黄色い反射ベストを着たロードバイク乗りを見かけたら距離をとろう
みなさん、ロードバイクといえば何を思い浮かべるだろうか。
「ロードバイク?クロスバイクとは違うの?」
「オレは家にめちゃくちゃカッコいいロードバイクが4台あるぜ!」
など、色々な意見があるかと思う。
今回はロードバイクについて何も知らない方にもなるべく分かりやすく記事を書いていく。
1.そもそもロードバイクとは?
まずロードバイクのことを簡単に説明すると、舗装路での高速走行や長距離走行に特化したスポーツ自転車のことである。
ロードバイクといえば弱虫ペダルの漫画が有名なので、このタイトルを見れば「何となくあれがロードバイクなのかな?」と思い浮かべる人もいるかもしれない。
ロードバイクが公道を走ること自体は特に問題はない。
ロードバイクに非常に似た見た目のピストバイクというものがあるが、これはブレーキ装備がないので公道を走ることは禁止されていて、これ以上の説明は話が長くなってしまう関係で割愛する。
2.黄色い反射ベストを着たロードバイク乗りの正体とは?
ずばり、黄色い反射ベストを着たロードバイク乗りはブルベ参加者の可能性が高いと思っている。
なぜなら、ロードバイク乗りは一般的に見た目を気にする人が多いので、いくら安全のためとはいえ普段から反射ベストを着用している意識の高い人はかなり少ない。
ただ公道を走るだけならリアライトを点灯させたり、一部に反射材がついたウェアを着れば十分と考える人が多いと思う。(※これはあくまで筆者の経験に基づく個人的な感想である)
みなさんはこのような黄色い反射ベストを着たロードバイク乗りを街中で見かけたことあるだろうか。
ちなみに私はまだない。ロードバイクのことを全く知らない家族に聞いてみても「見たことがない」と言われた。
これは多分、ブルベ参加者が日本の人口に対して極端に少ないからだと思う。
しかし、実際には黄色い反射ベストを着たロードバイク乗り(ブルベ参加者)が存在する。
少なくともランドヌ東京というサイトを見るとほぼ毎週末何かしらのブルベが開催されている。
そして、
「黄色い反射ベストを着たロードバイク乗り」≒「ブルベ参加者」
というものが成り立つ前提で話を進めていく。
3.そもそもブルベとは?
そもそもブルベとはどんなイベントなのか?
例えばこちらのイベント情報のページから、ブルベの概要を説明してみよう。
朝6:00に神奈川県川崎市を出発して、300km先の静岡県御前崎市まで向かう。
御前崎市で折り返したあとは、再び神奈川県川崎市へ戻ってきて、往復600km走り切るというイベントだ。
ちなみに制限時間は40時間である。
私個人としては、300km先のゴールまで人力である自転車(ロードバイク)で移動すること自体が信じられない。
例えそれが長距離走行に特化したスポーツ自転車(ロードバイク)だとしても、だ。
主催者側は平均時速15km程度で制限時間を設定しているそうだが、それは休憩や睡眠時間も込みの時間である。
しかも途中でPC(Point de Contrôleというフランス語の略)と呼ばれるチェックポイントが何カ所か設定されていて、そこにも必ず寄らないといけないルールがある。
このPCに寄るという行為だけでもだいぶ時間をロスするだろう。
ブルベ参加者はどれぐらい時間的に追い込まれるのか、具体的に考えてみよう。
例えば制限時間40時間のうち、睡眠休憩を7時間とり、30分の休憩を6回をとったら、実質走れる時間は以下の計算から30時間しかないことが分かる。
40時間-7時間-(30分×6回)=30時間
つまり、30時間で600km走るには平均巡航速度が時速20km程度必要になるということが想像できる。
そして関東圏にお住まいの方は分かると思うが、関東平野の周りには山が多い。
このブルベでも神奈川県~静岡県には山がいくつか存在し、その獲得標高は5266mと表記されている。
ロードバイクに乗らない方だとこの獲得標高という文字を見てもピンと来ないと思うが、獲得標高とはスタートからゴールまでのルート上で登った高さを累計した数値のことである。
富士山の高さは3776mなので、このブルベでは自転車で600km走りつつ富士山よりも遥かに高いところまで登ることを必要とされる。
私はその大変さを想像するだけで気が狂いそうになるので、ブルベには絶対に参加したくない。(※筆者はロードバイクで山を登るのが大っ嫌いである)
ちなみにブルベは完全自己責任を謳ったサイクルイベントなので、参加者が信号無視や一時不停止、ルート確認のための携帯電話使用などをしても、主催者側は関係ないと言い張るだろう。
そのブルベ主催者による自己責任という言葉の危険性については、こちらの記事でも私なりの意見をまとめている。
4.なぜ黄色い反射ベストに乗ったロードバイク乗りを見かけたら距離をとったほうがいいのか?
この理由を結論から述べると「ブルベ参加者は自分を極限状態に追い込み、かつ制限時間を意識しながら走行しているので、まともな精神状態じゃない暴走ロードバイク乗りの可能性が高い」からだ。
ブルベは常に時間に追われ、まともな睡眠時間も取れず、わずかな休憩時間も惜しんでひたすらゴールに向かって走らなければいけないイベントなのだ。
そもそも「なぜブルベなんて明らかに過酷そうなサイクルイベントに参加して完走を目指すのか?」という疑問もある。
これはブルベに参加したことがない私の想像だが、「オレはブルベで600km完走したことあるぜ!」という達成感を得られたり、周りにマウントを取ることができるからだと思う。
あと実はブルベの中には200km、300km、400km、600kmという距離別のイベントがあり、1年に4つの距離を完走すると「シューペル・ランドヌール(SR)」と認定されることが決まっている。
SR獲得には一年間で通算1500kmもの距離を走行する必要があるため、決して楽な挑戦ではないが、SR獲得時の達成感や感動はとても大きいらしい。
あとSRと認定された人しか購入できないメダルもあるので、スポーツに取り組んでる人にとっては非常に嬉しいご褒美なのかもしれない。
しかし、これはブルベ参加者側の都合でしかない。
この「とにかく制限時間内に完走したい」という思いで爆走しているロードバイク乗りは、横を走る車や歩道を歩く歩行者からしたら「走る凶器」でしかないと私は思う。
これは私の想像だが、時短のための信号無視は頻発していると思う。
この信号無視というのは以下のような流れで起きる。
・ブルベ参加者が4人のグループで走っていたとする
・各自が車間距離を2mずつとりながら走行すると、1台目~4台目の距離は約20mかそれ以上になる
・1台目が交差点に差し掛かった時は青信号だったとしても、4台目が通り過ぎるときには黄色信号や赤信号になっていることもある
・すると4台目の人間は「まぁ前のロードバイクについていけばいいだろう」と赤信号でも通過してしまう
ちなみに1台目~4台目の距離が約20mというのは、こういうイメージだ。
これがもし趣味のサイクリングだったら、1台目の人間が「交差点の先の安全な場所に退避して後続車を待とう」ということができるのだが、ブルベでは時間に追われているのでそうもいかないだろう。
正直、ブルベ参加者が赤信号を無視して交通事故を起こした場合、本人が怪我をしたり死亡したりするのは本人の自由なのだが、事故に巻き込まれてしまった自動車がいたとしたら非常に居た堪れない気持ちになるだろう。
さらに言うと歩道にいる歩行者だって、青信号になった横断歩道を渡ろうとした瞬間に赤信号を突っ込んできたロードバイク乗りと衝突する可能性だってある。
可能性の話ばかりしても仕方ないのでここまでにしておくが、そういう暴走しがちなブルベに参加中のロードバイク乗り(特徴は黄色い反射ベスト)が公道にいることは事実だし、変えることはできない。
他人を変えることはできないなら、私達にできることは何か?
それは、
「黄色い反射ベストを着たロードバイク乗りを見かけたら距離をとる」
ということである。
多くの人間が暮らす一般社会で生きる限り、交通事故のリスクを考え始めるとキリがないが、少なくとも私は黄色い反射ベストを着たロードバイク乗りを見かけたらその場から立ち去ろうと思う。
そして私の家族や大切な人にも「黄色い反射ベストを着たロードバイク乗りを見かけたら距離をとってほしい」と声をかけ続けるつもりだ。
最後に、こんなサイトを見つけたのでご紹介したい。
私は、公道で行われているブルベというイベントの開催の是非についても、今一度考えるべき時がきたと考えている。