まんぷく俳句 2月

2/1
青菜だけ白粥すすり登校す　
割烹着ラーメン湯切り春袷　
窓向こう春のアトリエ微笑みて　
春の月切れ切れで切る細い麺
2/2　
春の闇失敗続く麺作り　
窓越しに負けぬ目力春の夕　　
春まけて一から挑む試行あと　
マント脱ぐあらゆる手立て味とこし
2/4　
春の朝赤いブラウス脱ぎはじめ
スプリングコート紅いドレスが表れて
五ヶ条を唱え直せど鳥曇り
貌鳥や深い悲しみ説く如く
造れどもふやけ腰なし木瓜の花　
☆2/5　
味着いた三春過ぐラーメン道　
肩出して春のアトリエ促がす絵
春深し妻呼び試食浅き知恵　
春まけて一目惚れする離せぬ目
2/6　
春愉しマンボ踊りてパッションと
春心コーヒー冷める釘の目　
春の夢天日干しではすぐは無理　
画家の妻励ますモデル去りし春
2/7
外に出桜まじ受く画風なり　
理由なく訪問言わず猫の恋　
するめに湯烏賊にならずも春の日に　
花の冷え青い手水器揺れもせず　
2/8
春の夢恋する心無骨なり　
風呂敷や春の装い新し絵　
春の空出来ぬ方法思い付き　
家族なり春の別府船に乗り　
2/9
春霞堂々巡り麺づくり　
風呂敷や月光仮面が春休み　
春日和コーヒー啜りいとしきみ　
凍めて干しラーメン造り春が暮
2/11
揚げラーメン思わぬ美味さ春が見え　
武士の娘応援せぬと春夕べ　
風光るわけのわからぬ絵を眺め　
多孔質化顕微鏡へ春の光
2/12
朝霞金網曲げて麺つくる　
見合ひ写真見向きもせずに春暮れし　
春茜試し食ゐさす約束で　
雪の果て最高の味縮り麺
2/13
完成間近テスト続けし春さなか
春かほる油ためしてかほる麺
皆が云ふ美味い美味しい春が過ぎ
夏の入りまんぷくラーメンかんせいす
2/14
夏の宵手のひら返し加わる手　
まんぷく食品セロハン図案夏に入る　
産声やアトリエの夏閃きて　
映画へとあいの風うけ三人で
2/15
コーヒーの香別れ惜しみて若夏日　
製造工程人員配置きまる夏　
ラーメン出来発売開始八月に　
夏の宵福子倒れた危機が来る
2/16　
夏座敷ラーメン造り加わると　
雲の峰武士が娘のおほいくさ　　
八月の販売決定武者震い　
暑き店試食販売やかん手に
2/18　
汗かきて手間暇かけし此ラーメン　
玉の汗しゃべくり３分買わぬ人　
武士の娘冷コー頼むさぼり決め　
秋近し画家のデザイン弱気なり
2/19　
喫茶店冷ーコーラーメンセット売り　
夏深し栄養満点お墨付き　
夏枕ラーメンにあらず具がなくて　
夏旺んヒントはテレビ明日に次ぐ
2/20
コマーシャル鶏鳴至り作りしが　
アトリエや涼むを削り絵コンテを　
滝如しやかん震える湯を注ぎ　
油汗一家に五袋ラーメンと
2/21
白薔薇に集ひ評価コマーシャル　
夏衣三人出会うコマーシャル　
汗拭ひ客ゐるとはご挨拶　
夏旺ん信頼回復道遠し
☆2/22
秋に入る採用されてむせび泣き　
新工場新人動く秋半ば　
夜半の秋玉子入れては教わりて　
対策だ偽物がでる澄む秋ぞ　
2/23
バッタもん露わる慌て秋の暮　
そっくりだ見た目味もだうそ寒し　
そぞろ寒むノラリクラリを追い込むも　
特許出願偽物止める秋の声
2/25
食中毒大騒ぎなり秋の朝　
安全強調昼コマーシャル爽やかに　
カレーライス秋の昼呑む喫茶店　
真似からと上辺を説くもうそ寒し　
2/26 　
待つ特許苛立ち叩く秋の風呂　
特盛カレー盛りが足らぬと秋の味　
恋の争い秋風避けて仕事して　
特許許可敵はなにするうすら寒
2/27
先使用権振りかざすとは冬日中　
こどもより仕事ね泣きし寒き夜
店からはライバル消えど日短し　
寒き夜まだ難関があると説く　
2/28
枯れ野原新工場ここに建つ　
冬の暮恋し人待つ男たち　　
久しぶり悴む手揉み妻が待つ　
冬の夢世の中の為姉が説く