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コラム:スカリーの愛用品"マジガチ"レビュー万双/双鞣和地トートバッグ

皆さんおはこんばんにちわ、スカリーです。
スカリーの「スカリーの愛用品"マジガチ"レビュー」(仮)では
実際に私が日々愛用している品を多角的に尚且つ主観を交えながらレビューをしてゆく企画です。
日々購入アイテムなどは紹介したい反面、なかなか趣味がニッチ故に身バレ的にも多くは出来ませんがどうしても書きたい!と思えるアイテムだけほんの少し書いていきます。

できる限り短文で要点を押さえて、尚且つ言いたい放題でサクッとご紹介してゆく企画です。


万双 双鞣和地トートバッグ

公式HPより引用

今回紹介するのは、日本が誇る超職人的ニッチブランド万双の双鞣和地トートバッグです。とにかくこれだけはレビューしたかった。
実際にご要望も多かったのでファーストレビューに採用。



万双とは?

一言で言うなら
"世界最高峰の品質を常識的な価格で"
というスローガンを掲げる超日本的信念を貫く侍ブランド。
あえてブランドネームを商品に一切入れないという考えは特に職人的考えを含めて、私は俗物的なブランドの対局にあるクリエイターの極地に位置するブランドのような存在と思っている。
下記に簡単なブランドヒストリーの要約をしておくと、

1995に日本に誕生した「万双」
創業式の決意として"世界最高峰の品質を、常識的な価格で"提供することを誓う。ブランドの名前である「万双」は日本体裁に基づく豊かな作品の豊源を示すと同時に、博士の専門性を気品づけた思いが込められている。
製品にはブランドマークを刻まず、使用者自身の歴史が革に刻まれることを大切にしている。
この思想は、製品が使用者の歴史の一部になることを大切にし、長く使われることを希望しているからである。
使用者が渡る歩みと同時に製品に込まれる時間の記憶を育んでいくことで、何もないレザーアイテムが個人の歴史を語り始めるという考えが根底にある。
引用先公式HP

というものである。
実に職人的であり日本的。慧眼のある海外のクライアントにはものすごく喜ばれる品が多いのも事実である。



双鞣和地トートバッグの魅力

1. そもそも"世界最高峰の品質を常識的な価格で"は本当?

私も青二才ながら過去にファッションアイテムもクリエイション等を行っていた人間であり、おいそれと世界最高峰の品質という言葉を信用しないタイプの人間ではある。
正直な所、本当に世界最高峰の品質なのかというと、

一部の超絶技巧職人のフルオーダー品や手縫いを多用する高級ブランドアイテムなどを除けば間違いなく世界最高峰クラスの品質だと思う。

もちろんあくまで主観ではあるが、全ての仕様やレザーの使い方などはラグジュアリーブランドなどでも多用を控える、圧倒的コストがかかる最高級仕様。
あえて言うならマテリアル自体もレザー玄人向けのものであるが故に、
所謂、有名なラグジュアリーブランドの傷一つない化粧されたレザーとは対極の質感と製法をしている為、隠せない小さな傷なども見られそこが評価を分ける部分かと思う。



2.圧倒的な質感と細部のこだわり。面構えの良さ。コスパ。

使い始めの美しい状態

実際に手に取ると最も感じるのが、長く使える道具としての鞄を体現するような重みと無駄の無い作りである。
床に置いた際はしっかり厚みと張りのあるレザー故に直立し、艶感や質感の良さ故に面構えが素晴らしい。

この鞄を銀座の一等地の華やかな店内で買うなら20〜40万でも簡単に納得してしまうレベルではある。
バッグの作りに詳しい方なら必ず勘違いする。イタリアの知り合いの職人に現物を見せたが高い方に間違えていた。

私が手にした際に最初に感じた正直な感想は
"これベルルッティのような重みと持ち味だ"
という感想である。
一度持って見みて欲しい。

この重みはオイルがしっかり入った革を表にも、見えない裏などにも使った際に得られるものでありアイテムに何とも言えないぎっしり感が出る。
どの部分を見ても抜かりの無い計算された仕様が多く、レザーの漉きの均一性やステッチのピッチ、ハンドルの曲線に至るまで、革好き、むしろ革職人ほどうなる一品だとは思う。

素晴らしい点は長く使って欲しいという信念が仕様として表れていること。
要するに、
各部分の修理ができる限り容易になるように設計されている点はクリエイター目線で見ると賞賛に値する。
近年の高級バッグは修理を考えない消費型が多いのである。



2. ディティールへのこだわり

  • ジップと:メインポケットのジップはもちろんフロントポケットのジップにいたるまでYKKのエクセラのダブルを使用しておりメンテナンス性、輝き共に素晴らしい。特にフロントジップの端処理は芸術的。ジップの形状に合わせてラウンド型に作るなど鬼畜である。持ち手はレザーで作られており細かなコバまで磨き済。かといって主張もしない点は道具感が強く良い。

端のラウンドステッチまで美しい。そもそも普通は生産管理的にも直線に設計する。
  • 内部ジップポケットおよび仕分けポケット:ジップポケットは大きく取られており長財布などの大ぶりなアイテムも収納出来る。そして簡易仕分けポケットも思った以上にものが入るのでいくつかのアイテムをまとめておける点も使いやすい。各端の処理も革巻きやポケット口にレザーの玉縁(コバ磨き)を付けるなど抜かりが無い。

内部も美しい。
  • 裏地はピッグレザー:裏地もスエード調のピッグレザー仕様。ブラックとのコントラストが美しい。耐久力もさることながらメンテナンスでとにかく長く使えるのはありがたい。

  • ハンドルの持ちやすさと根革の耐久性:ハンドルは根革と分離しており修理を意識した仕様。根革ステッチは芸術的なほどである。

  • 底の圧倒的耐久力や底鋲の利便性:底は圧巻の仕上がりである。あの厚みの革とボディをピッチの狂い無く縫い合わせるだけでも相当な職人技。それを均一に仕上げるスキルはラグジュアリーブランドでもなかなか無い。底鋲も備え使いやすさと利便性もバッチリ。



3. 縫製

万双の醍醐味は縫製にあると思っている。
菱縫いと呼ばれるミシン縫いはまるで手縫いのような質感を作り出す。
針やミシンなどが特殊だからこそ創れる企業努力の賜。
特に厚みがある部分では針を極限まで研ぎ垂直に落とさなければそもそも縫えない可能性もあるため、縫える職人はそう多くないだろう。
私なら絶対に縫いたくない。針を折って破片で目を潰す未来が見える。

芸術的なステッチ。ここまで厚みがあるレザーを均一に縫うことは難しい。

そして各力が掛かる部分はしっかりとレザーを挟み厚みを持たせて強化されて縫われており、返し縫いもしっかり同じ穴に重ねている。


下記に菱縫いのまとめを置いておく、

万双の「菱縫い」は、同社が独自に採用している縫製技法で、縫い目が斜めに配置されるのが特徴。
この技法により、ステッチが美しい「ミの字」形状となり、製品に独特の表情を与えている。
菱縫いを実現するために、万双ではミシンの改造や針の研磨を行い、シャープで精密な縫製を可能にしている。
この工夫により革の組織を最小限に損傷させ、耐久性と美しさを兼ね備えた仕上がりを実現しています。
菱縫いは手縫いと同等の強度を持ちながら、ミシン縫いの効率性も兼ね備えており、万双の製品に高い品質と独自性をもたらしている。


4.マテリアル

これこそ主役部分でありある意味賛否が分かれる部分。
長い研究の末に日本の気候も考慮して作られた万双オリジナル開発の双鞣和地(そうなめしわじ)と呼ばれる革は特殊である。

シンプルに言うとフルタンニン鞣しのヌメ革であるのだが、ただこれがくせ者。

国産レザーであるのだがまるで使い始めはイタリアのヌメのようなコシがあり繊維の凝縮感が凄いのである。そしてとにかくアタリが出やすく傷も付きやすい。
ヌメ革故の特徴なのだが、一般的なヌメに比べてもアタリの出やすさは目を見張るものがある。
この革質故にラグジュアリーブランドでは品質管理面等でまず使われないタイプのマテリアルであり苦手な方は汚い、荒いと評価されるかと思う。

公式HPより引用

そして使い続けると艶が上がり色が深まるのは同じくヌメ革の特徴なのだが、
ある一定時期から急にしなやかで柔らかい国産レザーらしい表情をみせるのである。繊維がほぐれる事で起こるエイジングだとは思うがそれが急ピッチで起こる。
これがへたってしまったと捉える方もいると思う。

表面はスムースなのだが拡大すると細かな繊維の流れに沿って微細なシボがみられそれがエイジングと共に顕著に表れる。トラや血筋も目立ちやすいので好みは分かれる所。とにかく面白い革である。

もちろんレザーの使い方は贅沢であり地の目に沿った裁断と縫製が行われている点も好印象。



どうコーディネートしよう。

個人的に作りたいのはこれ

  1. 王道英国ダブルスーツスタイル

    • まずは究極の王道、ワイドラペル、ローゴージ気味そして尚且つダブルの威厳と枯れ感が欲しい。イタリアンタイプのアンコンではなくかっちりパットのブリティッシュ感推し。チェンジポケットも欲しい。

キングスマンより引用


  1. 紺ブレ×白パン×ローファー

    • カジュアルに遊ぶ際も手元に嗜みを、的なノリ。膝下に白とレザーのコントラストを

レオン公式より引用


  1. アレンジニット×ワイドパンツ×ボリュームソール

    • 少しニットと靴で遊びながらワイドパンツでリラックスムードをON。手元で締めてゆきたい。

引用先


惜しい点

  1. ポケットの向こう布の色味

    • これは特に惜しいのだが、黒の鞄の場合裏地がブルーなのだがポケットの向布がベージュで締まりが悪い。せめて黒に改善して欲しい。

  2. 仕分けポケットの少なさ

    • トートバッグ故に仕方ないがボリュームがあるので内部でものがよく動いてしまう。せめてPCの購入ポケットが欲しい。

  3. 重さ

    • 重厚感と作りの良さに振り切っているが故の弊害でもあるが、やはりなかなか重い。

  4. 裏地の色移り

    • 湿気が多いと裏地が色移りすることがある。これもレザー故仕方ないが気をつけたほうが良い。

  5. 店舗の雰囲気

    • 商品ではないが、これは大きいと思うが都内店舗はとても小さく立地的にも高級感は無い。ある意味玄人向けではあるのだが商品イメージを悪く捉えてしまう方も多いかと思う。

  6. HPの遅さ

    • ある意味ここも職人気質。見れればいいというようなHP構成はスマホで見るとよく止まる。PCで見よう。



総評

価格や作りを総合して考慮した個人的な評価は以下の通りです。

  • 質の良さ: ★★★★★

  • コスパ: ★★★★★

  • 使いやすさ: ★★★

  • コーディネートしやすさ: ★★

  • 高級感: ★★★★

  • おすすめ度: ★★★★★

最高点である。
是非現物を手に取って欲しい。店舗の雰囲気に気圧されずに。
革が好きなら、鞄のことを理解している人なら必ず満足する。
これで8万しないのは異常である。本当に。
売上や会社の成長をある意味度外視してる会社らしい、最高のクリエーション。

ただし、ラグジュアリー好きの方は向かない。惹かれないと思う。
特に女性は。
購入体験や接客、雰囲気、リセール、社会的ステータス、周りの羨望の眼差しなどは求めてはいけない。

本当に革が好き、もの作り、クリエーションや信念が好きな人が至るある意味極地のアイテムである。



今回の学美はここまで!また更新をお楽しみに!
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