❹学習サポート
多くの家庭は子供を幼児教室に通わせております。単に幼児教室に通わせるだけではアドバンテージにならず、家庭学習の質と量こそに差が出るポイントであることを認識し、戦略的に取り組み学習効果を高めましょう。闇雲に学習に取り組むのではなく、志望校の出題傾向や子供の理解、成長を見定め計画を立てPDCAを回すことが、有効な手段です。
4-a. 学習計画を立てよう(Plan)
まずは志望校の過去の試験内容を調べ、学習計画を立案しましょう。以下のような管理帳票を作成すると良いでしょう。
幼児教室やWebサイトなどで多少分類が異なることもありますが、小学校受験における試験内容は一般的に大きく以下に大別されます。
試験1. ペーパー
いわゆるプリントの問題で、短いお話を記憶し問題を解答したり、数を数えたりするような問題です。多くの学校で採用されています。学校により出題傾向がありますので、志望校でどのような単元が出題されるか調べましょう。
以下のように理英会出版では、学校別に出題単元がまとめておりペーパー試験の学習計画立案の参考になります。
試験2. 行動観察/指示行動
行動観察/指示行動とは集団の中での子供の振る舞いを見る考査です。小学校に入学すると、ひとりの担任の先生が30人程度の児童を見ることになるので、指示がしっかり通るか、ルールを守れるか、児童同士で協調性をもって遊べるか等、集団生活を送っていけるか、年齢相応のコミュニケーション能力を有しているかチェックされます。
家庭学習として具体的な取り組みを計画するというよりは、普段の生活や遊びの中に指示行動やルールの履行、協調性の強化を意識して取り組めるよう、夫婦で話し合っておくと良いでしょう。
我が家では、自分の身支度をしてもらう時等にひとつひとつの行動の指示から取り組みましたが、徐々に複数の一連の行動(片づけて、テーブルを拭いて、食器を並べる等)を1回の指示に盛り込んでいました。また、公園で友達と遊ばせているときは少し遠めから見守り自発的なコミュニケーションを促したり、ルールを守らなかった時に注意したり等を徹底して行っていました。
試験3. 運動
「運動」テストは「サーキット」「ボールつき」「縄跳び」等の運動などを行います。「運動」と言いつつ、一部の学校を除き、年齢相応の運動能力があるか、指示を正しく聞き取り実演できるか等を評価観点としており、いわゆる高い運動神経を具備しているかを評価しているわけではないようです。
連続運動や広いスペースがないとできないような内容は幼児教室等に頼らざるを得ないものもありますが、ひとつひとつの基本的な動作は家庭内でも練習できるので、チェック表等を作成し計画を立ててひとつひとつできるようにしていくと良いでしょう。
試験4. 絵画・工作・巧緻性
絵画や工作で表現力、巧緻性で手先の器用さが評価されます。運動と同様、極端に上手い必要はなく、年齢相応の表現力や技能を有しているか、指示通りの制作ができるか等を評価する学校が多いです。
絵画、工作では自由に取り組ませることもあれば、見本と同じものを作らせる、テーマに沿ったものを作らせるなどバリエーションは様々です。学校によって特色があるので、出題傾向を調べておくと良いでしょう。
ただし、志望校に依らず基本的な技能については有しておいた方が良いので、チェック表等を作成し計画を立ててひとつひとつできるようにしていくと良いでしょう。
試験5. 面接
考査の一環で面接が行われる小学校は多くあります。
面接の方式は学校により異なり、①親子同時に面接、②親のみ面接、③子供のみ面接、と大きく3つに大別されます。いずれにしても、親・子供に面接を想定し、受け答えの練習を行うことは重要です。親の対策については聞かれる内容が願書の設問と重複する部分もあるので、願書を作成する時期辺りから対策を行えば間に合うでしょう。しかし子供については、簡単な質問も案外答えられなかったり、質素な回答になったりしがちですので、早期に話す練習に取り組んだ方が良いでしょう。特に性格に依るところも大きく、知らない人と話すことが苦手な子は早めに練習することをお勧めします。
4-b. 学習計画を実践しよう(Do)
タスク4-aで立てた学習計画に沿って必要な教材を用意し、学習を実施しましょう。以下では、有用な学習方法を紹介します。
学習方法1. ペーパー
日々のペーパーの学習として以下の教材が有用です。
最初は解けない問題もあると思いますが、月齢とともに理解力が増してきますので、徐々に解けるようになってくることが多いです。従って特に早期の段階では焦らずに、次に紹介する具体物や学習アプリ等の補助教材を使って理解を促しましょう。
このほか双六で遊ぶ際にサイコロを2つ使って加算の概念を教えるなど、日々の遊び、生活のなかに学びを工夫すると良いでしょう。
学習方法2. 行動観察
行動観察は「これをやればよい」という方法や一朝一夕にできるようになるものではありません。幼児教室に通っていればできるようになるものでもありません。生活力やコミュニケーション力が必要で、家庭での取り組みやしつけが大事となってきます。以下を参考に家庭の習慣を見直したり、お子さんに自立を促してみてください。面接のエピソードにもなりますので、時間はかかりますが取り組みましょう。
自主自立を促す
自分のことは自分で考えて行動してもらうことが大事です。親がやってしまった方が早いし楽だから、ついつい手出ししたくなってしまいますが、受験に向かう1年だけでもグッと堪えて、自主自立を促しましょう。きっと素晴らしい成長が待っています。
我が家では、遊んだ後の後片付け、自分の分の食事の配膳、着替え、保育園の準備等、自分でできることは自分でやるよう促していました。
お手伝いを促す
行動観察では例えば道具を使って集団ワークをした後、その道具を片づける様子等を観察されたりします。自分のことだけでなく、お手伝いも率先してできるようになると良いでしょう。
我が家では、洗濯物を畳んでもらったり、弟に絵本を読み聞かせしてもらったり家族の一員としての役割を与えて取り組んでもらいました。
コミュニケーションを育む
行動観察では協調性を観察されます。自分から話しかける、優しく接するなどが重要となってきます。
我が子は内弁慶で、初対面の子に話かける等はとても苦手で、この点はかなり苦労しました。親の友達の子供や、親戚の子供、公園で出会った子供と遊ぶ機会を少しでも多く作るように心がけました。
また、ひとつひとつの所作については、こぐま会「生活点検ノート」などを参考に取り組むのも良いでしょう。
学習方法3. 運動/指示行動
連続運動はある程度幼児教室を頼るのが効果的でしょう。それでも前転、ギャロップ、ボールつき等のひとつひとつの動作は家庭内でも練習ができます。ひとつひとつの動作の練習には、こぐま会「運動点検ノート」が参考になります。あると便利な備品とともに次頁で紹介しますので、ご参考にしてみてください。
また、もし連続運動をするスペースが家にあるのであれば、ケンンケンのリングやパイロンを購入するのも良いでしょう。
学習方法4. 絵画・工作・巧緻性
絵画・工作・巧緻性についても、描く、切る、ちぎる、貼る等の基本的な動作は家庭内で習得すべきです。こぐま会「手先の巧緻性点検ノート」を参考に練習に取り組むのもよいでしょう。
学習方法5. 面接
面接の練習としては、模擬面接を行うのが良いでしょう。そのほか幼児教室の通常授業でも面接練習は多少はしてくれると思います。
家庭でできることとしては、販売されている面接の設問集を用いて、定番問題の想定、回答の準備そするとよいでしょう。面接の設問集は様々販売されており、何を使っても大きな問題はないと思いますが、以下が定番の書籍です。
4-c. 理解度を確認しよう(Check)
長く不安な小学校受験への道のり、ついつい得意なことに目を向けて安心したくなりますが、得意なことよりも、苦手な分野・問題などの課題を積極的に知り、学習計画を変更・追加したり、次のアクションにつなげることが大事です。
以下をインプットに課題を把握しましょう。
インプット1. 幼児教室での取り組み
幼児教室で実施した取り組みはしっかりと親が観察しましょう。そこから苦手分野を特定しましょう。ペーパーは必ず帰宅後に親が丸付けをして、間違えた問題は復習したり、学習計画を変更・追加する材料にしましょう。間違えについても、そもそも解けないのか、時間切れだったのか等、問題を分析することで、次の改善の取り組みにつなげやすくなります。
インプット2. 家庭での取り組み
家庭での学習も同様に、決してやりっ放しにすることなく、できる問題/できない問題を峻別し、できない問題はその原因を分析し、学習計画の改善に活かしましょう。
インプット3. 模擬テスト
模擬テストは可能な限り多く受けましょう。現時点で子供がどの程度のレベルに位置づいているのか知るということだけでなく、本番に実力を発揮するという意味でもテストに慣れることが重要です。
大手の幼児教室では内部生を対象に、月例などで定期的に模擬テストを実施しているケースも多いです。他にも一般向けに開催している模擬テストもあるので受けることをお勧めします。また、志望校別のテストもありますので受けることをお勧めします。
模擬テストの点数や志望校合格判定などで一喜一憂するのではなく、間違った問題を親が把握し、なぜ間違えたか分析し、学習計画を見直しましょう。
4-d. 学習計画を見直そう(Action)
タスク4-cで把握した学習進度・理解度をもとに学習計画を定期的に見直してましょう。また、志望校の追加、変更になった場合も学習計画を見直す必要があります。
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