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江戸時代の歩き方の再現(1)

足運びについて

さて、文献から推定した江戸時代の歩き方をおさらいします。

江戸時代の日本人の歩き方(推定)

・膝を曲げて、引きずるような高さで足を前に持っていき
 爪先から地面におろしている。
  足を前に振りだすことは無く、
  かかとはほとんど地面につけない。
・前傾姿勢
・大股ではなく小股で歩く
・手はほとんど振らない(身体をねじらない)

では、これだけの情報で、歩けますか?となるわけですが、
これがなかなか難しい。

膝を曲げて足を引きずって歩くとすごくゆっくりしか進めないし
手を振らないとなんとも歩きにくいのです。
はっきり言って、すごく歩くのが苦痛なんです。

そんなはず無いだろう?
江戸時代の人は一日30km近い道を歩いて旅をしていたのだから、
そんな歩きにくい方法で歩いていたはずがない!!

そう思い、何とか歩きやすくするヒントは無いかと、いろいろ調べたりしていました。

その中で気が付いたのが、手足のらせん状の動き(外旋・内旋)です。

実は足はらせん状に動いている

もし、その場で仰向けに寝られたら試してみていただきたいのですが、

仰向けに寝て、右足を伸ばしてみてください。
そして、思い切り伸ばした後、足先を左に回しながら伸ばしてみてください。

どうでしょうか?
足を左に、つまりは内側に回したほうが、より遠くまで伸ばせたのではないでしょうか。
その時、左足はどう動きましたか?
多少ですが、左足も左に、つまりは外側に回ったのではないでしょうか。

またもとの位置に戻っていただいて、今度は最初から右足を左に(内側に)回しながら伸ばしてみてください。
その時左足も左に、つまりは外側に回すとより楽に右足が伸びませんでしょうか。

実は股関節は、足を後ろに伸ばすときは内側に回った方が、前に曲げる時は外側に回った方がより楽に動きます。
内側に回ることを内旋、外側に回ることを外旋と言います。

たとえば相撲の蹲踞(そんきょ)の姿勢、あれは自然と両ひざが開いた姿勢です。両ひざを揃えて座ろうとするとすごくやりにくいことからも分かるように、足を曲げる時は外側に足が開く(回る)方が自然なのです。

現代の歩き方は、足をまっすぐ前に出すことが正しい歩き方としています。たしかに見た目は美しいと感じるかもしれませんが、それは自然な人の動きではないものと思われます。

足は伸びる時は内旋、曲がるときは外旋。つまりはらせん状に足は動くのが自然なのです。

そこで、膝を曲げて足を前に出すとき、気持ち膝を外側にして股関節を外旋しながら行うと、より楽に足を出すことが出来ました。そして膝を伸ばして足を着地するとき、膝を内側にして正面に戻しながら行うと、より楽に動かすことが出来ました。

この動き、実は浮世絵の中に残っていました。


歌川広重 東海道五十三次 岡部

この絵の真ん中の人物は、上げた足が外側に曲がって、つまりは外旋しています。
一方、下ろした足は上げた足と比べて前を向いています。

なかなか正面から歩く人を描いた浮世絵が無いので断言は出来ませんが、
足を曲げて前に出すときは外旋、足を伸ばして下ろすときは内旋
この歩き方だと楽に足が動くことは、実際に試してみて分かったことです。

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