江戸時代の歩き方の再現(5)
小股で歩く
着物が普段着だった江戸時代
人々、特に女性は
小股で歩いていたことを、
当時来日した外国人たちが数多く記録に残しています。
もし大股で歩けば、
着物の裾が足にまとわりつきますし、
足が大胆に露出して、ちょっと都合の悪いことになります。
そして足が着物の裾から外に出ては、
冬は寒くて屋外にいられなかったものと思われます。
小股で歩けば、それらの問題を全て解決できますし。
小さな動きであれば、着崩れもしにくかったのではないかと思います。
では、どれくらいの歩幅だったのでしょうか。
浮世絵からの推定ですが、
前の足のつま先から後ろ足のつま先までが
足の長さの2倍前後、およそ50センチくらいではないかと思われます。
現代人の歩幅が、30代男性でおよそ70センチ、女性で60センチなので、
だいぶ狭いです。
しかも、江戸時代の人は、ほぼ膝を開かずに歩きます。
そこで実際に膝を開かずに歩いてみました。
ひざが開かないようにタオルで両ひざを縛って
現代の歩き方で歩くと、足が思うように開かず
ものすごく歩き辛いです。
しかし、江戸時代の歩き方の様に膝を曲げてつま先着地で歩くと、
膝を開かなくてもかなり両足の間隔を開けて歩くことが出来ました。
この写真では、かなり大きく足を広げていますが、これで小股にすれば、着物の裾、特に膝より上はほとんど開くことなく歩けたものと思われます。そうすれば、着物の乱れもほとんどなかったのではないでしょうか。
また、膝を曲げて歩くと、足が地面に着いた時の衝撃が柔らかくなる効果もあります。
江戸時代の人々は着物により動きの制約を受けていましたが、
それにより独自の動き方が発達したように思われます。