないようにするために、あみちゃんをシャチョーにしたくて会社にしたの(笑)
だいすけ:ものすごい姉の思惑が暴露された…!
カソチのオシゴト
・牛乳加工販売
Photo by みなみさん
みなみさんとあみさんのお父さん、ヒデさんが営む井上牧場の生乳を加工・販売しています。個性豊かな牛さんたちのノンホモ牛乳、これがほんと美味しいのです!あみさんが描く牛さんのイラストがすごくかわいい!
・カースイ
名前の通り、火曜日と水曜日限定のカフェ。メニューは毎週変わります(どれもおいしい)。テンチョーのカナさんや、長女のみゆきさん(みなみさんとあみさんのお姉さん)にも会える!
初めてのお客さんも自然と受け入れてくれて、いつの間にか知り合いが増える、そんなお店です。いつもありがとうございます!
・イドバタイチバ
Photo by あみさん
滝上町の観光名所「芝桜公園」が色鮮やかなピンクに染まる頃に開催されるマルシェイベント。「井戸端会議」のように自然と人が集まる場所になれば、という思いで名付けられました。滝上や周りの地域でお店をしていたり、モノを作っていたり、楽しいことをしている人たちが集まります。
2019年イドバタイチバのダイジェストムービー(撮影・編集:原田 啓介)
・武四郎の絵本
「北海道オホーツク地域の渚滑川を舞台に、北海道の名付け親でありアイヌ民族と深く関わった探検家 松浦武四郎のストーリーを描いた絵本をたくさんの人に読んでほしい!」
「渚滑川流域である紋別~滝上地域の魅力をもっと広く伝えたい!」
そんな思いでスタートした絵本制作企画。
絵本の中には上川のこともちょこっとだけ出てきます。
https://camp-fire.jp/projects/view/163999
渚滑川に関する蝦夷丸の記事もおもしろい!
その他にもロゴデザインや音楽イベント、アクセサリー制作、インターネットを利用した情報発信などなど、カソチのオシゴトはほんとにたくさん!
今回の記事制作にあたり、カソチを紹介している数年前の記事を読んだのですが、当時のやりたいことが今となっては実現していることもたくさん。
過疎地での暮らしを体験できるゲストハウスづくりも少しづつ進んでいるのだとか…!
滝上にゲストハウスが完成したら、カースイでのんびりした後、毎回泊まちゃうんだろうな...楽しみ...!
カソチとEFC
だいすけ:そもそも、カソチのお二人と蝦夷丸ってどういう出会いだったんですか?
蝦夷丸:それこそ2018年の道東誘致大作戦だよ。
だいすけ:あ、そこからなのか!もっと前かと思ってた。
あみさん:道東誘致大作戦はまじですごいんだよ!
道東誘致大作戦
オホーツク・釧路・十勝でそれぞれローカルメディアを運営する4名がクラウドファンディングで支援を募り、一番多くの支援を受けた地域でツアーを開催するというもの。
目標金額60万円を大きく上回る84万6000円、98人からの支援があり、接戦の末、一番多くの支援を受けたオホーツクの地で、イベント開催が決定した。
2018年3月12日〜14日の3日間、オホーツクの魅力を存分に詰め込んだスケジュールでゲストをアテンド。
本州から海を越えてやってきたゲスト6名によるトークイベントを開催し、実際に訪れた各地の魅力や道東の未来について徹底的に語り尽くした。
https://camp-fire.jp/projects/view/62603
一見、関連のないようにも見えるたくさんのことをガシガシとやり続けているカソチのおふたり。もともとやりたいことはたくさんあったけど、自分たちのやっていくこと、できることが見えてきた大きなきっかけが「道東誘致大作戦」だったそうです。
6人のゲスト、"やってこおじさん"たちに「うちの町は死んでる!だから今日集まっているスゴイおじさまたちが何とかしてくれるんだと思って来ました!」と突撃しまくったおふたり。しかし、やってこおじさんたちの返事は...
「よそのおじさんたちに何とかしてもらおうとか思ってんじゃねえ!お前らがやるんだよ!(意訳)」
みなみさん&あみさん:そりゃそうだあああああ!
蝦夷丸もカソチのお二人も、この日できた繋がりをきっかけに、自らガシガシ活動することで急速に様々なことが動き出しました。
当時、札幌のゲストハウス&カフェで働いていた蝦夷丸が、井上牧場の牛乳を使ったイベントを開催したり
札幌の音楽フェスでEFCがプロデュースした野外ステージエリアに、カソチさんに出店してもらったり
Photo by 渡辺 誠舟
蝦夷丸が協力していた層雲峡温泉街でのイベントに、カソチさんが出店してくれたり
2019年6月に開催された層雲峡ピクニック
その後もお互いに行ったり来たりし合いながら、カソチと蝦夷丸(EFC)の関係が続いていったそうです。
会いに行く、来てくれる
だいすけ:カソチのお二人や蝦夷丸に限らず、北海道のローカルで活動している人たちは結構な距離を移動して、何回も会いに行ったり、会いに来てくれる人が多いような気がします。
それも、隣町と言いつつ片道何時間もかかったり、「それって本州だと何県跨ぐの!?」というすさまじい距離を移動して会いに行くじゃないですか。それってどうしてなんですかね?
蝦夷丸:呼んだら来てくれるから、呼ばれたら行かなきゃいけない、っていうやり合いでもありますよね。
みなみさん:そうだね〜1回休んじゃったからそろそろ行かなきゃ!とか、いっぱい行ったからちょっと休める!とかあるよね(笑)
蝦夷丸:みんなそんなやり合いをしてるんだと思う。自分が行く気ないなら来てって言わないでって思うし。
あみさん:シンプル。来るか、来ないかだから。
みなみさん:やっぱり好きなら好きって伝えに行かなきゃね!
あみさん:だいすけはよく滝上に来てくれてるから嬉しい!
蝦夷丸:だいすけさんはちゃんと好きって伝えてるんだ(笑)
だいすけ:バレちゃってますね(笑)
そういえばこないだ、滝上で一泊した次の朝、泊まってた家のお隣さんに声をかけられたんです。それがめちゃめちゃ明るい挨拶だったんですよね〜
旅先でのふとした出会いが心地良いと、やっぱりその土地を好きになっちゃいますよね。改めて、滝上好きだな〜って思いました!
みなみさん:うんうん!そういうのあるよね!もうそこに住んでる人たち全員いい人!みたいな感じに見えるよね!
蝦夷丸:行った先の友達が、その町の人から好かれてるのを見ると嬉しくなるっていうこともありますよね。
あみさん:わかる!こないだポルトのペンキ塗りに行ったとき嬉しくなった!
上川町でEFCが運営する交流&コワーキングスペースPORTO。
内装の壁塗りを地域の方々とワークショップ形式で行いました。
みなみさん:ハッピーだったよね〜子供たちとふれあってる蝦夷丸を見て、町のいいお兄さんだな〜って嬉しかった!
蝦夷丸:あれってどういう感情なんだろう?なんか不思議ですよね。
みなみさん:それはあれじゃん?推しの俳優の私生活情報を、その友達俳優から聞けると嬉しいやつじゃん?「そことそこが仲良いんだ!」みたいな。
関係性が見えてくると、より好きになれちゃうのよ!
蝦夷丸:そっか!それだ!なるほどな〜
あみさん:よそでもいい人なんだなと思うよね。本当にいい人なんだなって。
みなみさん:SNSもそうだと思う。この人とこの人が仲良いってことは、この人も大丈夫だ!みたいなことが起こるから、そういうのができない人が厳しくなっていくよね。本当にいい人間じゃないと生きていけない時代になってくる。
蝦夷丸:バレやすくなっちゃう。
みなみ:そうそう。
あみさん:豊かな暮らしのためには、好きな人には好きってちゃんと言お!
だいすけ:はい!
豊かな暮らしとは
だいすけ:最後に、「豊かな暮らし」を求めて滝上町に戻って来たお二人にお聞きしたいのですが、今のお二人の暮らしは豊かだと感じますか?
みなみさん:今も豊か。でもそれをもっと周知していきたいかな。
もっと貪欲に豊かさを求められるとも思ってて、今は100点じゃない気もしてる。
そもそも100点の時ってくるのかなぁ…
今、この日々が毎日ずっと続くっていうのは本望じゃないんだよなぁ…
あみさん:100点とか点数で考えるのは今はちょっと違うなぁと思う。なんとなくずっと楽しみがあることが豊かで、楽しいことがすぐできたら豊かなのかなぁ。
みなみさん:地域として、一人一人が前向きにその場所で生活していけたらいいなと思うよね。
自分で住む場所を選んでるのに、仕方なくここで暮らしているような言い方するのはイヤ。
楽しいものはちゃんと近くにもあるよって。今の環境や暮らしは自分たちが作っているんだよっていうことを伝えていきたいし、自分で自分を喜ばせることができる人たちが暮らす地域になればいいな。
足りないところも豊かなところも見て、自分の機嫌は自分で取っていく。
それはどの地域にも当てはまることで、自分たちの豊かな暮らしは自分たちで作っていく、そんな人が増えていくことで、地域での暮らしが豊かになっていくのかもしれません。
PORTOのロゴに込めた思い
2021年10月。EFCは上川町中央町に、「人と人、人と地域がつながるまちの交流・情報拠点」PORTOをオープンします!
PORTO(ポルト)は、地域のヒト・モノ・コト、そして情報が集まり、地域の中と外をつなぐ玄関としての機能を持つ「上川町の港( Port )」です。
地方に住む人、都市に住む人、年齢、性別、職業など、あらゆる境界線を超えて、多様なバックグラウンドを持つ人々が集い、交わり、繋がり、共に過ごし、共に創ることを通じて、より良い地域コミュニティを育みます。
未来の社会、未来の地域、未来のこどもたち、そして未来の自分にワクワクできる。すべての人にひらかれた、未来志向の「港」となることを目指します。
https://www.earthfriendscamp.com/porto
#PORTO_KAMIKAWA
「地域の中をつなげ、地域の外との架け橋になる場所を作る」
「この地域で暮らす人たちが胸を張って豊かな生活をしていると言えるように、いまできることをしよう」
この思いを胸に、EFCが運営していくポルトのロゴを、カソチさんに制作してもらいました。
「様々な人が旗のもとに集う、そんな場所になるように」という思いが込められています。
緊急事態宣言もあり、グランドオープンを10月に延期したポルトですが、その分ゆっくりと丁寧にオープン準備を進めています。
とはいえ、だいぶ完成に近づいているので、集中してパソコン作業や読書ができる環境はすでに整っていますよ!
見学歓迎なのでオープン前でもぜひ覗きに来てください!
先日、配信したポルトのオンライン内覧会で施設の詳しい様子をご紹介しているので、こちらもぜひご覧ください!
ポルトにはEFCのメンバーが常駐したり、上川町の地域おこし協力隊も活動の場として利用する予定になっていますので、移住のこと、観光のこと、暮らしのことなど、気軽に相談することができます!
ただおしゃべりに来るだけでも大歓迎です!
「海のない、この町の港」が掲げた旗を目印に、みなさんが集う日を楽しみにしています!
ライター:淀 大祐( https://twitter.com/fftk_dy )
写真・編集:絹張 蝦夷丸( https://twitter.com/kin6r )