この世には注意散漫なロードバイク乗りが多く存在している
私は過去に5年ほどロードバイクに乗っていた。
私はレース志向は全くなく基本的にゆるポタ勢なので、近所をロードバイク仲間と走ったり、たまに一人で走ったりするぐらいの程ほどの楽しみ方だった。
そういえばロードバイクを車載して福岡県や宮城県など遠方にも遠征したこともあったが、基本は家の近くや在来線で輪行できる範囲でロードバイクライフを送っていたのだ。
ロードバイクを始めてからはX経由(旧ツイッター)でたくさんのロードバイク乗りの知り合いができた。
ロードバイクを通じて知り合う人たちは、普通に生きていたら出会えないような職業の人がいたり、私が行ったことのない地域に住んでる人がいたりして、とても良い刺激になった。
趣味で出会える人とは年齢や職業とは関係なく仲良くなれるところが魅力的だと思うし、色々な人から刺激を受けることでより一層人生の充実感が増していったと思う。
しかし、世の中には良い出会いばかりがあるわけではない。
時には変わった人に遭遇することもあった。
いや、控えめに言って「二度と出会いたくない」と思うレベルの人もいた。
もしかしたら相手も「こいつとは二度と会いたくねぇ!」と思っていたかもしれないので、そこはお互い様かもしれない。笑
そんな私が「過去にロードバイクで知り合ったヤバすぎると思った人間リスト」を、誰の得にもならないことを承知で書き残しておく。
1.車道の真ん中を堂々とロードバイクで走るA氏
私はその日、A氏と二人でサイクリングをしていた。
待ち合わせは東京都にある高尾駅で、そこから大垂水峠を越え相模湖方面に走る約束をしていた。
A氏とはツイッターで知り合い、一緒にサイクリングをするのは2回目だった。
私は人見知りをしやすいのだが、A氏の気さくな性格に助けられ、同じロードバイク乗りとしてまあまあ仲良く会話もできていたと思う。
A氏は埼玉県在住だったが、高尾駅までは自走できていたので、それなりのロードバイク経験を持っている人なのだと感じた。
A氏と高尾駅で落ち合ったあと国道20号線を西に進み、大垂水峠のてっぺんを目指してゆるゆると上り坂を登った。
この国道20号線は比較的交通量が多く、トラックも頻繁に通るため正直ロードバイクで走るのには向いていない。
さらに道幅も狭く歩道がない箇所も多いので、左側端に寄って走るロードバイクも、車道を普通に走っている車も、どちらもイライラしがちな道だと思う。
そんな道であるにも関わらず、ロードバイク乗りがよく通るイメージがあるというのは不思議な話だ。(もしかしたらサイクリスト的にどこかへ向かう際の通過点として重宝されているのかもしれない)
そして、その出来事は大垂水峠のてっぺんを超え、相模湖方面に下る時に起きた。
A氏は私の前を走っていた。
つまり私の視界には常にA氏がいるわけだが、何かがおかしい。
A氏はものすごい中央車線寄りを走行しているのだ。
一般的に、ロードバイクは車道の左側を走行する。
これはロードバイク乗りにとって基本中の基本だ。
しかし、A氏はなぜかずっと中央車線寄りを走行している。
大垂水峠のてっぺんから相模湖まで下りていく道はカーブも多いので、カーブを通り過ぎる際に大きく膨らんで若干中央車線に寄ることも多少はあるかもしれないが、それにしてもA氏は常に中央車線に寄りすぎている。
なんなら、ほぼ道のド真ん中を走っているのでは??
そんなA氏を後ろから見守ることしかできない私は、ただ「後方の車がイラつきませんように」と心の中で願いながら道を下ることしかできなかった。
そして私は生きた心地がしないまま相模湖まで下りきって、2人で近くのコンビニの駐車場に入り一旦休憩となった。
ロードバイクを降りて落ち着いたところで、私は思い切ってA氏に伝えてみた。
私「あの…、Aさん。後ろから見ていると、かなり中央車線側に寄って走っているので、もう少し左寄りを意識して走ったほうがいいと思いますよ。」
私は、まだ2回しか会ってない人に「こんなことを言うのは失礼かもしれない」と思いながらも、A氏の安全(と後ろの車のイライラ回避)のために勇気を振り絞って伝えてみた。
すると、A氏の返答はこのようなものだった。
A氏「え?私はちゃんと道の左寄りを走ってるけど?」
私「……」
な、なるほどー!!
本人的にはちゃんと道の左側を走っているつもりだし、私の注意は全く意味がないんだなー!!!!!笑
この時ほど、自分の無力さを恨んだことはないかもしれない。
そして「自分が車道の真ん中を走っているという自覚も持てない人間とは二度と一緒にサイクリングなんて行きたくない」と心から思った。
もし私がこれからもA氏と一緒にサイクリングに行くと、A氏がいつか大事故を起こすかもしれないと恐怖を感じたので、この日以降A氏に会うのをやめることにしたのだった。
(ちなみにこの日は幸いにも事故を起こさなかったのでマジで良かった)
2.前を走る人が突然視界から消えたと言い張るB氏
ある日、東京都の某所を4名でサイクリングしていた。
メンバーは私、友人X、友人Y、B氏である。
その出来事は、片側二車線の非常に見通しの良い道路を時速20km程度で走行していた時に起きた。
(友人Yがロードバイクに不慣れであったので、私がガーミンで速度を見ながらスピードを調整していたという事情もあった)
先頭を走っていた私と友人Xは、ある交差点で停止した時に後ろを走っていたはずの友人YとB氏がいないことに気付いた。
振り返っても二人の姿は全く見当たらず、もしかして何かトラブルがあったのかもしれないと心配になり、一旦交差点から歩道に上がりその場で5分ほど待機した。
しかしいくら待っても一向に二人は現れないので、私と友人Xが「そろそろ歩道を走って戻って、二人の様子を見にいったほうが良いかもしれない」と話し始めたころ、車道を走りながらゆっくりをこちらに向かってくる友人YとB氏の姿が見えてきた。
とりあえず友人YとB氏には手を振って歩道に上がるよう誘導し、安全な場所で事情を聴くことにした。
すると、友人YとB氏の主張はこのようなものだった。
友人Y「私は真っすぐ走っていただけなのに、突然落車したの!訳が分からない!」
B氏「私はYさんの後ろを走っていたんだけど、Yさんが突然視界から消えて気付いたら私も落車してたの!」
私「………????」
友人X「そうだったんだ~!」(←何も考えてない顔)
私は友人YもB氏も頭がおかしいと思った。(ってかなんで友人Xは納得してるの?)
もしくは、友人YとB氏のどちらかが嘘をついていると内心思った。
ロードバイクで真っすぐ走っているだけの人が突然落車したり、前を走っている人が視界から突然消えることなんて普通ありえるだろうか。
いや、ありえないだろう。
友人YとB氏が落車した現場と思われる場所は、見通しの良い片側二車線の直線道路だ。
しかも私は数分前にそこを走っていて、特に危険な箇所があった覚えはなかったし、路上駐車の車もいなかったことは知っている。
もしかして「歩道の人間が飛び出してきたとか?」などと思ったが、もしそうだったとしたら友人Yはそう証言しただろう。
ただ、B氏が「私たちが落車したらたまたま歩道にいた外国人が駆け寄ってきて、英語で大丈夫?とか聞かれちゃってさ~!!」とひたすら笑っていたのだけは印象的だった。
幸いにも落車した友人YもB氏も大きな怪我はなく、ロードバイクの故障もなさそうだったので、サイクリングは再開して無事に予定通りゴール地点に到着することができた。
私は帰宅後、冷静になってから現場の状況について色々考えたあと「B氏が友人Yにハスって、友人Yを巻き込んで落車したのでは?」という仮説を立ててみた。(※ハスるとはロードバイクの前輪を前のロードバイクの後輪に引っ掛けること)
改めて考えてみると、B氏は車間距離をあまり空けない走り方をする人だった。
私が一度それで注意をしたことがあるのだが、B氏には「私はちゃんと車間距離空けてるし!」と言われただけだった。
しかし、私はこの落車事故で確信した。
B氏とサイクリングに行くと、私がハスられて巻き込まれ落車するかもしれない。
もし私が立てた仮定の「B氏が前方の友人Yにハスった」というのが事実だったとしよう。
B氏はそのハスった事実を認識しながら、「私は何もしてない!」と嘘をついてることになる。
これはB氏という人間性を疑ってしまうレベルの出来事だ。
もしくは、B氏がハスった事実に本当に気付いていないのだとしたら、それはそれで非常に恐ろしいことである。
少なくとも私の中では「B氏は車間距離をあけずに危険運転をする、もしくは常に注意散漫な人間である」という結論が出た。
(そういえばB氏と会話しているとADHDの傾向があると感じた記憶もある)
その仮説が事実だったかどうか今となっては確認する方法はないのだが、少なくとも私はこの仮説が限りなく事実に近かったと信じている。
その日からB氏と会うのはやめようと決意できたので、結果的に私個人としてはリスクマネジメントができた日となったので良しとする。
3.ママチャリで飲酒運転をして江戸川に落ちたことを武勇伝のように話すC氏
ロードバイク繋がりで知り合ったC氏と居酒屋に行った時の話である。
C氏とはツイッターで知り合い、3回ほど一緒にサイクリングをした仲だった。
C氏と居酒屋に行くことになったきっかけは、一週間ほど前にC氏が「行きつけの〇〇っていう飲み屋さんに行きたい!」とツイートしたことだ。
私がそれに対して「私も行ってみたいです!」とリプライをすると、C氏からも「嬉しい!一緒に行こう!」というリプライがあり、予めお店の予約をして二人で訪れることになったのだ。
C氏とサイクリング以外で会ったのはその時が初めてだったので私は知らなかったのだが、C氏はかなりの酒好きで酔うと面倒くさくなるタイプだった。
そして大量の酒を呑み、饒舌になったC氏からとんでもない話を聞かされたのだった。
それは、
「この前飲み会のあと最寄り駅から家まで帰る時にさ~、ママチャリ乗ったんだけど~!全然真っすぐ走れなくて橋の欄干に激突しちゃって!しかも江戸川に落ちちゃったんだよね~~!!!」
という内容だった。
正直ドン引きした。
「飲み会のあと」という情報と「真っすぐ走れなかった」という状況から、ほぼ間違いなくママチャリの飲酒運転である。
さらにそれをウケ狙いなのか分からないが、武勇伝のような口調で話しているところも信じられなかった。
C氏は常日頃からツイッターで「交通ルールを守らないロードバイク乗りは存在価値なし!」と呟いていたが、そもそも自分が交通ルールを全く守れていないという自覚はなかったのだろうか。
さらに私が黙って聞いていると、C氏はこんなことも話し始めた。
「あとさ~、この前飲み会で飲みすぎちゃって家に帰る手段がなかったから、駅前に置いてあったチャリに乗って家に帰ってきたんだよね~!ちょうどいい所にチャリがあってラッキーって感じ!」
私はドン引きしすぎてどんな相槌を打ったのか覚えていないが、「C氏が他人のママチャリをパクって飲酒運転して家まで帰った」ということだけはハッキリと覚えている。
私は今まで生きてきて「ママチャリ欲しいからパクろうかな~」などと一度も考えたことはなかったのだが、どうやらC氏は「ママチャリが欲しいと思った瞬間に、目の前にママチャリがあったから借りた」ぐらいの感覚を持っているらしかった。
そしてそのパクったママチャリは最終的にどうしたのか聞いてみたが、「家の近くに放置したよ」という回答が得られた。
そんな調子で飲酒運転や窃盗の話をしていたC氏は、突然スマホを取り出したかと思うと、おもむろにスマホでツイッターを始めた。
つまり、私との飲み会にも関わらずテーブルの向かいに座っているC氏がスマホでツイッターを開いてツイートを遡ったりリプライをしたりしているのだ。
私はそんなC氏を黙って見つめながらウーロン茶を飲むという、謎の構図ができあがってしまったのである。
なぜ私が「C氏がツイッターをしている」と分かったのかというと、普通にスマホをテーブルに置いていて画面が丸見えだったからだ。
今目の前にいるC氏は片手にスマホでツイッターをしながら、反対の手で呑気に酒を呑んで非常に楽しそうである。
なんならC氏は「ねぇ見て!このツイート見て!ハイキューのスタイめっちゃ可愛くない!?」と言って、笑顔でスマホの画面を見せてきた。
いや、ハイキューとか全然知らんし。
つーか、お前ごときがよだれかけのことをオシャレぶってスタイとか呼ぶんじゃねーよ、クソが。
私はこの日のうちに「もう二度とC氏とは会わない」と決意した。
今となっては「C氏がママチャリで飲酒運転をして江戸川に落ちて、そのまま溺〇しますように」と願うばかりだ。
4.サイクリングチームの仲間に追突したD氏
これはツイッター経由で知り合ったD氏との話である。
D氏は神奈川県に住んでいて、地元のサイクリングチームに所属しているという話を聞いていた。
たしか前回は多摩川あたりを一緒に走って、この日は2回目のサイクリングだったと思う。
当日は神奈川県の境川サイクリングロードの近くで待ち合わせしてそのまま境川沿いを南下し、ジェラートが美味しい飯田牧場(現在は閉業)に立ち寄り江ノ島方面に向かう予定だった。
そして事件はこの飯田牧場のジェラートに舌鼓を打ちながら雑談をしている時に起きた。
まあ、事件と言っても大したことではない。
私が直感で「あっ、D氏と一緒に走るのは止めよう」と決意しただけのことである。
ジェラートを食べながらD氏は「私が所属しているサイクリングチームは平日の夜に集まって夜練っていうのをやってるんだよね」という話をしてくれた。
そして「実は今日乗ってきたロードバイクは、最近事故に遭ったあとの代車として購入したものなんだよね」という話をされた。
そういえば前回多摩川を走った時はビアンキだった気がしたが、今日のC氏はキャノンデールに乗っていた。
でもロードバイクが好きな人なら家に何台もロードバイクがあるのは珍しくないので、私もあまり気にしていなかったのだった。
続けてD氏はこんな話を始めた。
・D氏は平日の夜、サイクリングチームの夜練でチームメイトと車道を走っていた
・赤信号で停止していたチームメイトにD氏が後ろから突っ込んで落車した
・突っ込まれたチームメイトとD氏は救急車で運ばれ、D氏は脱臼、チームメイトは骨折の大けがを負った
・結果的にチームメイトのロードバイクもD氏のロードバイクも、どちらも廃車になった
・事故扱いになったので保険会社から保険金が下りることになった。D氏はその保険金を使って約80万円の新車を購入する予定である
・保険金で新車を購入できるのがとても嬉しくて仕方ない
私は絶句した。
なぜなら、その話を聞くと後ろから突っ込んだD氏は明らかに反省するべき立場であると思うのに、D氏は「保険金で新車が買えてラッキー!」ということばかりを強調したからだ。
私はジェラートを食べながらその話を聞いていたのだが、だんだん気分が悪くなってきたし、ジェラートを食べる手が途中で止まったせいで溶けたジェラートが手についてベトベトになった。
なんとかジェラートを食べ終えた頃には最悪の気分になっていたので、「あ、ジェラートを食べたらお腹が痛くなったので、藤沢駅から輪行して帰ります」と言ってその場を離れることにした。
その時D氏は「大丈夫?送っていこうか?」とか言っていた気がするが、正直一秒でも早くD氏から離れたかった。
D氏の前を走っていたら、赤信号で停止しただけでも後ろから突っ込まれるかもしれないと思うと身体の震えが止まらないのである。
背後で何かをゴニョゴニョ言ってるD氏を振り切り、私は飯田牧場を出発して藤沢駅まで自走した。
そして駅前でロードバイクから下りたあと、D氏のSNSを全てブロックした。
自分が追突事故を起こしてもそれを反省するどころか「保険金たくさんもらえて嬉しい!」なんて言ってしまうD氏とは、絶対に二度と会いたくない。
その日からSNSをブロックしたおかげでD氏との関わりは一切なくなったが、D氏が今も生存しているのか確認する方法は私にはない。
こういう他人に迷惑をかけてもヘラヘラと生きていられる人間は、わりと無駄に長生きするイメージがあるので今も生きているような気もする。
D氏とは縁を切った私でも、せめて「D氏が周りのロードバイク乗りを死に追いやってませんように」と願うことぐらいはできるので、そう願いながらこの記事を書き終えた。
いかがだっただろうか。
怖いことに、これらは全て私が実際に体験したことばかりなのである。
所詮こんな記事もチラシ裏のラクガキ程度に思われるかもしれないが、信じるも信じないも読者のあなた次第だ。
では、また。