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まだ無意味な短期集中講習に課金してるの?

【はじめに】
※この記事は小学生(中学受験生)には当てはまらない場合があります。
※なんで業界の人がぶっちゃけてるのか、動機が知りたい方は1記事目をご参照。
※【重要】本記事は学習塾や予備校の授業を否定しているわけではなく、あくまで短期の講習にスポットを当てています。

世間は夏休みに入り、学習塾業界でも夏期講習の時期に突入です。
生徒にとっては苦手単元の克服や、先取りを短期集中で対策できるので、保護者の方々もこの時期、学習塾の言うままに大量課金を行います。

学習塾側もこの時期は大忙しです。生徒のニーズという名の不安を見極め、とにかく講習授業を取らせようと躍起になり、大量の授業やその準備に追われます。

さて、この夏期講習をはじめとする長期休みの短期集中型講習ですが、果たして本当に意味があるのでしょうか?

タイトルはいかにも全ての短期集中講習が無意味であるという感じに捉えられそうですが、正確には「不安に煽られて無意味な講習を取るなんて時間とお金の無駄」ということが言いたいだけです。

では、無意味な講習を切り捨て、講習のメリットを最大限活かすにはどうすればいいか、ということを書いていこうと思います。

まずは現在の学習塾の役割を再確認してみる

現在、学習を取り巻く環境はかつてとは比較にならないほど進歩しています。教育系AIの発達によって効率的な学習ができるようになり、映像授業によって有名講師の授業をどこでも安価に受けることが可能になりました。

かつての学習塾は「授業提供」がその主な役割でしたが、こんなにも学習環境が整ってしまうと、ハッキリ言って学習塾の授業提供というかつての意義はほとんどないと言っても過言ではありません。

それでは、現在の学習塾の最大の役割は?というと、これはもう「学習管理」と「質問対応」がツートップなのです。

もちろん最低限の授業はほとんどの学習塾でも行っていますが、これは授業提供という目的ではなく、生徒の学習進捗確認や、細かいフォローが必要かどうかを見極めるという役割が大きいように思います。

実際、全く授業を提供しない塾でも授業は映像で代替可能ではあるのですが、そうすると生徒の細かい部分が見えないので、フォローが行き届かないということは大いにあり得ます。

授業目的の大量受講にコストメリットはほとんどない

さて、上記で申し上げたとおり、現在の学習塾における授業とは、授業提供がその主目的にはなり得ません(何度も言いますが、生徒の学習管理に必要な最低限の授業は必要です)。

言い換えると、必要以上の授業を取りたければ、映像授業の方が安く済むということです。

世の中の人も心の奥底では重々わかっていると思います。それではなぜ、この時期になると学習塾や予備校の短期講習が賑わうのでしょうか。

以下にありがちなパターンを示します。もちろんこの中には意味のある短期講習受講のパターン(授業提供を目的としないもの)もあるので、これからの短期講習受講の参考にしてみてください。

パターン①:親世代の学習塾の認識ギャップ

当たり前のことですが、学習塾は生徒ではなく、そのご両親(場合によっては祖父母)からお金をいただいています。

そしてご両親の考える学習塾はご両親の時代の学習塾、つまり授業提供を主目的としていた時代で時が止まっていることがほとんどです。

このような保護者の方は学習塾=授業をしてくれるところ、という認識なので、学習塾側からするとある意味で一番良いお客様です。

学習塾の言いなりでホイホイ授業を大量に受講しても、インプット過多になってしまいますし、何より授業を受けるという目的だけなら映像授業で十分です。

もちろん、以下のパターンに挙げる強制的な勉強時間の確保という目的を持たれているなら話は別ですが、まずは追加の授業を取る前に映像授業などで代替できないかどうか検討してみてください。

パターン②:安心をお金で買う

参考書を買うだけで満足する現象とほぼ同じです。授業を取ればとりあえず安心するという典型的なダメなパターンです。

もちろんこのタイプの保護者様、生徒の方も学習塾にとっては非常に良いお客様です。

何せよ、学習塾側が不安につけこんで授業を提示すれば、懐が許す限り受講してくれるのです。

もちろん、全く意味がないとは言いませんが、この記事ではあくまで授業提供のコストメリットに焦点を当てていますので、学力向上とコストの面からは全くお勧めできません。

また、このタイプの保護者(場合によっては生徒さんも)の方は、単に映像授業よりも対面の授業の方が安心できる、と考えている傾向にあります。

もちろん、後述するパターン③のような強制的に学習時間を確保しなければならないこともありますが、こちらもまずは映像授業を検討してみる価値はあると思います。

また、保護者ではなく生徒がこのタイプな場合、学習に対して真面目なことが多いです。

ですので、映像授業でも進んで学べる可能性が高いので、そちらのほうがコストメリットが高いでしょう。

本当に不安を取り除くためにはコストも厭わない!という人にとっては意味のある選択なのかもしれません。

パターン③:強制的な学習時間の確保(生徒が自律的/自発的でない場合)

このパターンに陥るのは、家庭内での目標や認識が共有できていない生徒の保護者の方に多いです。
要するに、無理やり親に勉強させられているパターンです。
※一部例外があるのでパターン④で記します

勉強時間を確保する意味は多少あるものの、このパターンでしか勉強ができない子は経験上、そのままのスタンスで勉強していても伸びません。

無理やり授業を受けさせても、右から左に流れてしまうことがほとんどです。

そもそも成績を上げる、受験をする、という目的が家庭内で共有できていないのであれば、講習で無駄な時間を取る前に、目標や認識を家庭内で共有してみてください。

それでもどうにもならない、どうしても学習時間を確保して成績を少しでも上げたいのであれば、せめて集団受講の追加授業ではなく、少数or個別での授業を追加することをお勧めします。

もちろん、その分値段は上がってしまいますが、無意味な授業にお金をかけるよりは良いでしょう。

パターン④:強制的な学習時間の確保(生徒が自律的/自発的な場合)

このパターンの生徒は学習の目標を明確に持っています。将来の夢、など長期的な目標に限らず、単に成績を上げたい、周りからよく見られたい、というのもこのタイプに含まれます。

勉強の目的が明確な場合が多いので、親に無理やり講習に行かされているわけではありません。

しかし、家では勉強できない、何かしらの強制力が欲しい、と考えて「自分を追い込むため」に短期講習を受講してしまうのです。

確かに授業を取れば強制的な学習時間の確保に有効ですが、なにも追加で短期講習を大量受講する必要などありません。

自習室の付いている塾を選んで、自習の時間を増やせば良いのです。しかし、自習というのは勉強に慣れていない人にとっては案外難しいものなので、何をすれば良いかわからない、ということになりかねません。

ですので、このようなタイプの生徒は、まずは個別指導塾などで勉強の手法を身につけさせる方が効率的です。勉強のやり方がわかれば、授業ではなく自習のための環境を与えてあげるだけで成績が伸びると思います。

講習の大量受講の前にやらなければならないこと

そもそも短期講習で成績を伸ばそう!というのは、テストの一夜漬けとなんら変わりません。ほとんどの人は短期講習の授業を受けっぱなしで終わらせてしまいます。

考えてみれば当たり前で、いくら長期休みであろうと、普段の勉強スケジュールに加えて学校からの宿題も出されている状況で大量に講習授業を受講しても、インプット過多で復習にまで手が回らないのです。

一夜漬けにしないためにも、もし短期講習を受けるのであれば、せめて1つの講座に絞る、必ずその講座の復習をする、というルールを設けましょう。人間の記憶力を過信してはいけません。

また、授業よりも重要なのは「正しい(自分に合った)勉強法を確立すること」です。先ほど自習について触れましたが、勉強に慣れていない人は自習が下手くそです。

知識を応用するには、知識が感覚のレベルまで落とし込まれていなければなりません。インプット過多を防ぐためにも、取り入れた情報を定着させ、応用することをまずは覚えましょう。

取り入れた情報を自習でしっかり処理できるようになれば、過分な授業を受講しなくても成績は上がるはずです。

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