コミケ原稿を完成させるまでほぼ毎日60日間進捗ツイートしてみた(後編)
おはようサンフランシスコ。
ググっても欲しい情報に辿り着くことができない令和最新版の時代、同じことを思ってる人々やこれから同人誌を描き始めたい人のための備忘録もしくは一歩踏み出すエナジードリンクになって欲しいと思って記事を書くことにした沼底なまずです。
今回はC100に合わせて本を完成させるまで60日間連続進捗ツイートをしたお話の後半戦になります。
ちなみに前回投稿より一か月ぐらい間が開いてしまいました。すまねえ。
前回までのあらすじ
DAY18にてネームまで完了した。もうほぼ完成だな!がははは!
詳しくは前回の記事をどうぞ!
原稿の途中に別原稿を挟む男
さて、ネーム完了したことでちょっと気をよくした自分は合同誌用にゲスト原稿を進めることにしました。
今回の夏コミでは自分の本の他に二つの合同誌に参加しており合計8ページの漫画を描くことになっているので、でそちらを先に終わらせる作戦に出たのだ!
ところがこれが結構難産で、どちらも既にネームは出来ており作画するだけのはずがたっぷりと時間がかかってしまったのだった。
とにかく頭の中にだけ存在する描きたい本の内容をまずネームの形でアウトプットしないと脳内メモリが混乱しそうになると思って、このような取り掛かりの順になってしまいましたが、今思えば絶対ゲスト原稿の方を先にすべきです。ゲスト原稿の締切日から逆算せずに速攻で描いた方がいいやつでした。その方が作業も中断しないで済むし。
ゲスト原稿の戦いはDAY19からDAY34続きました。
そしてひさしぶりに自分の原稿に戻ってきたのはDAY35。
かなり間が開いてしまったうえに、正直ここら辺から理想スケジュールから脱線しつつあり、だいぶメンタルが追い詰められてきています。
が、とにかくやらないと進まないので線画をどんどんやっていく…
作画の段階になるとあとは自分のパワーを総動員して描くしかないのであまり語るところがありません。
参考資料のコーナー
ここらへんで今回薄い本を作るにあたって捗った資料やフィギュアを備忘録的に紹介させてください。
Googleフォトで資料アルバムを作成しておいた
自分はGoogleフォトをよく活用しています。
今回は特に専用の資料用のフォルダを作ってそこにキャラクター図や原作資料、身体の描き方の資料だったり参考にしたい漫画のページなどをさっと見れるようにまとめたりしました。
あと描いてる途中のページもgoogleフォトのアルバムにぶっ込んでおけば出先でスマホやipadからでも見ることができますね。今はスマホ・タブレットで漫画を読む機会も多いので実際端末で読んでみての見栄えを確認するのに使えます。
資料へのアクセスはこれをいつでも睨めっこできるように。
困ったときは資料を見よう。
ボディちゃんフィギュア
お絵描きマン御用達アクションフィギュアとして名高いS.H.Figuartsボディちゃん矢吹健太郎エディションです。
ボディちゃん通常版と深く見比べたことがないのであまり詳しくはないですがおそらくエチエチな身体付きをしています。
通常の肌色版とガイド線の入った版の2体を用意しています。2体有れば絡みの構図が考えられます。こんなのパズルみたいだなとかキン肉マンでこんな技ありそうだなとかいう邪念を振り切りながらスケベブックにアウトプットしていきます。
ところでジャンプ公式YouTubeで矢吹先生の作画動画を見ることが出来るのですが、肉感のある身体の線をスパァッと引きまくっていくのでとてもオススメです。↓
シームレスフィギュア
全身がぷにぷにしたゴム素材で覆われたフィギュアです。スケベお絵描きマンの中ではたびたび話題になるやつです。
通常のアクションフィギュアではどうしても関節部分がオモチャになってしまいますが、そんな悩みを1発解決するシームレス素材。身体を動かした時の肌のシワや肉感などが分かりやすいです。ちなみに乳首なども包み隠さず付いているセンシティブな代物なのでWebに写真を上げるときは気を付けよう。
値段が高いと言われてましたが上で買ったボディちゃんなど普通のアクションフィギュアも最近どんどん高くなっているので大差無くなってきた気がします。(昔のfigmaって2000円くらいだったよね、今は……!)
あと悩みどころとしては素材のゴムがどんどん埃やゴミを吸着してしまうので綺麗に保つのは大変かもしれません。
以上のように参考資料など並べて見たわけですが、こう文章をしたためている瞬間は意識高く解説しておりますが実際絵を描く時はへそ曲がりになり資料を横に放置しがちになります。とにかく目の着くところにこれらを置いておくのが重要ですね。
いよいよフィニッシュ!(意識朦朧)
作画の話に戻ります。
線画を終わらせたら塗りや効果入れの時間です。
ここに関しては……あまり振り返ることがありません……なにしろこの段階に来たら人のメンタルはもうボロのボロになっており、正直この時期何していたのか思い出せません。
スケベブックにおいては描き文字(オノマトペや声的なやつ)を入れる瞬間はとても楽しいです。宗派の違いもあると思いますが、自分はこういう描き文字がいっぱい入っていた方が実用性を感じます。
そんなこんなで最後のラッシュを叩き込み、60日間の時間を経てようやく本が完成しました。
完走した感想ですが…
今回の60日間連続ツイートで、3つのポイントで結果が得られたと考えました。
1.本を作るのにかかる時間が分かった
自分が本を作るのにどのくらい時間がかかるのかをきちんと記録として残すことが出来ました。なんとなく2ヶ月ぐらいかけてるような気がしていたのですが、寄り道含めながらも本当にピッタリ60日間かかったという結果に。
間に別原稿を加えていたのを考えると実際にかかった時間は45日ほどだと考えてもいいでしょう。
おそらくこれは作業にかかる時間という意味の他に集中力を保ち続ける時間という意味もあるでしょう。この時間を超えてくるといよいよ上昇負荷に耐え切れず全身がふわふわの尻丸出しのなれ果てになっている可能性があります。(事実、この後すぐ新たな原稿を始めようとしたけど頓挫してしまいました…)
各工程ごとにどのくらい日数を費やしたのかが測定できたのは今後のペース配分を考えるのに大きな参考になりそうです。
時間配分としては特に重要だと思ったのが作画のための下準備にあたる下書きまでの工程が作業日数の大きな割合を占めていること。
作画作業にかかる時間をこれ以上減らすのは画力と慣れの向上が必要だとして、ネームまでにかかる時間を今後どのくらい圧縮できるかがポイントかもしれません。
2.アピールという点ではいまひとつだが…
Twitterのフォロワーについてのアピールになったかについては判断材料が乏しいのでなんとも言い難いところですが、ただこの企画ツイート開催中に新規フォロワーはあまり増えなかったので「原稿進捗を毎日アップしているからフォローしてみよう」と思った人はおそらくほとんど居ないのではないでしょうか?もっとフォロワーを増やすとなったら更に面白い企画を考えるべきですが…
ただし既存のフォロワーに対して「今何をやっているのか」をアピールしていくことは大切だと思ってます。
それにコミケ会場でも「ツイート見てました!」と声をかけてくる方々が何人かいたので励みになりました。
3.サボり防止効果は優秀
とにかく毎日アップを心がけていたので何かしら進捗を上げるべく机に向かうことができました。たまには全く原稿を進めずピザを食べたりフォールガイズで遊んだりしてる様子までアップしていましたが、頑張った日と休んだ日のメリハリと記録がつけられました。
進捗でスクショを貼ったりしていますが、スクショを撮るためのその部分部分で修正すべき箇所を洗い出すことができます。この積み重ねはクオリティアップに繋げられるでしょう。
あとコミケ原稿を抱えた状態だと常に頭の中が原稿のことで頭がいっぱいなのでこのように少しずつ進捗として公開していくのもメンタル的には効果があるように感じました。じゃないと「原稿終わらねー!」っていう愚痴だらけになってしまうから!
同人誌を作るのってこれからどんどん変わっていくと思う
ところでここでちょっと同人誌を作ることについての話をしていきたい。
自分はコミケに参加し始めて10年以上経つ身ゆえに、作品を作って出すといえばコミケで本を出すということ(もしくは同人オンリーイベント)という認識が根強く今もこうして60日かけて本を作ったりしてます。それがコミケのオタクとして当然だと思っているから。
ただし令和のこの時代、物理的な本を出さずともSNSで作品発表はいくらでもできるし、しかもより多くの人に見てもらえるようになりました。しかもファンボックスやスケブのような仕組みで絵で凌ぎを得ることだって出来ます。そして同人誌の電子書籍化がより広まっていけば(ちなみに自分も同人誌の電子化はぼちぼち進めておりこれは海外の友人から「読みたくても読めないよー!」という要望を受けたのがきっかけのひとつでした。あとスケベブックは電子の方が圧倒的に利便性が……!!)、在庫の段ボールや印刷所の締切にも怯えることなく作品を出せてしまいます。
自分は古いオタクなのでこのように血を流して印刷費を払ったり段ボールの山に苦しんだりする経験が踏まえてシグルイの藤木源之助のように「痛くなければ覚えませぬ」と言いがちなんですが、令和最新版の時代に虎眼流のようなスパルタ理論は時代遅れなので令和の牛股師範から「もう少し手心というか…(わざわざ苦しいことを強いることない、そうじゃないと新規創作者を生み出す土台が減るから」と言われてしまいました。全くもってその通りだと思います。
例えばツイッターで絵を書いて発表しているお絵描きマンだったら60日かけて手に取ってくれた僅かな人にしか読まれない一冊の本を作るよりも、その同じ労力ツイッターにアップできる絵を何枚も仕上げる方が圧倒的に読者はフォロワーを増やすことに繋がります。むしろ本を作るためにSNSの更新ができなくなれば逆にフォロワーは減る。
……というところから「本を作るのって大変じゃね?」と自問自答することが度々あります。
2年ほどコミケが開催できなかった+今回のように感染拡大が広がる中で、従来の作品発表の場であるコミケという存在や同人誌という文化に大きな変化が訪れているように思えてなりません。
ちょっとネガティブな話になってきましたが、それでも実際のイベントで物理的に本を出す楽しさは間違いなくあると思っています。むしろなんでもオンラインで完結できてしまうからこそリアルでの交流は価値を高めていくはずです。そういうところも含めて様々な変化が起きていったら楽しいかもしれません。
それでは次回の本に向けて
ここまでコミケ原稿をトップギアで進めて、このノリで9月のオンリーイベントに出す本を作り始めようとしたんですが、この60日間やれてなかったことやこれからやりたいことを考えていくと、締め切りに追われながら原稿をして他の事に手がつけられない生活は正直厳しいと判断しました。
「締切を設けてガーっと力を込めないと本が作れない!」というのは気まぐれお絵描きマンにとっては真理に近いところがあるんですが、流石にもうちょっと余裕を持って制作を行わないと不十分な妥協の連続になってしまいますから、本作りの方針転換をすることにします。
気長にお付き合いしてくださると嬉しい。
それではまた次回!